生きる意味って?生きる前にはわからない。~食べログNO.1カフェ・クルミドコーヒー店主・影山知明に聞く「幸せ」とは~

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一度行ったら忘れられない世界観。
手間ひまかけてつくられた、人のぬくもりを感じるコーヒーやスイーツも、とっても美味しい。
お話し会や演奏会など、さまざまなイベントも開催され、老若男女が集う、そんな場所。
———–筆者も虜になり、足繁く通うカフェ。【クルミドコーヒー】

 

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素敵な人が集まるのは、素敵な店主がいるからだ。
そんなことを思い、クルミドコーヒー店主である影山知明さんにお話を伺いました。

影山さんの思う「幸せ」って?
「幸せ」になるにはどうしたらいいの?

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≪影山知明・プロフィール≫
1973年西国分寺生まれ。東京大学法学部卒業後、マッキンゼー&カンパニーを経て、ベンチャーキャピタルの創業に参画。その後、株式会社フェスティナレンテとして独立。2008年、西国分寺の生家の地に多世代型シェアハウスのマージュ西国分寺を建設。その1階に「クルミドコーヒー」をオープンさせた。同店は、「食べログ」(カフェ部門)で全国1位となる。NHKテレビ NEWS WEB の第4期ネットナビゲーター(火曜日担当)も務めた。

2つの質問にYESと答えられる人は「幸せ」

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————–今、「幸せ」に対して不安があったり、生きづらさを抱えている若者が多いと聞くのですが、彼らが「幸せ」を掴むには、どうしたらいいと思いますか?

まず、この2つの質問に、「はい」と答えられたらその人はかなり「幸せ」だと言えるのではないかと思います。

「あなたは、周りの人に必要とされていると感じますか?」
「あなたが困っている時、助けてくれる人がいますか?」

『自己効力感』というものがありますね。これは自分が役に立てる、機能性を発揮できると感じられる感覚のこと。ただこれを得るためには常々、「すごい自分でいなきゃいけない」「頭がよくなければ」「かっこよくなければ」「可愛くなければ」というような試される問いに応え続けなければいけない。

ただそれは、うまくいくこともあれば、必ずしもそうではないこともあります。

一方、『自己効力感』ではなく、『自己肯定感』といって、できる自分もできない自分も含めて、丸ごと「それでいい」と受け止めていく感覚もある。そのためには、そのままの自分を受け入れてくれる、どんなあなたも大切だよ、と受け入れてくれる人の存在が大切だと思う。

————–『自己肯定感』を育てるには、どうしたらいいのでしょうか?

まずは、自分から、目の前の人を肯定してあげること、相手の存在をそのまま受け入れることをやってみてはどうかと思います。

挨拶でも良いし、相手の意見を判断するようなやり方ではない、ただ「聴く」という行為であったり。自分から積極的に相手を支援することで、それに対して自分のことも同じように、そのまま受け入れてくれる人が出てくると思うんです。

話すよりも「聴く」こと。それが自己肯定感を高める秘訣

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僕が使ってる「聴く」というのは、どっちかっていうと、「受け止める」という言葉に近いニュアンスで言っています。できるだけ先入観とか決めつけを排除して、その人が、表情や身振り手振りも含めて、何かを伝えようとしていることへ想像力を働かせることを含めて“受け止めてあげる”ことだと思うから、「何かをしてあげること」ではない。

アクティブ・リスニングではなく、「何もしない」ということ。

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質問やコメントを挟むとき、それに評価が加わっちゃうことがある。
「ダメ」と言われるよりは「いいね」と言われたい気持ちは誰しもあるけど、それを言われること自体も、「あ、この人は、そういう目線で私の話を聞いてるんだ」って思った瞬間に、話すことに対して慎重になっちゃうし、良いこと言わなきゃいけない気にさえさせるかもしれない。

そうすると、さっきの『自己効力感』の方に寄っていくんだよね。“自分はそういう風に機能性を発揮しないと、役割を与えられないんだ”って思ってしまうと、すごく不安になる。

「ただ聴く」ことができるようになると、話す人が話しやすくなり、結果的にお互いにアイデアが出てくるようになったりもする。話す側も、それを聴かせてもらってるこっち側にとってもそれは前向きなことですね。
それに、そういう経験をすると、「お互いさま」っていうのがあるから、(話す人が)聴く側に回ったときに、すごく丁寧に聴いてくれるということも起こるかもしれない。

中にはそうじゃない相手もいてね、すごく受け止めてあげてるのに、向こうはそのことに感謝の気持ちもなく、ひたすらしゃべり続けるとか。
こっちのことなんて意識にない、なんていう人もいるから、それはそれで傷つくことなんかもあるとは思う。
でもそういう経験を積み重ねていくと、じゃあ今関わっている相手側はどんな気持ちなのかっていうことを想像できるようになってくるかもしれない。
そこは辛抱強くやらないとっていうところがあるね、きっと。

「やりたいことがみつからない?」それは歩いてないからだ。

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僕のもうひとつの座右の銘は、「犬も歩けば棒に当たる」。
裏返して言えば、「歩かなければ棒に当たらない」ってこと。

今「インディアンの知恵」に興味があってね。でもそれって今までは極端に言えば「どうでもいい」ゾーンにあった内容。でも、今年のGWにカナダのバンクーバーに行ったときに、「ファーストネイション」(その土地に住む人)について熱く語る人、そういう仕事をしてる人にたまたま出会って話を聞いて、「あ、面白いな」って思ったんだよね。

バンクーバーには、絶対に行かなきゃいけないということではなかったんです。
でも、行くか行かないかとなったとき、とりあえず行ってみようって。航空会社のマイレージもたまってたしね。
行ったら行ったで、出逢いがあり、興味が広がる、世界が広がる。新しい仕事だって始まる、ということが起こる。それらをドライブさせる一番大切なものは「好奇心」だと思う。

それはこのクルミドコーヒーを作ったこと自体もそうで。当時の自分は別に、カフェをやりたかったわけじゃなかったけれど、とりあえずやってみるっていう。そうして8年が経った今になってみれば、自分はカフェをやるために生まれてきたんだくらいに思ってる。
とりあえずやってみて、とりあえず歩いてると、何かにぶつかる。そこはもう計画的じゃなくて良いんじゃないかって。

旅に出る目的って、旅に出る前はわかんない。その目的は、実際行った後になって分かる。生きるってそういうこと。生きる意味って何なのかというと、生きる前には分からない。だからこそ、とりあえずやってみるべきなんだ。

 

≪影山知明さんの幸せを感じる瞬間≫

「幸せ」っていうのは、ある瞬間のことではなく、状態のこと。だから、「幸せ」だと思えばいつも「幸せ」。その中でも特に挙げるとするならば……

★☆☆……ささやかな幸せ
シェアハウスを運営していて、その中に“共用スペース”というものがあるんだけど。そこで、住民のある人が、ギターを演奏してくれたことがあってね。そこに人が集まって、その演奏を聴いているときに、幸せだなと思った。こういう場をつくるまでの苦労がすべて報われる気がしました。

★★☆……人生の転機になった幸せ
『ゆっくり、いそげ』を出版したことですかね。元々、いつかは出版してみたいと思って、書くとしたらどんなことを書こうかメモしたりはしていたけど、まさか本当に出せるとは思っていなかったから。色々な人が読んでくれたりだとか、自分の考えを形に残せたっていうのは大きなよろこびです。

★★★……これまでの人生で、最大の幸せ
かっこいいことを言うようだけど、何よりも、今クルミドコーヒーだったり色んなところで一緒にやっている仲間と出会えたことが、僕にとっての最大の幸せだなと。
スタッフもそれぞれ、いつかクルミドコーヒーを卒業することがあるかもしれないけれど、ここでの関係は一生続いていくんじゃないかと思う。

編集後記

インタビュー中、何度も「小島さんはどう思いますか?」とインタビュアーの考えを聴いてくださった影山さん。
「聴く」という行為が、話し手の幸せだけでなく、自分の「自己肯定感」「幸せ」にまでつながるというお話が印象的でしたが、まさにそれを実践されていることも、今回お話を聴いて実感することができました。
次に誰かと話すときは、いつもより少しだけ「聴くこと」を意識してみてはいかがでしょうか??思わぬ「幸福」がやってくるかもしれません。

(文・小島佑依里)

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Myコーデ

WRITERこの記事を書いた人

小島 佑依里

「歩く雑誌」を目指し中。インタビュー・留学・ボランティア等を通して、老若男女・国籍・障がいの有無関係なく、専業主婦から著名人まで様々な背景をもつ人々と交流してきた経験から、人の価値観・個性は違いどれもが素敵であると実感。“自分も相手も大切に”を軸に、気づきを促す記事を書いたり、人の魅力を文字、アート、五感で表現するセッションも行う。芸術鑑賞と美味しいものが好き。合言葉は「そんなのもありなんだ」!