幕末の肝っ玉母さん 『お登勢』

お登勢

  • 著者:船山 馨
  • 出版社:角川書店
  • 発売日:2001/5

 

風雲急を告ぐる幕末、坂本龍馬を支えた多くの人々の中に、寺田屋女将「お登勢」がいる。

幕末に詳しくない人でも聞いたことがあるかもしれない。週刊少年ジャンプの漫画「銀魂」にも登場している。

彼女を一言で表すなら「幕末の肝っ玉母さん」だろう。

「学問のある大人物也」と龍馬も評価していた。

勝海舟は大胆かつ繊細な人物と書き残している。

彼女は龍馬にとって、どんな存在であったか。

ただ一つの道楽はひとの世話

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お登勢は、旅館を営む大本重兵衛の次女として生まれる。

親のツテで十八歳に、京都伏見の船宿・寺田屋六代目伊助に嫁ぐ。

実家が旅館であったため、難なく仕事をこなしていくお登勢。

夫・伊助は怠け者であり、寺田屋をお登勢に任せっきりで自分だけ遊びに行ってしまう。

お登勢はこの寺田屋を一人で切り盛りをしていた。

愚痴をこぼしながらも、仕事は手を抜かなかった。そんな姿が評判になり、お登勢の接待目当ての客が多く押し寄せたという。

夫が早々に亡くなる。

一男二女を育てていくお登勢。一人だけで切り盛りしていたが、子育ての両立に限界を感じていた。風の噂を聞いてか、更にそこに五人の捨て子が寺田屋に訪れた。

ここで、追い返したら子供らは餓死してしまうかもしれない。

幸いここは船宿だ。ちょうど人手が欲しいと思っていた所だ。

そして、お登勢は自分の子供と隔てなく育て上げたという。

お登勢の次女が明治に入ってからお登勢のことを

「世話好きで、物見遊山はおろか、芝居一つ見にゆかない人でしたが、ただ一つの道楽はひとの世話をすることでした。」

と言うほど面倒見のいい人だった。

おかあ、ありがとな。

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幕末の頃、寺田屋は薩摩藩の定宿となり、立地やある人物のせいで事件に巻き込まれる。

それが「寺田屋事件」だ。

ある夏に、寺田屋の店先にふらりと現れた男がいる。坂本龍馬である。みすぼらしいなりであったが、その両眼は澄んでいた。

この頃、尊王攘夷の志士達を多く匿い、幕府には危険人物と見なされた。龍馬もそのうちの一人だった。

三吉慎蔵と坂本龍馬が、薩長同盟の成功に立会い、大阪から寺田屋に帰って来た日。 三吉と二人で薩長同盟の成功の祝杯をあげ、寝ようとしていた頃に、役人達大勢に奇襲される。

三吉は槍を構え、龍馬は高杉晋作から贈られたピストルで応戦した。数発の発砲後、役人達が怯んでいる隙に逃走した。

お登勢も役人達に「客に何すんだい!」と叱り、足止めをした。

お登勢は、奉行所に連れて行かれ、尋問を受けたときでも、毅然とした態度で応対し、無事釈放されたそうだ。

騒動後は血で染まった畳やふすまをすべて取り替え天井の血糊をきれいにふき取らせ、翌日には通常商いを始めたという。

ある時、龍馬はお登勢に行く場所の無い、龍馬の妻・おりょうの面倒を頼んだ。

お登勢は快くおりょうの面倒を見、おりょうを我が娘のように可愛がった。

また、龍馬もこの寺田屋を我が家のように出入りし、お登勢を「おかあ」と呼んでいた。

先行きのある若者の世話をするのがたった一つの道楽であったお登勢にとって、龍馬は息子のようであり、同時に器の大きさを感じさせる魅力的な男であった。

後に龍馬の命を救い妻となった、極貧状態のおりょうを、お登勢に「面倒をみてやってほしい」とお願いするくらいだ。

お登勢は、自分の一番大切な女性を預けるられるほど、龍馬に信頼されており、母と慕っていた。

そして、薩摩への新婚旅行へ向かう二人を見送るお登勢の胸の奥には、誰にも言えない寂しさがあったのだった。

 

お登勢

  • 著者:船山 馨
  • 出版社:角川書店
  • 発売日:2001/5

モデルプロフィール

miyazawa_profile
  • 名前:宮澤沙英
  • 生年月日:1997/5/25
  • 出身地:栃木県足利市
  • 職業:埼玉大学
  • 趣味/一言:テニス/こんにちは!もうすぐクリスマスですね✨ステキな夜を過ごして下さい❤
  • 最近の悩み:起きれない、、、💦
  • Twitter:@sae05kiiira
  • Instagram:@sae_km

(カメラマン:伊藤広将)

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WRITERこの記事を書いた人

タバオ

大学受験に失敗し、1年浪人するも不合格。コンビニ、土方、ヒーローショウ、環境調査隊、家電量販店のアルバイトを経験するが、やがてはニートにまで落ちる。だが、失うものがないからこそ、開き直れる! 高卒だっていいじゃない。ニートだったからって何なのさ! よく読むのは、歴史小説と漫画。好きな歴史小説『播磨灘物語』、漫画『NHKにようこそ!』。