ペットと過ごすささやかな幸福の日々。「小雨日記」

動物と暮らす人たちにとって、彼らの存在はペットというより家族という言葉の方がふさわしいように感じる。だから、テーマは「“人間関係”の多様性」だけど、これも立派な関係性だ。

『小雨日記』は、小泉今日子さんが愛猫であった小雨さん目線で小泉さんを観察するというなんとも癒される設定。小雨さんの素敵な写真たちと共に語られるその日常は、2人(1人と1匹?)のゆるく微笑ましい、でもお互いの確かな信頼感が伝わってくる愛おしい日々だ。

ささやかな幸福を与えてくれる

まえがきで小泉さんがこう語っている。

私にとっての小雨は、まるで気高く孤高な百獣の王。圧倒的な存在感で従順なしもべである私を完全に支配しています。そんな彼女の視線を感じるから、一人暮らしの私の生活に少しの秩序が生まれます。そんな彼女の体温を感じるから、私の日々にささやかな幸福が訪れます。

一見、ペットと飼い主の関係って人間が動物に対して世話をする、何かをしてあげるという関係のように見えるけれどそうではない。ペットが与えてくれるものは計り知れなくて、お互いに作用し合う関係性だ。

小雨日記

  • 著者:小泉今日子
  • 出版社:角川マーケティング(角川グループパブリッシング)
  • 発売日:2011/4/22

2人の関係性がただただ羨ましい

例えばこんな一節に出会うと、二人の関係性が羨ましくなってしまう。

キョーコさんの泣き顔って、きっと小雨ぐらいしか見たことがないと思う。普段は強がりだもんね、あの人。(中略)

7年近く一緒に暮らして、ほんの数回本気でゴウキュウするキョーコさんを見たことがあります。女ですもの、そりゃ悲しい時もありますわよ。そんな時は膝の上にポンと乗り、クンクンとしつこく涙の匂いをかぎます。

小雨さんにだけ弱みを見せられる小泉さんと、なんの押し付けがましさもなく受け入れてくれる小雨さん。動物って「そんなことわからないだろう」と思っていても、驚くほど人間の気持ちを察している。

コミュニケーションの本質って

小雨と暮らしていると、ふと言葉ってなんだろう?と思うときがあります。私たちは共通の言葉を持たないから、相手が何を思っているのかを感じ取ろうとひたすら努力します。人間同士は言葉があるからわかり合うこともできるけど、誤解が生まれることもあります。小雨は何も言わないし、言い訳もしない。ただ何か言いたげに私の瞳を覗き込みます。まるでテレパシー見たい。そのテレパシーをキャッチしたくて私も負けじと小雨の瞳を見つめ返します。

「ペットが喋ることができたら…」こう思う人は少なくないだろう。だけど、言葉が通じないからこそ、様々な形でコミュニケーションを取ろうとするし、もっと理解したいと思える。彼らがいるからこそ生まれる感情や、教えてもらうことは予想以上に多いのかもしれない。

何より、人間でも動物でも、愛情を注ぐ存在がいるって本当に素敵なことだと思える一冊だ。

小雨日記

  • 著者:小泉今日子
  • 出版社:角川マーケティング(角川グループパブリッシング)
  • 発売日:2011/4/22

モデルプロフィール

  • 名前:横田早紀
  • 生年月日:1997/3/24
  • 出身地:兵庫県西宮市
  • 職業:学生
  • 最近の悩み:時間が足りないこと

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