『千の顔をもつ英雄』あのスターウォーズシリーズの原点!

千の顔をもつ英雄〔新訳版〕上

  • 著者:ジョーゼフ・キャンベル
  • 出版社:早川書房
  • 発売日:2015/12/18

 

若き日のジョージルーカスが多大なインスピレーションを受け、のちに世界的な名作が誕生するきっかけになった本があります。それが『千の顔をもつ英雄』です。古今東西のあらゆる神話の構造が分析されたこの本は、のちのゲームや映画、アニメに多大なる影響を与えました。

とくに有名なものがスターウォーズです。人間の無意識下にあらわれる欲求が永遠に語り継がれる神話の源と分析したキャンベル教授の考えは、普遍的な物語を生み出すうえでなくてはならない存在となりました。クリエイター必読の名著です。

神話の構造

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キャンベルがまとめた英雄の構造を簡単にまとめるとこうなる。

英雄はごく日常的な世界から、自然を超越した不思議の領域へ冒険に出る(出立)
そこでは途方もない力に出会い、決定的な勝利を手にする(イニシエーション)
そして仲間に恵みをもたらす力を手に、この不思議な冒険から戻ってくる(帰還)

その他にも、冒険への召命、父親との葛藤など細かい分析があるが、わかりやすく
第一作目「スターウォーズ エピソード4」のプロットを使って説明します!

ルーカスがどれだけこの本の影響を受けたか丸わかりである。
というよりも…スターウォーズがこの本の内容をなぞって作られただけである。

<出立>
Ⅰ冒険への召命
砂漠の惑星タトゥイーンで暮らす青年ルーク・スカイウォーカー
ある日、アンドロイドのR2-D2とC3-POを拾う

Ⅱ自然を超越した力の手助け
ルークはジェダイマスターのオビワン・ケノービに助けられる

Ⅲ召命拒否
オビワン・ケノービに宇宙へと旅たちフォースを学ぶように言われるが、
ルークは叔父の農園の手伝いがあるため、拒否する

Ⅳ最初の境界を超える
ハン・ソロ船長のミレミアムファルコン号で宇宙へと旅立つ
帝国軍の戦艦に追いかけられるも、無事タトゥイーンを脱出

Ⅴクジラの腹の中
帝国軍の秘密兵器デススターに捕まる。

<イニシエーション 通過儀礼>
Ⅵ試練の道
デススターから脱出せよ

Ⅶ女神との遭遇
レイア姫を救出する

Ⅷ父親との一体化
ベイダーとオビワン・ケノービとの対決が描かれる
(エピソード5,6にはルークと父との葛藤が描かれる)

Ⅸ神格化
反乱軍とともにルークはデススターを破壊する作戦に参加する
デススターの破壊に成功する

Ⅹ帰還
デススターを破壊し、ハン・ソロとともに勲章をもらう

とくに古今東西に語り継がれる物語には父親との葛藤が描かれている部分が面白い。父親が作りあげた世界を破壊してはじめて真の英雄になれるのだ。実際、スターウォーズにおいてもルークが父親であるダースベイダーを倒して、旧三部作が完結している。

人の普遍的な欲望…母親を独り占めできない息子が父親に対して抱く憎しみが普遍的要素の一つ、人に受け継がれる物語の要素になっているとキャンベル教授は分析している。

人間の潜在的な欲求

Processed with VSCO with a6 presetイエス・キリストが実在したかなんてどうでもいい。重要なのはその物語だ!

キャンベル教授はインド、中国、イスラム、ギリシャ、古今東西あらゆる神話をまとめるとともに、人間の無意識下にあらわれる根本的な欲求を探っていきます。ユングやフロイトの精神分析を考察しながら人間の普遍的な欲望を探っていくのです。

そして精神分析の観点から人間の無意識があらわれたものが夢であり、夢を考察していく。
無意識の源泉は幼少期の経験であり、誰もが経験した幼少期の世界を再び楽しむのが神話なのだと。無意識のなかにもぐりこみ、人々に伝える形になったものが古今東西に語り継がれる神話であると考えました。

人間の普遍的な無意識を探ることは自分自身を探ることにもつながる…
キャンベルはインド哲学に影響され、著書にも瞑想や禅仏教の影響が多くうかがえます。
瞑想により自分の意識をなくしていく。無意識下にある普遍的な欲求に興味を抱いたキャンベル教授ならではの観点です。

このインド哲学もまたスターウォーズに影響を与えました。
ルーク・スカイウォーカーはヨーダのもとでフォースの修行に挑みます。その過酷な修行のなかで自分の無意識のなかにあらわれたダースベイダーと対峙する場面があります。思わず、ライトセイバーでベイダーの首をはねるルーク。しかし、ベイダーの仮面が外れるとルーク
自身の姿がそこにはあったのです。

フォースを学ぶことは自分自身と戦うこと。インド哲学や禅の概念がフォースのもとにはあるのです。

この著書は東洋的な思想に影響を受けながら人間のもつ根本的な欲求を探っていきます。ディズニーには『千の顔をもつ英雄』の内容がまとめられた7ページの冊子があり、
クリエイター一人一人に配られているそうです。実際「アラジン」や「ライオンキング」にはこの本の内容が色濃く出ています。物語創作のヒントになる名著です。

<合わせて読みたい>



新版 指輪物語〈1〉旅の仲間 上1 (評論社文庫)

20世紀を代表する世界的な文学のひとつ。映画「ロードオブザリング」の原作。
世界を破滅させる邪悪な指輪を捨てるため、フロドは仲間とともに旅にでます。
放浪していた王が帰還する。天命を受けた主人公が旅立つなど、英雄伝説のプロットがわかりやすく描かれている。

悩みを解決するポイント

  • 神話の構造を分析することが普遍的な物語創作のヒントになる
  •  人間の無意識下にある欲望をかたちにしたものが神話。物語に父親との葛藤や近親相姦など人間のタブーをもりこむ
  •  下記の図を見ながら、映画や本を読んでみる。良作がいかにキャンベルの影響をうけているか分析すると、普遍的な物語の構造がみえてくる

千の顔をもつ英雄〔新訳版〕上

  • 著者:ジョーゼフ・キャンベル
  • 出版社:早川書房
  • 発売日:2015/12/18

モデルプロフィール

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  • 名前:井上実萌彩
  • 生年月日:1997/03/05
  • 出身地:埼玉県
  • 職業:日本女子大学
  • 受賞歴:ミス日本女子大2015グランプリ/Ray専属読者モデル プリンセス♥クラブ
  • 趣味:カフェ巡り
  • Twitter:@inoue_mimoza

(カメラマン・Rimi Sakamoto/個人サイト・http://www.rimisakamoto.net/)

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WRITERこの記事を書いた人

kikuchan

6月9日(ロックな日)生まれ。 映像制作会社勤務。TSUTAYAから年賀状が届くほどの映画マニア。年間350本の映画鑑賞。 「映画ばかり見てないで、勉強しなさい」と言われて育つ。 学生時代は映画の新人賞受賞。文学だけでなく、あらゆる本を読むようにしてます。 好きな本:『竜馬がゆく』『スティーブ・ジョブズ』 趣味:座禅