「死ぬ」っていったい何なんだろう?『かないくん』

かないくん (ほぼにちの絵本)

  • 著者:谷川俊太郎
  • 出版社:東京糸井重里事務所
  • 発売日:2014/1/24

死ぬのは生き物の宿命

この地球上に存在する生き物はもれなく、いつか死にます。
私も、あなたも、あなたの隣にいる人も、人だけでなく犬もネコも全部。
わかっているのに、なぜか実感がありませんよね。
少なくとも明日は生きているし、きっと1年後も生きていると思い込んでいるからでしょうか?
しかし、その思い込みには何の確証もありません。
このご時世、いつ震災が起こるかわかりませんし、交通事故に遭ったって不思議ではありません。
なのに、なぜ明日または1年後も生きていると思い込んでしまうのでしょうか?

「死」を題材にしたものは、親や恋人もしくは自分自身など身近な人の死を扱うことがほとんどですが、今回は紹介する『かないくん』は少し違います。
ある日、隣の席のかないくんが入院し、亡くなってしまいます。
しかし、かないくんは特別仲のいい友だちではありません。
ただの友だち。
それ以上でも以下でもありません。
だからこそ、主人公は「死とはなにか」を客観的に見つめ考えることができるのです。
それでもどこか心に穴が開いたような喪失感を抱える主人公。
一体どのようにかないくんの死に向き合うのでしょうか?

死ぬってどういうこと?

かないくんがつくったきょうりゅうが、まだある。かないくんがかいたえも、まだはりだされている。でももうかないくんは、しゃしんのなかにしかいない。しぬって、ただここにいなくなるだけのこと?

死ぬって何? すごくシンプルで素朴な疑問ですが、明確な答えは誰ももっていません。

誰かが死んでしまう、生きている側の「死」。
自分自身が死んでしまう、死ぬ側の「死」。

大きく分けて「死」が持つ意味はこの2つがあると思います。
生きている側の「死」は、訃報を聞いてしばらくは悲しみに暮れ、「もっと、こうしてあげればよかった」と後悔に襲われますが、かないくんと主人公くらいの関係だったら、3日も経てば死んでしまった人がいない毎日に慣れて日常が戻ります。

無情に感じるかもしれませんが、いつまでも悲しんでいられないのが現実です。
この現実が、死ぬ側の「死」を悲しくつらいものにしているのではないかと思います。
たしかに生きていたのに、周りは少しずつ自分のいない生活になれて、思い出されることもなくなっていく。
つまり、忘れられる恐怖です。

死の重さってどのくらい?

「死を重々しく考えたくない、かと言って軽々しく考えたくもない」独り言のようにおじいちゃんが言う。

死に関することとなると、つい重々しく考えてしまう。
死はとても神聖なものとして扱われ、重々しい儀式をしますし、「縁起でもない」とあまり人と話す内容でもありませんから。
しかしその一方で、その気もないくせにすぐに「あー、死にたい」なんて簡単に口にしてしまう。
死に対する考えの重さはどのくらいが丁度いいのでしょう?

どんなに考えたところで……
絵本を読み進めていくと、主人公がおじいちゃんになり、かないくんの話を孫娘に話している場面に切り替わります。

「そんなに長い間生きてきても、まだ分からないこと、知らないことがあるなんて素敵」と私が言ったら、おじいちゃんが「ほんとだ」と言って笑った。

死ぬことをどんなに考えたって答えなんて死んでみない限りわかりません。
かと言って、いつか必ずやってくる「死」について考えるのをやめることもできません。
死の間際になると、死後の世界を肯定し、死後の幸せを保証してくれる宗教にすがり出す人が多いそうです。
本当に死後の世界があるのかはわかりませんが、安心して死ねるのならそれだけで価値はあるのかなと思います。

けして厚いわけではなく、文章が多いわけでもない、淡々とした絵本。
だからこそ、まっすぐに「死」に向き合うことができる一冊です。

こんなお悩みを解決!

  • 死を間近にした人と何を話せばいいのかわからない。
    →死を目前に控えている人と何を話せばいいのかわからない。
    たとえもう助からないとわかっていても「きっと良くなるよ」やさしい嘘をついてしまうのが人情というものですよね。でも、最後の会話かもしれないと思うと「もっと他に話すべきことがあるんじゃないか?」とも思いますよね。
    「こんな話、不謹慎かな?」なんて悩まずに何でも話してみてはどうでしょう?
    もしかしたら、相手も話したいと思っていることかもしれません。大切なのは、悔いのないようにすることです。

かないくん (ほぼにちの絵本)

  • 著者:谷川俊太郎
  • 出版社:東京糸井重里事務所
  • 発売日:2014/1/24

モデルプロフィール

Matsugishi_profile
  • 名前:riie
  • 生年月日:1990/06/25
  • 出身地:東京都
  • 職業:会社員
  • 趣味:映画鑑賞
  • 最近の悩み:朝が弱いこと

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WRITERこの記事を書いた人

石橋 愛加

5人兄弟の末っ子に生まれ、親兄弟にべたべたに甘やかされて育った生粋のゆとりGirl。「恋がしたい!」が口グセなくせにいつも女友だちとつるんでいるので、浮いた話はない。仕方なく少女マンガや恋愛小説で自家発電して、なんとか今日を生きている。好きなマンガは『シュガーズ』いつかあんな恋ができると信じている。