あなたって悩みなんかなさそう『美女の正体』

美女の正体

  • 著者:下村一喜
  • 出版社:集英社
  • 発売日:2016/6/24

(とある辞書にて)
美女。
:容姿の美しい人。

美女とは、一体なんなのだろう。
辞書にはっきりと、”容姿の”と書いてある。
はたしてそれが、『美女の正体』なのか。私達の心を掴んで離さない「美女」とは、一体何を考え、何を感じ、何が見えているのだろう。
キラキラした女子になるための答えが、本書にはあった。

美女のグラデーション

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一章目からとんでもないタイトルだ。さらに、冒頭の破壊力もすごい。

世の中は美女だらけです。

さらに文は続く。

世界中の女性は美女と、美女の可能性を秘めている人しか存在しません。

なんだろう。とても素敵な文だ。
こんなに美女、美女と語る著者は日本が誇るカメラマン。パリで認められ、松坂慶子や宮沢りえなど一流のモデルを撮り続けてきた本物の実力者で、日本の美女と共に歩んできたトップカメラマンと言っても過言ではない。
彼は一章目から「美女のグラデーション」という興味深いタイトルで惹く。

美女のグラデーション

  • 絶世の美女(異形)
  • いわゆる美人
  • 中の上
  • 中の下
  • 別もの(異形)

恐れずに言えば、女性の容姿は上の6つに分かれると言っている。
容姿だけで食っていける「絶世の美女」から、比較論の外にいる「別もの」までグラデーションが存在すると。
ここが最大の面白いポイントなのだが、これは「カースト」ではなく「グラデーション」であるということ。

中の上に生まれたら永遠と中の上
ではなく
中の上に生まれてもいわゆる美人

になる可能性があるとしている。さらに、土星の環をイメージして欲しい。
上記の6つのクラスは、上から下にいくカーストではない。一つの環のように、繋がっていて、「絶世の美女」と「別もの」にも密接な共通点がある。

絶世の美女(異形)
:崇められる、比較論の外にいる、容姿だけで食っていける、目を離せない、美の代償を支払う必要がある、悲劇的な人生を歩む可能性がある、誰にも似ていない。

別もの(異形)
:自己肯定が強い、比較論の外にいる、他人と戦わない、人を強く魅きつける、個性をつかみとっている、自覚している、悲劇性がある。

なぜ(異形)という言葉で補足しているのか。それは、この二つは比較論の外にいるからだ。あの人よりきれいとか、ブスとか比較の例にすら挙がらない。
「絶世の美女」は長澤まさみ、「別もの」はおかずクラブ・オカリナといったところだろう。(※ここでいう「別もの」はブスではない。とても個性的な顔を持ち、それを肯定的に自覚している女性を指す。)
こうしてみると信じられないことが分かる。長澤まさみとオカリナは類似している点がいくつかあるのだ。
著者の主張は、美女の境界線などなく、誰でも美女になれるし、美を怠ればすぐにクラスは下がる。つまり、美女は流動的であると叩きつけているのだ。
だから「カースト」ではなく「グラデーション」なのだ。

「いいじゃない、あなたはきれいなんだから」

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妬み、嫉み、僻み。
悩みがあっても、周囲に「うんうん、大変だよねぇ~(綺麗なんだし問題ないでしょ)」と嫉妬にも似たレッテルを貼られる宿命にあるのが美女。

彼女らに絶対言ってはいけないのが「綺麗だから大丈夫」だ。
美女はあるジレンマに悩んでいる。どんなに優しい性格をしていても、その顔は相手に緊張感を与えてしまう。その結果、相手から”共感されなくなる”のだ。

しかし、周りは褒めてくれる。絶対的に美しい才能は裏を返せば、実感できることのない生まれつきの才能だ。

美女は思ったほど幸せでない。

これが筆者の考えで、後藤久美子や宮沢りえが実際に苦しんでいた姿を例に挙げて訴えている。昔の言葉で、「美女は顔より内面を褒めろ」とはよく言うが、美女も顔で悩んでいるのだ。

本当の美女は顔ではない

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顔さえよければ誰でも美女なのか。その問いを明確に否定する。

本当に自分というものを持っているマチュアな男性は、上目遣いとかアヒル口とか頭振りとか、そういうことをする女性を好きにはならないと僕は思います。
彼らが求めるのは、ちゃんと意見を持ち、それを相手に伝えることのできる女性。相手が男性であっても誰であっても、豊穣な会話を楽しめる女性。対等な立場で時には議論することのできる女性をこそ、マチュアな男性は求めている。

これは本当にそう思う。
豊穣な会話を楽しめるということは、witがあり、官能を超えた関係を築ける可能性があることだ。一流の男たちは顔より大切なものを知っている。
女である前に、人間として付き合いたいかどうかを最も重視するのだ。

美女の正体。それは、容姿の美しい人なんかじゃない。知性があり、本当の美しさを理解している人だ。中の上からいわゆる美人を行き来しているだけの女ではない。比較の外にたち、オリジナルを持ち、その人なりの強さを身に着けた女性が本当の美女なのだから。

本書を読んだ後なら誰しもこう思ってくれるだろう。
「さっさと、全国の辞書に書いてある美女を『容姿も中身も美しい人』に改訂すること」だ。

美女の正体

  • 著者:下村一喜
  • 出版社:集英社
  • 発売日:2016/6/24

モデルプロフィール

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  • 名前:斉藤初音
  • 生年月日:1995/6/16
  • 出身地:大阪府
  • 職業:慶應義塾大学
  • 受賞歴:keiocollection2015
  • 一言:頑張ります!よろしくお願いします。

(カメラマン:伊藤広将)

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WRITERこの記事を書いた人

小幡 道啓

累計2億円以上の借金王の元に生まれ、怒号と罵声が飛び交う家庭で育ったアウトローだが、底ぬけにポジティブ。飲み会でも「父親が行方不明です」と不謹慎なネタを言ってはスベっている。Amazon Kindle販売員時代には年間NO.1売上を達成。現在は、「逆境でのユーモア」をモットーに本to美女編集部編集長。