下流が渦巻くパリ『ゴリオ爺さん』

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ゴリオ爺さん

  • 著者:バルザック
  • 出版社:新潮社
  • 発売日:1972/5/2

『ゴリオ爺さん』フランスの文豪オノレ・ド・バルザックにより、1835年に発表された長編小説で代表作。
パリを舞台に、子煩悩な年寄りゴリオ、謎のお尋ね者ヴォートラン、うぶな学生ウージェーヌ・ラスティニャックの3人の生き様の絡み合いを追う。ブルボン家による王政復古の時代を舞台に、貧乏下宿屋に住む怪しい面々が上流階級の座を確保しようともがく人々の姿が遍く描かれている。

バルザックは、ゴリオや他の人々を通して、家族や結婚の本質を分析し、王政復古の制度を悲観的に描いてみせた。

哀れな爺さん

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下宿屋ヴォケール館に住むゴリオ爺さん。この老人はいつも他の下宿人たちから嘲り笑われていた。なぜか知らないがいつも貧乏。だが時折、着飾った謎の女たちがゴリオ爺さんの元を訪れる。変にリッチな女の影がある。周りが愛人だろうとみんなが噂をしていたところ、実はそれは娘。

ゴリオは娘たちを溺愛していた。
娘を上流貴族に嫁がせるためには、教育やしつけに習い事、衣装代やら舞踏会・茶会、遊興・交際費、贈答など出来ることは全てやった。

ゴリオはパスタ事業で莫大な財産を築いていた。それを全部娘二人の持参金にして、大金持ちに嫁がせたために、貧窮していることがわかる。

戦争のが終わり、平穏な時代になると、婿たちは商人であるゴリオ爺さんとの関係を疎ましく感じるようになった。娘の一家から離れ、一人さみしく暮らすはめになったゴリオ。そして娘たちは舞踏会の衣装やらなにやらと、しょっちゅうゴリオのところへ金をせびりに来ていたのである。

ゴリオはゴリオ爺さんは娘たちにますますむしられ、ますます貧しくなる。それでも、娘たちに会えるゴリオは嬉しかった。
だが、社交界で、「あの父親(ゴリオ)は何もかも与えてしまったのよ。あっという間に財産も全部与えてしまって。まるでレモンの搾りカスのよう」と噂されていた。

というのに、ゴリオ本人は、「このわしの命は、ふたりの娘のうちにありますんじゃ。あの子たちが楽しい思いをし、幸せで、きれいな格好をしていればそれでいい。ワシはどうなったっていいんじゃ」という溺愛ぶりで、親馬鹿丸出しなのだ。
父親の経済力のおかげで、長女は伯爵夫人、次女は男爵夫人になれた。だが、娘たちはゴリオのことなどどうでもよかった。

娘たちが下宿屋にやってきて、二人とも高額の借金が返せないので、金が欲しいとゴリオに迫り、ゴリオにはもう金がないのを知ると、口論になる。ゴリオは興奮して倒れ、寝込んでしまう。
看病をするのは、ラスティニャックと友人の医学生ビアンションの二人だけ。娘たちは、舞踏会に出席する用意に忙しくて、顔すら見に来ない。

ゴリオは死の床にありながら娘たちにも見舞ってもらえず、娘たちの不孝に激怒しながら死んでいく。父親の無償の愛と、それにつけこむ娘たちの残酷さ。下流に堕ちた哀れな爺さんであった。

野心家ラスティニャック

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下宿屋ヴォケール館に住む、貧乏貴族で田舎から出てきたばかりの法科学生ラスティニャックがいる。そして、ヴォ―トランという輪郭のくっきりした個性的な男も同宿している。

ラスティニャックは、上流階級に憧れを抱くようになる。なかなか上流社会に適合できずにいたラスティニャックは、従姉妹で社交界の花形だったボーセアン子爵夫人に処世術の手ほどきを受ける。
社交界に華々しく登場し、出世の足がかりを掴みたいと、若者らしい野望をめらめらと燃やすラスティニャックに悪智恵をつけるのがヴォ―トランである。

「君は財産がほしいのに、一文もない。ごった煮を食べていて、社交界のすばらしい晩餐に憧れている。お粗末なベッドに寝ながら、堂々とした邸宅を持ちたいと願っている。そんな欲望を非難しているってわけじゃない。野心を抱くっていうのは、いいかね、君、誰にもできることじゃないんだ。女たちがどういう男を求めているかきいてみたまえ、野心家さ。野心家ってのは、ほかの人間よりも頑丈な足腰、鉄分を多く含んだ血液、熱い心臓をもっているんだ。そして女っていうのは、自分を強いと感じるとき幸せになり、美しくもなるので、誰にもましてずばぬけて力強い男を選ぶ。たとえ自分が、その男に打砕かれる危険があってもな」。
そして、その具体的な進行計画を示した上で、恐るべき陰謀の役割分担を説明し、共に幸運を掴もうと迫るのだ。
ヴォートランにそそのかされたりしたこともあって、ラスティニャックは社交界での成功を目論む。
そしてその背後で登場人物たちすべての運命を激変させる騒動が……

この作品の主人公は、実はゴリオでもラスティニャックでもヴォ―トランでもなく、彼らを包んで渦巻いている、パリそのものであると言って差支えない。彼らのドラマはパリでしか成立し得ず、それどころかパリという町の複雑怪奇なありようが否応なしに彼らのドラマを生んだのだ。

ちなみに、この作品の影響で、「ラスティニャック」は、フランス語で’出世のためならどんな手も使う野心家’をさす代名詞となった。

ゴリオ爺さん

  • 著者:バルザック
  • 出版社:新潮社
  • 発売日:1972/5/2

モデルプロフィール

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  • 名前:柳 裕香
  • 生年月日: 1994/6/2
  • 出身地:埼玉県
  • 職業:津田塾大学
  • 受賞歴:ミスユニバースジャパン栃木大会準グランプリ
  • 趣味・一言:お酒を呑むこと 美味しいものを食べること 運動すること
  • 最近の悩み:就職活動
  • Insta:@missyukayanagi
(カメラマン:伊藤広将)

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Myコーデ

WRITERこの記事を書いた人

タバオ

大学受験に失敗し、1年浪人するも不合格。コンビニ、土方、ヒーローショウ、環境調査隊、家電量販店のアルバイトを経験するが、やがてはニートにまで落ちる。だが、失うものがないからこそ、開き直れる! 高卒だっていいじゃない。ニートだったからって何なのさ! よく読むのは、歴史小説と漫画。好きな歴史小説『播磨灘物語』、漫画『NHKにようこそ!』。