なぜ、君達は働かないんだ?
現代日本を代表する社会問題‥‥フリーター、ニート。
先進国の中でも、働けるのに働かない若者が多いのは日本特有の現象のようだ。
2015年には、全国のフリーター人口は167万人にのぼり、今後高齢化が進む日本にとって、働かない若者の存在はますます深刻化していくと考えられている。
なぜ、多くの若者が働かなくなってしまったのか?
今回は、フリーター歴1年半のOさん(20歳)に密着24時間インタビューをしてみた。
フリーターの1日
今はアルバイトをしていないというOさん(20歳)
Oさんの1日のスケジュールを聞いてみた。
1日のはじまり
13:00 起床
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13:30 朝風呂に入る&昼食
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14:00 ネット閲覧開始
マンガ、ゲーム、アニメなどを鑑賞
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20:00 晩御飯を食べる
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20:30 ネット閲覧再開
↓ マンガ、ゲーム、アニメの鑑賞
↓
↓
↓
↓
↓
翌日6:00頃までマンガ、ゲーム、アニメを鑑賞……



……以上。
……素晴らしき高等遊民だ。
なぜ、フリーターになってしまったのか?
ここで問題にしたいのが、なぜOさんがフリーターという状態になってしまったのかということだ。フリーターやニートという言葉が生まれたのはつい最近。
なぜ、働かない若者の増加が注目されるようになったのか?
また働きづらさを感じる若者の心情を聞いてみたいと思う。

—なぜ、フリーターになってしまったのですか?—
Oさん:まず、一回目の大学受験に失敗してしまい、そこから一浪して大学を目指したんです。けど二度目の受験も全部落っこちてしまい、やる気がなくなったんですね。大学に行かないと就職も厳しいということですから、高卒の自分なんかができる仕事なんて限られているので、働く気すらなくなってしまったんです。
—高卒でも働き口はあると思いますが、それでも働かないのですか?—
Oさん:う〜。働かなきゃいけないという思いはあるのですが、現状に甘えてしまっている面も大きいです……
現在、母親と兄との三人で暮らすOさん。
働く意思はあっても行動に移しきれていないようだ。
アルバイトの求人も探しはするが、実際に応募することはあまりないらしい。
このように無職の息子(20歳)を持ってしまったOさんの母親にも話を聞いてみた。
—母親の立場からして息子さんに何を望みますか?—
母:やっぱり自立して欲しいんです。ちょっと甘やかしすぎて育ててしまったような気がします。兄(23歳)は昔から自立して、自分から切り開いていく性格なんですが、弟の(Oさん)は兄の後ろをついていくだけで……。
弟の方は過保護に育てすぎてしまったのかもしれないです。

インタビューを続けるうちに、たびたび浮上する兄の存在。
Oさんには2つ年上の兄がいる。優秀な大学生の兄との関係も含め、Oさんには、もっと深い部分で仕事を探す気になれないポイントがあるのではないかと思い、インタビューを続けてみた。
ここで24時間密着取材を行う中で、浮き彫りになったOさんの人生年表を見て欲しい。
フリーター人生年表(Oさんの場合)

1995年10月30日、岩手県盛岡市で生まれる。
生まれて間もなく、宮城県に移住。
その間に、母の実家岩手県にちょくちょく行き、Oさんの幼少期が形成される。
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1〜5歳まで保育園(宮城)
一番古い記憶が家族旅行。暴走気味の2つ年上の兄は、7歳にもかかわらず、一人で宮城から横浜まで旅に出てしまうほどの破天荒ぶりだったらしい。可愛げがない兄とは違い、おとなしい弟は愛情たっぷりに育てられる。
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6〜12歳 小学校(仙台市)
ゲーム好きの兄の横でひたすらゲームに明け暮れる。友達も兄つながりの子が多かった。破天荒な兄は近所の友達を騙してゲーム機をただ同然で強奪していく。
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13〜15歳 中学校(仙台市)
兄に連れられて、兄と同じソフトテニス部に所属する。兄弟のネタで周囲からいじられることが多かった。
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16〜18歳 高校(仙台市)
生徒会と軽音部、放送部を掛け持ちするも、一年でほぼ退部する。
17歳の時に兄が東京の大学に進学し、弟は一人宮城に残るも、相変わらず、のんびりした生活をおくる。家の事情もあり予備校に通うことなく大学受験に挑むことに。
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19歳 浪人 早稲田大学を目指すも失敗
模試の結果が良好で明治、法政大学などを受験するも不合格に。受験に対する知識不足で滑り止めを受けていなかったことが原因のようだ。
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20歳 大学受験を諦め、フリーターへ

Oさんに幼少期の思い出を語ってもらうと、ほぼ全てに破天荒な兄の存在がちらつかせる。
そして、何よりも大学受験の失敗。その当時のことをOさんの兄と母親に聞いてみた。
兄:投資する場所を間違えたんですよ。大学進学にお金がかかるとはいえ、予備校に通わせないのは間違ってました。大学に受かるまでにお金をかけるべきだったんです。すべての失敗は予備校に通わせなかったことから始まると思うんですよ。
母親:私も無知だったんです。受験のことをあまり知らなくて。大学の学費だけでも相当かかるので、予備校代は減らそうと思って。本当に申し訳ないことしたなと思います。
予備校に通うことなく大学受験に挑み、失敗してしまったOさん。その挫折が大きな傷になっているようだ。
「大学を出てないと就職も厳しいというイメージが大きくて、高卒の自分はやる気が起きないんです」
Oさんのように感じる若者の多いのではなかろうか。
しかし、Oさんの場合、優秀な兄への劣等感が大半を占めていることがインタビューを通じて感じることができた。
カードゲームをする場合も、兄が率先して友達を家に呼んでくれるため、自分から友達を作る必要もなかったという。
「自分は兄には勝てない」
そう語るOさん。兄には勝てないという潜在意識、思い込みが根本的な問題なのかもしれない。
目標がないことがつらい

Oさんにとって一番つらいことは何か聞いてみると、意外な答えが返ってきた。
Oさん:目標がないことがつらいんです。
目標や夢を持たなければならないという風潮に押しつぶされて身動きが取れなくなる若者が多いような気がしてならない。
このことこそ、フリーターやニートを問題とする時に、語るべきポイントなのではなかろうか?
そして、周りと自分を容易に比較できてしまう時代だからこそ
生まれた劣等感もあるのではなかろうか。
SNSの普及で自分のリア充度や友達の多さを簡単に発信できてしまい、
自分という存在が希薄化している。
ちなみにOさんはSNSをやっていない。
他人と自分を比較できてしまうからこそ、SNSを見ることができない若者も
多いはずだ。
フリーター、ニート。彼らは社会の底辺だと思われている。
しかし、弱者なりの問題点を考えることなしに、一方的に弱いものいじめをしても、彼らは家から出ることはできない。ましてや一歩踏み出して働くこともできない。
「つべこべ言わずに働け!」
それはごもっともだが、劣等感が容易に感じやすくなった時代だからこそ生まれた新たな問題を、何も知らない評論家が語るだけでは問題の解決にはならない。
フリーター、ニートを脱出するには

少しばかりニートを体験した自分の経験から言うと……
目先のことを。
例えば、ある漫画を全巻揃えたい、海外旅行に行きたいなど何でもいい。
簡単な目標を立てることがとても大切だ。
簡単な目標さえあれば、アルバイトぐらいだったら耐えられる。
その繰り返しなのだ。
そして、とにかく行動を。
行動しなければ何も始まらない。
現代社会を代表するフリーター、ニート問題。
自分は人付き合いが苦手だ、人と話すのが嫌いだなどの理由で
フリーター、ニートを選んだ人も多いはず。
しかし、小さな目標を作り、とにかく行動するしかフリーター、ニートから脱出する方法はない。本人が働きたいと望むのだから。
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