【「やるか」「やらないか」ではなく「ちょっとずつやる」】世界に20以上の拠点を持つボランティアグループ発起人・富樫泰良のボランティア論

若者の情熱は、どんな冒険書より熱い。
自分を形作った”ジブン本”から学んだこと。そこから、どう行動したのか。
今をときめく時代の寵児たちにスポットを当て、「情熱の正体」を聞き出すU25探訪記! 現代のコロンブス達は何を思っているのか。

「”ジブン本”を通じて、次世代の若者の価値観を探る」ことがコンセプトのこの企画。
第1回は、『進め!!東大ブラック企業探偵団』の著者の現役東大生大熊将八さん「身長192センチ、巨漢インテリ東大生、大熊将八がいま学生で日本一可愛がられている理由」(2016/3/27)でお送りしました。

身長192センチ、巨漢インテリ東大生、大熊将八がいま学生で日本一可愛がられている理由

2016.03.27

今回ご紹介するのは、今大注目の新星!
中学生・高校生主体の国際ポランティアグループ「Club World Peace Japan」代表理事、現役慶應生の富樫泰良さんです。

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富樫泰良(とがし・たいら)
若者の声を政治に反映させるため、全国で様々な活動している19歳。日本若者協議会初代代表理事、Club World Peace Japan理事長。慶應義塾大学総合政策学部在学中。2013年8月に今井一氏司会のもと衆議院議員(当時)と中高生と国会議員での国民投票を主題にした討論会を開催した他、「世界一大きな授業」では超党派国会議員らに授業を担当。東日本大震災の被災地で10代の意見を復興計画に反映させるため「閖上復興こども会議」を発足、コミュニティー再建にも取り組む。
今年6月著書『ボクらのキボウ 政治のリアル』発売。

「こちらのサイトが『本to美女』さんというのは、インタビュアーの皆さんが美女だからですか?」

富樫さんは開口一番に、こんな感動的な一言を放ちました。そんな優しいお言葉をいただけて、インタビュアーの湯川は舞い上がります。

笑顔がさわやかで、気さくで親しみやすい富樫さんですが、彼は世界に20以上の拠点を持ち、参加メンバーは1000人を超えるボランティアグループの発起人です。「Club World Peace Japan」が発足したのは2009年、なんと彼は当時12歳の中学生でした。

現役大学生ながら世界中で活躍し続ける「富樫泰良の原動力」を、探ります!

 

1. 富樫泰良の半生編~12歳で作ったボランティアグループ「Club World Peace Japan」 ~

(1)全ては、「防犯パトロール」から始まった

ーー活動を始めたのが中学生の時、というのが驚きです。きっかけは何だったのですか。

小学校の時に『ぼくのみた戦争』というイラク戦争に関する本を読んだのが始まりでして、本を読んで私にできることはないかと思いました。同年代の子供たちが戦争に巻き込まれているのが、どうしても許せなくて……。特にこの本の最後の一文が印象的でした。

「イラクは、石油埋蔵量世界第2位の国である」

そこに何も答えは書いてなかったですが、結局そういうことで国は動くのかなと。

活動を始めたのは、小学校から中学生になった時。優しかった大好きなおばあちゃんがしていたボランティアの話をよく聞いていました。小学生の時に亡くなったのですが、「おばあちゃんみたいになりたい」と活動をすることを決意しました。頭で考えるより前に体が勝手に動いていました。

とは言うものの何から始めればいいかわからなかったんですよね。区役所に行ったり、NPOに電話をかけましたが「中学生でもできるボランティアはありませんか」と聞いても「どこも無い」と。無いなら、自分でつくるしかない!と思ったんです。

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ーー中学生に出来るボランティアが何も無い中で、学生ボランティアのあり方を模索していったのですね

区役所で配られたボランティアの案内は、防犯パトロールしかありませんでした。だからまずは、防犯パトロールでいいやと思って。パトロールをやりながら地域の方と祭運営を手伝うところから一人の活動が始まりました。本来僕がやりたかったのは、国際協力のボランティアでした。でも、次第に、今やれるのは地域のことだと思うようになりました。

そこで、地元の友達を誘って「地域のゴミ拾い」を始めることにしました。 次第に人数が増えてきたので、いよいよ「自分がやりたいことをやってみよう」ということで、次に「海を守る活動」を始めることにしました。例えば、毎年大規模にやってるのが、福岡支部の北九州市の小倉北区の「馬島」という、住民約40人の島でのゴミ拾いです。漂着ゴミの回収に、老若男女問わず約100人集まります。

最近は、様々な方に支援していただけるようになって、被災地支援などの大規模なボランティアが出来るようになりました。国際協力に関しては、フェアトレードの活動が動き出したところです。

(2)溺れている人がいるとき、その人の国籍を気にするか

ーー中学生の富樫さんの夢だった「国際協力」が叶ったのに、今も「地域の活動」を重視していることが気になりました。

そうですね、それは、「一つ一つの活動の中で地域の活動の大切さ」に気がついたのは勿論ですが、何より、「国内外で分ける必要がない」とわかったんですね。日本と海外に国境があるから「国際協力」になるわけじゃないんです。

だって、例えば、あなたが目の前の川で溺れている人を見たら、助けようと思いますよね。それと同じで、どの国だろうが関係無いんです。ただ、自分たちが手の届く範囲で、無理なくできるのが「地域」なのかなと思っています。その延長線上で、「国際協力」を捉えています。

2. 富樫泰良の「原動力」

(1)「コドモではムリ」と言われる一方で「応援してくれる人」もいる。

ーーズバリ富樫さんの「原動力」は何ですか

活動に対する原動力は、団体を立ち上げるときに大人から言われた「コドモではムリ」という言葉ですね。つい最近まで「子供では無理だよ」言われていたことが、一つのモチベーションになりました。「見返してやろう」って。

それに、必ず応援してくれる人がいました。例えば東日本大震災で津波の被害にあった宮城県の閖上地区での活動では、声をかけてくれたり、料理を作ってくれたりする人がいます。今回の熊本の炊き出しでも、被災地の方に「ありがとう」と言われるだけで疲れが吹っ飛びました。凄いと思ったのは、私たちに差し入れをくださることです。「あんたたちが食べてくれないと困る」と。「この人たちは本当にすごいな」と思いながら、有り難くいただきました。応援してくれる人がいることが何より、原動力になっています。

(2)富樫泰良の「ジブン本」『○に近い△を生きる』

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ーー富樫さんの人生を形成した「ジブン本」は?

僕、鎌田實さんの『◯に近い△を生きる』って本が大好きで、この本を読んだから今の自分があると思っています。2年前、僕がアメリカに留学している時、日本人の教授に渡された本でした。

本の中で、鎌田さんが何度も、「人生の中の、1日、1週間のなかで、1%誰かのために頑張ったらそれでいいじゃん」と仰るんです。「選択肢は、◯と×ではなく◯に近い△でええやん」と。

僕に一番しっくりきた話があります。
長野の病院の院長である鎌田さんが、脳卒中の患者さんを治療します。ところが、退院した日には喜んでいた患者さんが、数日後に戻ってきて怒鳴るんです。

彼は百姓で「畑仕事がしたいのに、雑草を取りたくても腰も足も動かない。これでは生きている意味が無い」と。その時鎌田先生は、「治すってことが必ずしも正解ではないんだ」と、考え方が変わったそうです。

それ以降の取り組みが凄いんです。鎌田さんは、余命宣告を受けた人たちをわざと退院させて、あえてリハビリをさせたり、元気になってもらう方法を考えました。すると、脳卒中死亡率が高かったその地域の寿命が延びるなど、どんどん面白いことが起きていくんです。

ーーどんな所で、鎌田さんの考えを実践していますか?

この本を生かして、「マルとかバツではなく、第三の選択肢はなんだろうね」と、いつも皆で話し合っています。案が出た時、「それだけで絞っちゃうの?」と言います。「完璧を求めなくていい、△でいいから、皆もっとアイディアや意見を出そうよ」と呼びかけています。

例えば今「Club World Peace Japan」では千葉県の御宿にある「畑」で作物を育てています。それも、「やるか」「やらないか」ではなく、「ちょっとずつやる」とか、色んな選択肢があるじゃないですか。実際、「ちょっとずつやる」ということでスタートさせまして、最初は30㎡だったのに今は60㎡で、これから段々増えていく感じです。

ーーきっかけは小さなことでも、続ければ大きくなる。最初から大きいことをやろうとするから断念してしまうんですよね。富樫さんの活動も、最初は小さい点から始まっています。時間をかけて、人とのつながりを広げていったからこそ、今色々なことができるようになっているのだと思います。

3. 日本の「ここ」が変われば、もっと素敵!

(1)「社会人」という言葉のワナ

ーー初著書『ボクらのキボウ政治のリアル』の中で「社会人」の本当の意味について言及していたのが印象的でした。

読んでくださってありがとうございます。
僕は、今の「社会人」という言葉の使い方に異議申し立てたいですね。日本の社会人って言葉、どの言語にも訳せないんですよ。英語だと直訳すると「A member of society」ですが、「社会人」という言葉はありません。「socialist(ソーシャリスト)」も違いますし……。

この世の中で社会の一員ではない人はいないはずです。しかし、日本では働いてからはじめて社会の一員、社会人として認められるかのような風潮があります。(著書『ボクらのキボウ政治のリアル』より)

今「主権者教育」の重要性が叫ばれていますけど、「政治にもっと興味を持とう」とか「選挙に行こう」とかって、学校で教育しても変わらないと思います。一番、大切なのは「社会人だという自覚」です。

僕の行っていたアメリカやヨーロッパには、「コミュニティサービス」という制度があります。いわゆる「地域活動」を何十時間以上しないと卒業単位がもらえないんです。教室の中ではなく、外の活動の中で、「政治って大切なんだ」「こうやって社会が動いているんだ」「私は社会の一員なんだ」と実感するんですよね。

日本でも「学校の外に出られる環境」が必要です。 大人には「子供でも社会人だ」、子どもには「私たちが社会の一員なんだ」という意味で、「社会人」という言葉が広まってほしいです。

(1)「陰ながら応援」なんて日本だけ

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ーー私(インタビュアー:湯川)が中高生の時、「周りの大人から期待されている」と感じたことは、ほとんどありませんでした。だから、期待に応えたいと思うことも少なかったです。

そうなんですよね。僕は、日本語の「陰ながら応援」という言葉が嫌いなんです。事情がある人が言うなら分かるんですけど、一般人が、「陰ながら応援」っていうのは……。それなら表立って堂々応援してほしいなと思うんですよね。

最近、若者支援のNPOが増えています。日本はまだまだですが、例えば、アメリカで「We Day」というイベントに参加したことがあります。ダライ・ラマさん、アマゾンやマイクロソフトのCEO、スポーツ選手やアーティストなどがゲストスピーカーとして参加しています。参加基準はクラス単位やグループ単位で1年間ボランティアをすること。それだけで参加できて、学校も公欠になります。

20万人も入る大きな会場で、登壇者が「あなたたちが社会を変える番だ!」「学校から出よう!」、そんなスピーチをするんです。「君たちに力がないってだれがいった?」「今ここに何万人いるんだよ?」「こんなに集まっているのに私達に力が無いというのか?おかしいだろ!Stand up!」と。

スピーチは全米で中継されていて、ニュースにもなります。そうすると、子供だけではなく、その親御さん達も見るわけです。「あの有名な社長が、『子どもは外に出るのが大事だ』といってるぞ!」そうすると大人も子供を後押しし易くなるし、子ども達のやる気も出てくるんです。

「大人が積極的に若者を応援する」。そういう考え方が日本にも入ってほしいですし、日本のリーダーがそういう風潮を作るのが大切だなと思います。

4. 同世代の若者へ

(1)「みんな違ってみんな良い」

ーー同世代の若者に、富樫さんからメッセージをお願いします

一つ目は、おたがい価値を認め合ってほしい。
僕が一番思うのは、「みんな違ってみんな良い」ということ。よく、「偉いね」と言われます。でも僕は、偉いなんて思っていません。「経済的な理由でアルバイトを頑張っていて、活動する余裕がない」、そんな人の方が偉いし、凄いし、尊敬しています。

「今活動していない人たちは、悪い人たちなのか?」そんなこと無いですよね。「いつか活動したい」と思う人は沢山いますし、チャンスや時間がないだけなのだと思います。

だから、出来る時に一所懸命やって、休むときは休んで、それを社会全体でローテーションしていければ良いと思っています。

だって、街の皆がゴミ拾いをしたら疲れちゃいますし、やることが無くなっちゃうじゃないですか。
「ごみがでない」って。笑

(2)1日1人1個「誉めよう」

もう一つ、「相手を褒めること」を意識してみて欲しいと思います。
欧米って、「本当かよ」と疑ってしまうくらい、会うとすぐ褒めてくるじゃないです。日本人は恥ずかしがり屋だから、ここまでは難しいかもしれないですけど、「褒めていく」というのは大事だと思います。

毎日、1つ褒められると嬉しいじゃ無いですか。1人1人が1つが褒めていれば、それが回ってくると思いますね。

ーーさっき、冒頭で富樫さんが「『美女インタビュアーですか』」と言って、褒めてくださって、純粋に嬉しいですし、それだけでもインタビューへのモチベーションが上がりました(笑)

ありがとうございます(笑)。日本では、反省会になると言葉通り「反省」しかしないんですよね。でもアメリカの反省会ってネガティブなことは一切言わないんです。「これが、よかったね」「改善点はあるけど、誰が悪いわけでもないじゃん」って。そういう風土って素敵だなと思いました。日本でも、ポジティブに活動を繰り広げられれば良いと思います。

(文・湯川うらら)

富樫泰良の「ジブン本」

 

○に近い△を生きる 「正論」や「正解」にだまされるな (ポプラ新書)

 

 

ぼくの見た戦争―2003年イラク

著者プロフィール

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富樫泰良(とがし・たいら)

若者の声を政治に反映させるため、全国で様々な活動している19歳。日本若者協議会初代代表理事、Club World Peace Japan理事長。慶應義塾大学総合政策学部在学中。2013年8月に今井一氏司会のもと衆議院議員(当時)と中高生と国会議員での国民投票を主題にした討論会を開催した他、「世界一大きな授業」では超党派国会議員らに授業を担当。東日本大震災の被災地で10代の意見を復興計画に反映させるため「閖上復興こども会議」を発足、コミュニティー再建にも取り組む。

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