自分の命より大切なものを教えてくれる『人魚姫』

人魚の姫―アンデルセン童話集 1 (新潮文庫)

  • 著者:アンデルセン
  • 出版社:新潮社
  • 発売日:1967/12/12

悲劇のプリンセス

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アンデルセン童話の代表作『人魚姫』。
みなさんも小さいころに一度は開いたことのある絵本だと思います。
人魚姫は、たくさんいるプリンセスの中で唯一王子と結ばれない悲劇のプリンセスです。
ディズニーアニメ『リトル・マーメイド』の原作としても知られていますが、『リトル・マーメイド』では、王子と結ばれるハッピーエンドとなっています。
ディズニーが原作にここまでアレンジを加えたのは珍しいのではないでしょうか?
私は子どもの頃、王子と結ばれないバッドエンドを受け入れられず『リトル・マーメイド』の終わり方が好きでした。

しかし、今になってみると自分の命よりも愛する人の命を選んだ人魚姫はどのプリンセスよりも王子を愛していたのではないかと思います。
王子と結ばれないからこそ人魚姫は他のプリンセスと一線を画す存在なのではないかとも。

人魚姫のココがすごい!

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① 王子に選ばれるのではなく、自分が王子を選ぶ。
『白雪姫』や『眠れる森の美女』は目を覚ました時に、そこにいた王子さまと結ばれます。
つまりプリンセス側には選択の余地がないのです。
男性優位の時代背景が色濃く出ていますよね。
その点、人魚姫は自分から王子に恋をして、アプローチをしていく積極的なプリンセス。
今でいうところの肉食系女子です。

② 愛する人のためにリスクを背負う。

王子のために、お姫さまは家族をすて、家をすてたのです。美しい声もあきらめたのです。くる日もくる日も、かぎりない苦しみをがまんしてきたのです。それなのに、王子のほうはそんなことは夢にも知らないのです。

人魚姫はもともと広い海のお姫さまとして何不自由なく大切に育てられてきていたのです。
『シンデレラ』のように王子さまと結ばれると、平民から王族に身分が上がるなどメリットがあるわけではありません。
むしろ領土の広さ、豊かさ、寿命の長さ、どれをとっても人間よりも恵まれていて、たとえ恋の相手が王子であっても玉の輿とは言えません。
それでも、人魚姫は人間になり王子に会いに行くことを選びます。
しかも、人間になれば王子に愛される確証などどこにもないのです。
ここまで愛に生きたプリンセスが他にいたでしょうか?

③ 声に出せないもどかしさ

心の中で言いました。「ああ、王子さま、あなたのおそばにいたいために、あたしは、永久に声をすててしまったのです。せめて、それだけでも、わかってくださったら」

「ああ、王子さまは、あたしが命を助けてあげたこともご存知ないんだわ」と人魚のお姫さまは心の中で思いました。

魔女に足と引き換えに声を渡してしまった人魚姫は王子に「好きだ」とも「嵐の夜にあなたを助けたのは本当は自分だ」とも伝えられない苦しみに悩む人魚姫。
死なないために王子との結婚が絶対条件なのに、あまりに大きすぎるハンデです。

人魚姫のように、本当に声が出ないというわけではないですが、想っているのに言葉にできないというのは、みなさんも恋愛中に経験したことがあるのではないでしょうか?
これは、想いを口にしなければ恋は始まらないというアンデルセンからのメッセージかもしれません。

④ 自分の命より王子の幸せ

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「お日さまののぼらないうちに、王子かあなたか、どちらかひとりが死ななければならないのよ。(中略)王子を殺して帰ってきなさいね! さあ、いそぐのよ!」

姉たちがくれた、自分の命を守る最後のチャンス。
短剣を持ち王子の眠る部屋へ行きますが、王子が寝言で結婚相手の娘の名前を言ったことで思いとどまり、王子の胸に短剣を刺すことはしませんでした。
私が小さい頃、一番不可解に思った場面です。
本来なら王子を助けた人魚姫こそ愛されるべきなのに!
愛する王子は殺せなくとも、のうのうと妃に納まろうとする娘を殺せばいいのに!
と、みなさんも思いませんでしたか?

しかし、改めて読んで考えが変わりました。
もしかしたら、人魚姫は自分を愛してくれない人を愛する虚しさを知ったのかもしれません。
王子を殺して生き延びても、きっと自分は王子を想い続ける。
自分で殺した人を想い続ける辛さを想えば、人魚姫の選択にも頷けます。
ちなみに、「人魚姫は海の泡となった」と勘違いされがちですが、実は光の精に助けられて光の精の仲間になります。
完全なバッドエンドではないんです。

『人魚姫』は童話というよりも恋愛小説だと思います。
大人になってから読むと人魚姫の気持ちだけでなく、「バカな恋はやめなさい」と忠告する姉たちの気持ちも、叶わない恋と知りつつも地上に出る手助けをする魔女の気持ちがわかります。

みなさんもぜひ、恋愛小説として『人魚姫』を読んでみてください。

こんなお悩みを解決!

  1. 叶わない恋をしていてつらい。
    →叶わないとわかっていても、恋をするときがあります。
    叶わないからこそ夢中になるんです。
    ダメでもともと。思い切って気持ちを伝えてみてはいかがでしょう?
    伝えることによって、あきらめがついて次の恋に進みやすくなりますよ!
    たったい一度しかない人生。
    一つの恋に縛られることはありません。
    人魚姫と違って気持ちを声にすることができるんですから(笑)
  2. 死後がわからなすぎて不安。
    →いろんな説があるせいで、どれが正解なのかわからないですよね。
    そもそも、死後の世界は存在するのかさえ怪しいです……。
    しかし、ないとも言い切れませんし、すごく素敵なところかもしれません。
    わからないのを逆手にとって、いいとこだけを信じてみてはどうでしょう?
    もしかしたら、人魚姫と同様、光の精になるかもしれませんよ!?

人魚の姫―アンデルセン童話集 1 (新潮文庫)

  • 著者:アンデルセン
  • 出版社:新潮社
  • 発売日:1967/12/12

モデルプロフィール

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  • 名前:和田瑞季
  • 生年月日:1995/04/12
  • 出身地:茨城県
  • 職業:横浜国立大学
  • 受賞歴:ミス横浜国立大学2015準グランプリ
  • 趣味:音楽鑑賞
  • 最近の悩み:就活について
  • Twitter:@missynu2015_3

(カメラマン・横須賀馨介)

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WRITERこの記事を書いた人

石橋 愛加

5人兄弟の末っ子に生まれ、親兄弟にべたべたに甘やかされて育った生粋のゆとりGirl。「恋がしたい!」が口グセなくせにいつも女友だちとつるんでいるので、浮いた話はない。仕方なく少女マンガや恋愛小説で自家発電して、なんとか今日を生きている。好きなマンガは『シュガーズ』いつかあんな恋ができると信じている。