隣の芝生はいつもでたっても青いまま?ライバルとの関係を考える『永遠の途中』

あなたには今、ライバルと言える人がいるだろうか?
辞書によると、ライバルとは「好敵手」もしくは「宿敵」のことを指すようだ。そこまで仰々しくなくとも、「この人にだけは負けたくない」と思ったり、何かの機会に意識してしまう人。

個人的に、ライバルはいた方が良いと思っている。そうすることによって、お互いの力を引き出す要素があると思うからだ。勉強にしても、仕事にしても、ライバルがいると張り合いがあり、結果的にいないよりも良い結果になることが多いのではないだろうか。今回紹介する2人の主人公も、友達というより、ライバルという関係の方が相応しいようだ。

永遠の途中

  • 著者:唯川恵(著)
  • 出版社: 光文社文庫
  • 発売日:2009/12/25

2人の対照的な女性の人生をそれぞれの視点から


『肩ごしの恋人』で直木賞を受賞した唯川恵による、対照的な生き方を選んだ2人の女性の27歳から60歳までの人生模様を描く本作品。主人公の2人が交互に、27、30、33、39、42、47、52、60歳の状況を語る形式になっている。

乃梨子と薫は、同じ広告代理店に勤め、同期入社で仲が良い。しかし2人とも、郁夫という一人の男性を好きになり、薫がいわゆる抜け駆けをして郁夫と結婚することになってから片方は専業主婦、片方は独身キャリアウーマンとして対照的な道を歩んでいく。

完璧に負けているのではなく、少しずつ劣っている

そうして、いつも薫が思うのは、すべてにおいて、自分は乃梨子より少しずつ劣っている、ということだった。完璧に負けているなら、もっとシンプルに認められる。けれど、ほんの少し、というところがどこかいたたまれない。

薫はこう思っているが、面白いことに乃梨子も薫に対して同じようなことを感じている。薫のセリフにあるように、どちらかが完全に勝っているのなら、この関係性は成り立たない。もしそうであれば、60歳までお互いを意識したり連絡を取り合うこともないだろう。

ライバルも塩梅が大事


冒頭にライバルはいた方が良いと言ったが、それは仕事や勉強など、目に見えて結果が測れるものに限るかもしれないと、この小説を読んでいて感じずにはいられなかった。自分の選択や幸せを相手のそれと競い合おうとした瞬間に、それは自分を惨めにしてしまうもののように思えたからだ。

私は幸せよ。女として、母親として、充実した毎日を送っているわ。
そのすべてを、笑顔に込めたつもりだが、乃梨子にちゃんと伝わっているかは自信がなかった。

こんな一節に私は辟易してしまう。こうやって2人は長い間、「隣の芝生は青い」を繰り返しているのだ。専業主婦と独身キャリアウーマンという設定から、少々ステレオタイプな生き方にはまりすぎているようにも感じるが、それでも共感する部分もあるのは、誰もが「あの時別の選択をしていたら」と考えたことがあるからだろう。

長い目で見る視点


そして面白いのは、27歳から60歳までを描いているだけあって、例えばどちらかが人生の山の時期にあっても、必ず谷のような時が来ること。その時はどちらかが勝者でどちらかが敗者であるように思えても、数年後にはそれがひっくり返っていたり、長い目で人生を見る視点ができる。もし、誰かを羨ましいと感じたり、勝てないと思って心が乱れたら、この本を読んで、ライバルもきっと表に見えている良い面ばかりじゃないと一息ついてみるのも良いかもしれない。

永遠の途中

  • 著者:唯川恵(著)
  • 出版社: 光文社文庫
  • 発売日:2009/12/25

モデルプロフィール

  • 名前:上野瑚子
  • 生年月日:1997年12月8日
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