国境なき料理団代表が語る「今」食べているもので、未来が変わる。世界を動かす人が意識して食べているもの

「師匠があなたの悩みを解決します」がコンセプトの「師匠語り」。
今回は、和ビーガンシェフ/ 国境なき料理団代表の本道佳子さんに世界を大きく動かす人々が注目する自然食やビーガン料理について語っていただきました。

各地で人々を笑顔にする「愛あるご飯」を届ける世界を旅する料理人、本道佳子さん。
NYで世界のVIP相手に料理をふるまう女性シェフとなったのちに、アメリカ西海岸に移り住んだ経験を持っている。そんな彼女から自由な気風の西海岸の自然食を学んでいきます。

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本道佳子(ほんどう・よしこ)
和ビーガンシェフ / NPO法人・国境なき料理団 代表理事。
高校卒業後、単身で渡ったアメリカで世界中の料理に触れる。
帰国後は野菜料理のシェフとなり、『食で世界が平和になったら』の想いを胸に、
病院 とのコラボ「最後の晩餐」など様々な活動を続ける。
その人柄と大胆でカラフルな野菜料理は評判となり、2014年「湯島食堂」閉店後も、世界の各地で愛あるご飯をお届け中。

90年代後半、西海岸のシリコンバレーが世界を変えていく様を目の当たりにし、志が高い人たちがこだわる食について、その根底にある禅的でシンプルな考え方について話をうかがいました。

今週のテーマは「禅、ていねいに生きる」。
書評テーマの連動企画としてシンプルな食事について着目していきます。

人間本来の姿に戻る?自然食に興味を持ったわけとは

90年代半ば、私はアメリカの西海岸で料理人として仕事をしていました。
そこの人たちがみな、自然食を食べていたんです。

実際、30年も前からアメリカの西海岸をはじめとした地域では、自然食を食べる人がほとんどでした。そして、そこに集まった人たちが世界を変えていく多国籍企業を生み出していることを知りました。

お昼ご飯に、野菜を食べた人と肉を食べた人では、消化にかけるエネルギーが全然違ってきます。肉は消化にものすごくエネルギーを使うので、夕方に眠くなったりする人が多いんです。野菜食はすぐ吸収されるので、余分なエネルギーは使わない。
だから、集中力も長続きします。

あの地域一帯(アメリカ西海岸)で、食の大切さに気付いた人たちが、自然食になっていったのを目の当たりにしたんです。

スティーブ・ジョブズなどがその例です。

食に意識を向ける人たちを目の当たりにして、いかに自然食が人間のクリエイティブな
発想に影響するかがわかったんですよね。直観力が身につくようになるんです。

人間は本来、直感的な力を持っています。原始時代、人間は狩りをする場面でも、
直感的に獲物の位置を把握できたり、気配を感じられていました。

人間には生きていくために、直感的に物事をみる力が本来備わっているように思います。

しかし、文明が発達した現代ではインターネットの普及で四六時中、人は情報に翻弄されていて、頭の中にある直感的な部分が覆いかぶされているような気がするんです。

人間が本来食べていた、野菜中心の生活、シンプルな生活に戻すと、もともと持っていた直感的な部分がクリアになると思うんです。

自然の大地で愛情たっぷりに育った野菜を食べると、気の力や大地のエネルギーの影響を受けるからでしょうか。
自然のものから吸収する部分が多いように思うのです。
だから、かるい料理を食べている人の方が、直感的に優れてくるのかもしれません。

忙しい毎日を送るサラリーマンの人たちに、いま一度、野菜の大切さを気付いてもらえたら嬉しいですね。

日頃忙しいサラリーマンが、仕事の効率を良くするには?

アメリカ西海岸をはじめとしたシリコンバレーでは食にこだわる人がほんとに多いです。みな自然食を食べるんですよ。

仕事ができるトップに立つ人ほど、食にこだわっていました。

というのも人間は本来、食べるものからできています。
口にいれたものが自分のDNAを形成していくんです。そのことを多国籍企業などのトップに立つ人はわかってるのだと思います。

しっかりとしたものを食べれば斬新なアイデアや直観力が生まれてくる。
世界を変えていくような人たちは、自分のからだに取り入れるものから徹底的にこだわっている気がするのです。

先ほども言ったように、自然食やビーガンは人間が本来もっている直観力を養う働きもあります。野菜中心の食生活になると直観力が優れていくようになるんです。

シンプルな食事には禅的な考え方もはいっているから、自然と自分自身に向き合うようになる。
そうすると、仕事に対する取り組み方も変わって、効率がよくなってきます。

それに、大量の仕事を目の前にして、シンプルに整理整頓する力と言いますか、直感的に物事を把握する力が向上して、仕事のパフォーマンスにも影響すると思うんです。

自然食を食べていると、精神的にも落ち着いて、こころがすっきりしてきます。
人間、いい人には自然と人が集まってくるんですよ。文句や人の悪口を言っている人に、人はついてきません。

仕事に対するモチベーションは食生活から来る部分が大きいと思います。

世界を変えていく直観力とは何ですか?

直観力って本当に大事なんですよ。
道を歩いていて、なんとなくこっちに行ってみようとか。行ってみたら凄い人に出会えたとか。人間みな、直観的なものを持っているものです。
だけど、インターネットの普及で、溢れる情報によって、直感力が邪魔されてしまっている。

先ほども言ったように、世界を変えていったアメリカ西海岸の人たちは、直観力の大切さをわかっていたのだと思います。たとえば、スティーブ・ジョブズは、大事な経営方針も直感的に決めるから、部下の方々はついていくのが大変だったかもしれません。
だけど、この直感的な決断が今のシリコンバレーを作っている。世界を変えていくものを作り上げていったのだと思います。

既存のものを組み合わせても、すでにあるものの組み合わせにしかすぎない。
これからの時代は、すでにあるものを組み合わせて新しいものを作るだけでなく、
直感的に何か新しいものを作りだす力が必要なのかもしれない。

現にスティーブ・ジョブズを筆頭としたアップル社は市場調査をしないことで有名だった。
市場調査で顧客にウケる商品を既存のものから探すのではなく、自らの手で物事の本質を見抜いた製品だけを作り上げていった。

その根底にあるのが、物事を直感的に把握する力だったりするんです。
禅的な考え方やシンプルな食事がその背景にはあります。

その直感的な力が、世界を変えていく。新しいものを作っていくような気がするんです。
人間本来持っている直観力を見つめ直すためにも、野菜中心の自然食は大事なんですね。

見直してほしい日本食の大切さ

ニューヨークでシェフをしていた頃、ある人に
「なぜ、こんな所にいるんだ。君の国には素晴らしい料理があるじゃないか」
と言われたんです。

アメリカ人で日本食に興味がある人は本当に多いんですよ。

昔、大和魂の心意気を持つ日本人に接したアメリカ人が、あの日本人の集中力といい精神面の強さはいったい何なんだ?と疑問を持ったようなのです。

それで、アメリカ人の中には、日本が古来からたべていた粗食や自然食が
あの精神的なタフさに影響するのでは?と考えた人もいたみたいなんですね。

その考えが今のアメリカ西海岸に渡っていったのです。
シリコンバレーで戦う人たちにタフな精神力を与えているのは、日本人が古来から食べていた自然食だったりするんです。

日本人が忘れてしまったものを、アメリカ人が気づき、実践していったような感じです。

大切なのはイメージ力。 Win-Win-Winの世界

自分の未来を切り拓くのに大切なのは「イメージ力」だと私は思うんですよ。
自分がこうなりたいと細かく思い描けば描くだけ、自然と道は切り開けてくるんです。

そして、大切なのは受け取った相手がどれだけ幸せになれるかを真剣に考えることです。
要するにビジネスで今はやりのWin-Win-Winの世界です。

自分がした仕事や作りあげたものを受け取った相手が、どれだけ素晴らしいことになって、その人の周りを幸せにできるか。そこまで考えると、自然と仕事が目の前に来るようになるんです。

自分がこうしたい!というだけじゃなくて、相手をどれだけ幸せにできるのか?
そのことを真剣にイメージすることが仕事上で大事だと思います。

直観力ってほんとうに大切なんですよ。左脳だけでなくて右脳も大事なんです。
これだ!今だ!と思えた瞬間に自分をどれだけ信じられるのか……そこが大事です。
その直観力がいかに冴えるのかは、私達が普段たべている食べ物の影響だったりするんです。

世界各地を走りまわる国境なき料理人

日本には和え物という料理があるでしょ。
食材を和える。そうすることで、人と人とが和える料理を目指しているんです。

料理を通じて、世界の人と友達になることを目指し、各地を走り回る本道さんの姿は
坂本竜馬そのもの。25歳で勤めている会社を辞め、本場ニューヨークへ
世界の料理を学びに単身で飛び込んでいくポジティブ精神には驚かされました。

人が今までやってこなかった事に飛びこんで行くことが好きと語る本道さん。
20代でニューヨークに飛び込み、世界中の料理を、世界中の人々と食べていくうちに気付いた日本食の奥深さ。

未来を憂いても仕方がない。
大切なのは「今」。「今」食べるもので未来は変わってくる。

禅語で「而今」という言葉があるように、仕事や人生においても、過去にこだわり、将来を気にしたりせず、「今」だけに集中することが最も大切なのかもしれない。
「今」、食べているものがその人の体、DNAを作り上げているのです。
世界を動かすエリートたちはそのことに気付いていた。

(文・kikuchan/取材・土田遥香)

本道佳子のジブン本

竜馬がゆく〈1〉

  • 著者:司馬遼太郎
  • 出版社:文藝春秋
  • 発売日:1998/9/10

 

自分の人生に影響を与えた本を聞いてみたら、『竜馬がゆく』という答えが返ってきた。
幕末の日本を変えるために各地で人と出会い、人と人を結び付けてきた坂本竜馬の姿は
本道さんとかぶるものが。

竜馬は刀を懐に入れて、海を越えて世界に行こうとした。
私は刀を包丁に変えて、料理を通じて、世界へ飛び出していく。

技術さえあれば世界中どこへでも仕事ができるということを伝えたいと語る本道さん。

自分の技術で世界中の笑顔に出会えるようなことをしたいんですよ。
私の場合、料理でしたが、料理以外でも他の業種でもできると思うんです。

本道さんは今も、全国各地で「愛あるご飯」を、人と人をつなぐ料理を届けている。

プロフィール:本道佳子(ほんどう・よしこ)

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和ビーガンシェフ / NPO法人・国境なき料理団 代表理事。
高校卒業後、単身で渡ったアメリカで世界中の料理に触れる。
帰国後は野菜料理のシェフとなり、『食で世界が平和になったら』の想いを胸に、病院 とのコラボ「最後の晩餐」など様々な活動を続ける。
その人柄と大胆でカラフルな野菜料理は評判となり、2014年「湯島食堂」閉店後も、世界の各地で愛あるご飯をお届け中。

『夢を叶える精進料理 湯島食堂のミラクルごはん』

『湯島食堂 ちからがわく野菜の100皿 大人気野菜レストラン』

『食事で願いを叶える湯島食堂の ご飯とおかず 心と体と魂を 癒すレシピ』

『最期の晩餐~がん治療へのターニングポイント~』

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WRITERこの記事を書いた人

kikuchan

6月9日(ロックな日)生まれ。 映像制作会社勤務。TSUTAYAから年賀状が届くほどの映画マニア。年間350本の映画鑑賞。 「映画ばかり見てないで、勉強しなさい」と言われて育つ。 学生時代は映画の新人賞受賞。文学だけでなく、あらゆる本を読むようにしてます。 好きな本:『竜馬がゆく』『スティーブ・ジョブズ』 趣味:座禅