「いき」を哲学的な視点から見てみよう『「いき」の構造』

「いき」の構造

  • 著者:九鬼 修造
  • 出版社:岩波書店
  • 発売日:1979/9/17

「いき」の正体とは

「いき」という美学は、江戸のものだと著者の九鬼氏はいう。江戸っ子と聞くと「粋がいい」という言葉が脳内変換されるのは、その由縁だろう。日本の文化や風習、文学に根付くこの言葉は、外国語に変換することが難しいといわれている。「民族的色彩の著しい語のひとつ」とされて、同じような背景を持つ単語に置き換えることができないといわれている。最近では、いきの対義語が答えられる若者が減っているそうだが、いきとは日本の分化や習慣、語学において重要なポジションにあるようだ。ちなみに、粋の対義語は「野暮」である。そもそも「いき」とはどのようなものなのか。少し、哲学的な視点から眺めてみよう。

哲学の視点からみる「いき」とは

本書は1920年代にヨーロッパへと渡り、哲学介の秀才として認められた九鬼周造の書籍である。彼が書き留めた分厚い「いき」に対しての草稿は、現在も保管されている。

著者が定義した「いき」とは「垢抜かして、張のある、色っぽさ」というものであった。意外だと感じた人もいるのではないだろうか。諦めや意地や媚態のすべてが、いきには必要な要素なのだ。例えば、異性に対する意地もいきには必要な要素だ。諦めという概念には、仏教の持つ非現実性が反映されているそうだ。そのため、いきとは「わが国の分化を特色づけている道徳的理想主義と宗教的非現実性との形相因によって、資料因たる媚態が自己の存在実現を完成したもの」だと述べられている。

交わることがない2つの世界


「いき」に必要な要素として挙げられているのが、決して交わることのない相反する2つの世界観である。例えば、「上品」と「下品」という言葉がある。この二つは相反する言葉であり、両者が交わることはない。一般的には、上品に何か自分らしいアイデアをプラスすることで「いき」になると本書は述べている。上品と「いき」とは、何かをプラスすることで行き来することができるのだ。しかし、上品は度を越えてしまうと下品にもなりうる。これは、二次的に起こるものであるため2つの価値観が交錯することを指したりはしない。もっと分かりやすく言えば、男と女、東京とパリ、派手と地味など永遠と直線的に並行する2つの価値観がいきの構造には欠かせないのだそうだ。

短歌から読みとる「いきの構造」


第三章では、情緒から読み取るいきの構造を紹介している。いきを構成する感情の流れを読み解くことができる章である。多くの短歌が載せられているため、詠むだけでも十分楽しむことができるだろう。ここでも注目しているのが、相反する2つの感情である。主要な情緒として「嬉しい」と「悲しい」があげられている。「現在の善という意識は我々に嬉しさを起し、現在の悪という意識は我々に悲しみを起す」この2つの感情は、このように対比されている。決して交わることのない2つの感情は、まさにいきの構造に似ている。交錯することはなくても、存在していなければならないのだ。相反する感情が垣間見えることで奥行きが生まれて、張りのある緊張感が生まれる。

哲学的な視点からみてみると、「いき」とは身につけるものではなく、民族的に文化の1つとして根付いているようだ。哲学書なので読み解くには、少し難解な部分もあるが「いき」というものをさまざまな視点から捉えてみたい人におすすめの1冊である。それにしても、「いき」に色気が潜んでいることには改めて気づかされた。表裏一体、反対側の感情が見え隠れすることもまた、日本ならではの美学なのかもしれない。

「いき」の構造

  • 著者:九鬼 修造
  • 出版社:岩波書店
  • 発売日:1979/9/17

【こんな悩みを解決】

「いき」とは結局どのようなものなの?分からなくなったときに読みたい哲学書がこちら。日本人ならではの「いき」な気持ちを読みとることができます。

モデルプロフィール

  • 名前:牧野友美
  • 生年月日:9/5
  • 出身地:千葉県
  • 職業:大学院生
  • 受賞歴:with スターメンバー
  • 趣味・一言:ピアノ演奏もしてます♡
  • 最近の悩み:読書が好きで読みたい本は即購入するのでベッド周りが本で山積みに。最近時間が無くそれぞれ1日3ページ程しか進んでいません。。。あと貧血。
  • Twitter:@tomochii__
  • Blog:http://ameblo.jp/tomochiitotino/

(カメラマン:伊藤広将)

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

最新情報をお届けします