『インフォグラフィックで見る138億年の歴史』 宇宙の始まりから現代世界まで

インフォグラフィックで見る138億年の歴史:宇宙の始まりから現代世界まで

  • 著者:ヴァレンチナ・デフィリッポ,ジェイムズ・ボール
  • 出版社:創元社
  • 発売日:2014/5/21

1.「見える化」「可視化」へのニーズ

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「見える化」「可視化」といった言葉を聞いたことがある人も多いだろう。今まで明確に認識されていなかったことを白日のもとに晒すという意味合いで使われることもあるが、最もよく使われるのは「データの可視化」といった形だろう。パッと見ただけでそのデータが示している事実を直感的に理解できるようにすること、それが「見える化」「可視化」だ。

各種センサーの普及により従来とは比較できないほど膨大なデータを収集することが可能になり、そのデータをどのように解析・分析するかの手法も発展してきた。こうした手法の最終地点が「データの可視化」と言えるだろう。

会議や発表においてはエビデンス(主張の根拠)をもって情報を伝達することが重要であるが、生のデータをそのまま見せてもおそらくあなたの主張を聞き手はすんなりとは受け入れてはくれないだろう。Excelなどのツールを使ってグラフを作成し、データを理解しやすい形に整えている人もいるだろう。こうしたデータの伝わりやすさを高めることの最終進化系が本書の題名にもなっている「インフォグラフィクス」だ。

2.インフォグラフィクス

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インフォグラフィクスとは、情報・データ・知識などを視覚的に表現したものである。一目見て何を伝えたいのかを理解することができるという点で優れた情報伝達手段である。太古の人類が洞窟に描いた壁画から、現代における膨大なデータを統計的手法を用いて分析したグラフまで、人間の情報伝達手段としてインフォグラフィクスは利用されてきた。

本書は宇宙誕生から現代に至るまでのありとあらゆる情報をインフォグラフィクスを用いて視覚的に表現したこの宇宙の歴史を一覧できる一冊となっている。

第1章から順に、すべての始まり、文明化へ、国家の建設、モダン・ワールドと題された各章はその時代における主要な出来事を取り上げている。紙面のデザインやレイアウトも歴史とともに進歩していき、現代に近づくにつれて使われる色も多くなり、フォントもスタイルも現代的になっていくのも特徴的だ。

見開き一ページに一つのテーマが取り上げられている。リード文・解説文・図の構造の解説文が添えられており、テーマに関するさらなる理解を得られるように文章においても工夫がなされている。

視覚的に表現されたものを文章化するのも風情がないので、各章の中で特に印象深かったテーマをご紹介するに留めよう。

第1章より「インパクト・ゾーン」

地球の近くを通過する小惑星のうち、地球に衝突する可能性があり、その影響が甚大であるものを記した図が取り上げられている。恐竜が絶滅した時のような危機が人類にも迫っているのだろうか。

第2章より「人類の大移動」

アフリカで誕生した人類が各大陸に拡散していく様子が取り上げられている。紀元前7万年から1850年までの全人口と同じ程度の人口の国や島との比較を通して人類が地球で覇権を握るまでの歴史を辿ることができる。

第3章より「紛争の見方」

20世紀の2つの紛争を始めとした争いの歴史が表現されている。20世紀を通して何の紛争もなかった年が1907年と1908年の2年だけというのは悲しい事実である。亡くなった人たちを偲び、犠牲者の方の数はケシの花で表させれている。多くの命を糧に花開く真っ赤なケシが印象的である。

第4章より「宇宙へ」

NASA(アメリカ航空宇宙局)のJPL(ジェット推進研究所)が1958年から今日に至るまでに打ち上げた探査機とその行き先が描かれている。地球を離れ遥か彼方で到達した探査機はこれから人類にどんなものをもたらしてくれるのだろうか。

3.「伝える」から「伝わる」へ

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顔を合わせてコミュニケーションするしかなかった時代と比べると現代に生きる私たちが入手することのできる情報は格段に増加した。

気になったことはググれば答えはほとんど見つかるし、遠く離れた人とも簡単に連絡が取れる。

こうした利便性と引き換えにガラクタのような情報や時には悪意ある嘘をはねのける必要性が出てきている。有用な情報を見抜くなどの情報の受け取りに関する事柄は情報リテラシーに関する議論の中で最も盛んに取り上げられているが、情報の発信に関しても私たちは注目していかなければならない。

これで伝わるだろう、という慢心がなかっただろうか。誤解してしまう可能性はないだろうか。そうした疑問を常に自分に投げかけることがとても大切だ。

本書はそのままのデータを見せただけでは伝わらない、あるいは受け取ってもらえない情報を伝えようという努力の詰まった一冊であるとも言える。

情報が溢れる時代だからこそ、自分が本当に発信したい情報は、一つ一つ丁寧に時間と手間を惜しまずに、大切に大切に扱わなければならないのだ。

まとめ

  1. 身の回りに「見える化」することで役立つ情報や隠された真実がないか探す好奇心を忘れないように。
  2. インフォグラフィクスのように自分の思いを伝えるツールを少なくとも一つ身につけておこう。
  3. 自分の思いや考えを人に伝わるにはどうすればいいか常に問い続けよう。

インフォグラフィックで見る138億年の歴史:宇宙の始まりから現代世界まで

  • 著者:ヴァレンチナ・デフィリッポ,ジェイムズ・ボール
  • 出版社:創元社
  • 発売日:2014/5/21

モデルプロフィール

  • 名前:皆川彩
  • 生年月日:1993/11/20
  • 出身地:東京都
  • 職業:お茶の水女子大学
  • 趣味:歩くこと、花札
  • 最近の悩み:12月から1人暮らしをするにあたって生活力があるのか不安です

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