お金では買えない「粋」の心を覗いてみませんか?『粋な日本語はカネに勝る!』

粋な日本語はカネに勝る!

  • 著者:立川 談四楼
  • 出版社:講談社
  • 発売日:2009/10/20

「粋」か「野暮」かという価値観

「金儲けの何が悪い?」。東京オリンピックが終わり、バブルが弾けて人の価値を金持ちか否か、で測る時代がやってきた。その時に「粋か野暮かの粋の根が完全に止められた」と作者は語る。かつて、日本人には「粋」と「野暮」という価値基準があったそうだ。いくらお金を持っていても野暮な立ち振舞いしか出来なければ、称賛など送られない。逆にどれほど貧しくても粋な心意気があれば称賛が送られた時代があったのだ。粋とはいったいどのようなものなのか。

「その姿は朧気です。捕まえようとすると逃げていきます。わかったつもりになると、途端にその姿を変えます。」

あなたは、「粋」か「野暮」か。日本人としての心意気は、どれくらい備わっているのだろうか。少し覗いてみよう。

粋な江戸しぐさとは?


本書の著者は立川談四桜さんである。まさに「粋」と「野暮」を肌で感じる世界に身を置く落語家だ。本書では、日本人の粋を感じる場面が分かりやすくまとめられている。いくつか紹介してみよう。みなさんは「江戸しぐさ」という言葉を知っているだろうか。例えば雨の日。都会の雑踏では、傘を差しながら人とすれ違うだけでも一苦労だ。どのように人並みをかぎ分けるのか。実は、ここにも江戸しぐさが潜んでいる。傘を傾けながら、互いがぶつからないように配慮してすれ違う。これは「傘かしげ」と呼ばれる江戸しぐさである。他にも江戸しぐさにはさまざまな種類があり、人のとすれ違うときに肩を引いてぶつかることを回避するしぐさを「肩引き」と呼ぶ。

「恩も着せず、ごく自然にそれを行い、何事もなかったようにすれ違う。これです、これこそが粋の原点です」

意識をしなくても、自然に相手を思いやり自分の動作を制限することができる。このような所作を何の気なしにできるところにも、粋の心意気は生きているのだ。

「裏を返しにいく」のは粋な計らい

「裏を返しに来たよ」こう言われて「ありがとうございます」と答えられる人はどれくらいいるのだろうか。「裏を返す」とは、粋なお店への通い方である。行ったことのないお店へ初めて通うことを、初会という。そして、同じお店へ2回目行くことを「裏を返す」と言い、3回目にして顔馴染みとなる。著者は「裏を返さねえのは客の恥」と教わったという。初めて行ったお店でも、必ず2回通ってから良し悪しを判断するのだ。裏を返しに行く、それは一度きりで物事を判断せずに、もう一度足を運ぶという粋な計らいなのだ。

恋心をあらわす粋な日本語

粋というのは、日本人の所作や心遣いに現れるだけではない。言葉ひとつ取っても、奥行きのある粋な気持ちが見え隠れする。特に、恋心を表す言葉には日本人らしい粋な言葉遣いを感じることができる。かつて、好きな人ができたときには「ホの字」という言葉が頻繁に使われていたそうだ。「好き」でも「愛している」でもなく「惚れている」。この言葉をそのまま口にしてしまうとどこか照れ臭いし、それこそ野暮である。そこで考えたのが、言葉の頭文字を取って「れている」と表現することだったのだ。

「ナマではなく、あえて周辺の言葉や言い回しを使う」

そのまま伝えてしまうと壊れそうな気持ちを上手く包み込んだ、日本人の粋が詰まった言葉使いである。

「粋」は日本人に根付く美学

本書には、日常生活の中で粋を感じる場面が散りばめられている。そこに落語の小噺も出てくるため、面白く読み進めていくことができる。粋な心意気に触れたい人はもちろんのこと、落語に興味がある人も楽しめる1冊だ。「粋について語るのは、すでにして野暮です」。そう分かっていても、お金では買うことができない日本粋を語らずにはいられない。明日から少しだけ粋を意識してみるのは、野暮なことだろうか。

【こんな悩みを解決】

日本人の美学である「粋」を知ることで、仕草美人に近づけるかもしれません

粋な日本語はカネに勝る!

  • 著者:立川 談四楼
  • 出版社:講談社
  • 発売日:2009/10/20

モデルプロフィール

  • 名前:垣内 汐音
  • 生年月日:1997/9/1
  • 出身地:和歌山
  • 職業:学生
  • 趣味:古着屋さんめぐり
  • 最近の悩み:お金がどんどんとんでいくこと泣

(カメラマン:伊藤広将)

 

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WRITERこの記事を書いた人

そらい なおみ

言葉、コラージュ、写真等の作家活動を通じて大切な何かを伝えられたらと思っています。 2015年東京銀座にて個展開催、2016年ロンドンでの企画展参加。ライターとしても精力的に活動中。 幼い頃から「本」を通じて大切な感情を学んできました。その分「本」を通じて「本」に恩返しが出来るといいなぁと思っています。