くくく…なアイデアを思いつくために 『たくらむ技術』

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昨今、おもしろいとはこうだ、企画術はこうだと数多のアイデア本が私たちに説法をしてきます。しかし、ある疑問が浮かんでしまうのです。

彼ら(著者)は本当におもしろい人間なのか?

本を読む上では、論理だって「おもしろい」を説明してくれる本の方が嬉しいかもしれない。でも、世の中には直球でおもしろい仕事をしている人がいる。

なら、そいつに聞いた方が話は早いんじゃない?

ということで今回は、「おもしろいアイデアが思いつかない」悩みを解決すべく、人気番組「アメトーク!」や「ロンドンハーツ」の総合演出・プロデューサーを務めている加地倫三の「たくらむ技術」を紹介します。

Point1.企画は自分の中にしかない。

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テレビの仕事をするということ。それは、誰よりもおもしろくなければならない……と、鋭い固定観念に囚われてしまいますが「面白い人でなくていい」と加地さんは断言します。企画を考える際、「企画は自分の中にしかない」と語る加地さん。なんとアンテナを張っての情報収集は一切やっていないそうです。

大切なのは、トレンドに背を向けること。実際、「アメトーク!」のテーマを見てみると「運動神経悪い」「中学のときイケてない」「すぐモノ買っちゃう」と流行でも何でもありません。世の中が思うおもしろいより、自分が確信持てるおもしろいの方が実になった企画になりやすい。

さらに、分析を大切にする。トレンドなどの知識を収集するよりも、「なんで?」と「逆に?」の視点がアイデアマンの道だと語ります。

―「なんで?」の視点―

「めちゃ×2イケてるッ!」のテロップの入れ方が確信的であると例を出しています。出演者の発言だけでなく、その状況ですらテロップにしてしまう。
例)事件①最後までキンタロー。に興味がない板野知美。

これだけ簡潔なテロップなのに「なんで?」おもしろいのか。それは視聴者が思っていることを一言で表す簡潔性が共感を生むのと、絶妙にシュールな空気感を演出するからです。

―「逆に?」の視点―

「アメトーーク!」のテーマにはぶっとんでいるものがいくつもあります。例えば、「売れていないのに子供いる芸人」なんかは放送自体見送られるレベルの危なさです。ゴールデンタイムに売れていない芸人を、売れている芸人と並べることのリスクは計り知れないですし、身内ネタでしかない。

でも、「逆に?」考えると、視聴者は「これで最後まで持つのか?」といい意味で心配になり画面に喰いつきますし、売れていない芸人をアピールする機会にも繋がります。ひょんな雑談も「それはないなー」って思うより「逆に?」と面白がってみることが企画のコツです。

Point2. テレビ業界ならではの企画ドラマあり

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加地さんの作品は「アメトーーク!」だけじゃありません。あの大ヒット番組「ロンドンハーツ」も代表作です。本当にギリギリのラインを放送してきますよね(笑)。実は、「ロンドンハーツ」の裏に壮絶なドラマがあったことが本書で明かされています。

放送当初から企画が当たり(芸能人の恋愛相談に乗る企画など)、瞬く間に人気番組へと成長していきました。2003年には看板企画の「ブラックメール」も定着し、素人相手に恋愛ドッキリをかける企画が主流になっていきます。しかし、ここで落とし穴が……。

どうしたことか、番組5年目にして視聴率が低迷。んん? これまで人気だった素人恋愛企画も視聴率は軒並み一桁台に。これまで平気で視聴率10%~20%をたたき出してきた「ロンドンハーツ」からはあり得ない数字です。理由は簡単でした。視聴者の「飽き」です。

人気企画に溺れ、ヒットに甘えてしまったのです。ニーチェ風に言うなら「神は死んだ」でしょう。ここからは地獄の10週間だったと語っています。やることなすことどれも外れ、本気で番組終了が見えたそうです。

―最後の大博打「格付けしあう女たち」―

制作陣は焦っていました。これがダメなら本当に終り。そんな覚悟で試みた企画があの「格付けしあう女たち」です。ロンドンブーツの司会を交えながら、女性芸能人が順位をつけ合う企画。今でこそ人気企画としてお馴染みですが、当時は挑戦そのものでした。

素人ありきで番組が成り立っていたのに、芸能人をどどーんと起用する。しかもロンドンブーツの二人は大物芸能人相手に司会進行をしなければならない。課題は山積み。

しかし、企画は大当たりしました。

当初の予想を上回り、視聴率は15.5%。番組は命を取りとめたどころか、一気に人気番組へと返り咲いたのです。理由は一体なんなのか。ここで一つの教訓を学びます。

―勝ち続けるために負けておく―

① ヒット作ができる
② しばらくはヒット作を中心に企画を展開
③ 新企画を考える余裕ができる

普通はこのような循環がイメージされますが実際に人間はヒット作に甘えてしまうもの。新企画を考えるのをやめてしまいます。これこそが落とし穴。制作陣は身をもってこの負のスパイラルに気がついたのです。

教訓はずばり、企画は3勝2敗の勝率60%を意識して挑戦すべき。ここで言う負けとは、「冒険」という意味で「一部から強く支持されそうだけど、外すかもしれないもの」を差します。そして勝つ企画とは「一度やって評判が良かった企画第2弾」、「これまでの経験上、好結果が期待できる企画」「企画段階からゾクゾクする企画」を差します。

この勝と負の企画のバランスと、何より負け企画を臆せず打っていき誰も予想ができなかったヒットを生み出すことが、「勝ち続けるために負けておく」の真髄です。

アメトーーク!でいえば「竜兵会芸人」「○○じゃない方芸人」など、こんなタイトルで本当に視聴率取れるの!?というタイトルを次々打って意外性を創り、番組の推進力に変えていくこと。テレビでちょいちょい紹介されていた竜兵会をアメトーーク!で丸々取り上げるなんて、リスキーでしかない……

しかし、視聴者は他の番組でメンバーが共演しているのを見ると「あ、竜兵会のメンバー揃ってるじゃん」と、まるで自分が竜平会の輪にいるような感覚に陥ります。見事、内輪の中に引き入れる戦略に成功したのです。(狙って企画したかは分かりません笑。それも意外性でしょう)

企画の考え方は、外から内からと色々ありますが、まずは自分が思うおもしろさを追求するのがバラエティ流。さあ、これで貴方もたくらまずにはいられない。くくく……。

こんな悩みを解決!

  1. クライアントに刺さるプレゼンをしたい
    →トレンドに背を向けること。マーケティングありきの顧客視点に囚われず、自分が面白い!と思う事柄から考えてみるのがバラエティ流。「御社のPR大使は、あき竹城に任せましょう」と伝える勇気。(責任は取りかねます)
  2. エイプリルフールの面白いアイデアってどう見つけるんですか
    →「なんで?」と「逆に?」のダブル分析で気づく。面白い人ほどネタを見逃さない。トレンディエンジェルの斉藤さんを見たら、「なんでこいつはハゲなのか、逆にこいつはハゲなのか」と分析していく心構えを指します。
  3. 彼女とのデートがマンネリ。また映画館行くのもなぁ……
    →デートにもイノベーションを。建設現場に行って勝手に指示出しデート、会話禁止! LINEのやり取りだけで動物園デート、高校の文化祭に制服で潜入デートなど、負ける企画をじゃんじゃん打っていきましょう。

たくらむ技術

  • 著者:加地倫三
  • 出版日:2012/12/15
  • 出版社: 新潮社

モデルプロフィール

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  • 名前:山田百音
  • 生年月日:1993/02/17
  • 出身地:東京都
  • 職業: 広告
  •  受賞歴:ミスYNUコンテストファイナリスト
  • 一言:クラフトビールにはまってます!
  •  Twitter:@mone_yamada

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Myコーデ

WRITERこの記事を書いた人

小幡 道啓

累計2億円以上の借金王の元に生まれ、怒号と罵声が飛び交う家庭で育ったアウトローだが、底ぬけにポジティブ。飲み会でも「父親が行方不明です」と不謹慎なネタを言ってはスベっている。Amazon Kindle販売員時代には年間NO.1売上を達成。現在は、「逆境でのユーモア」をモットーに本to美女編集部編集長。