生き抜くための中学数学
- 著者:芳沢 光雄
- 出版社:日本図書センター
- 発売日:2016/9/15
本書を一言で
ド文系のための中学数学
こんな人におすすめ
- 数学コンプレックスを持っている人
- もう一度中学校から基礎を固めたい人
「数学コンプレックス」をテーマに、おすすめの本を紹介していて3冊目になる。
今回はサクッと読める書籍ではなく、きちんと中学数学から学びたいといった期待に応える参考書だ。目次を見ると二次方程式、平方根、相似、三平方の定理…等、懐かしい用語が並んでいる。数学嫌いの私も目眩がするラインナップである。
ノートとペンを準備し、ゆっくりと本書をめくっていこう。
中学数学を学び直す意味

実生活で数学を必要とされるシーンはどれくらいあるだろう。
文系の日常から考えると、そんな頻繁に使うことがないのではないだろうか。
かくいう私もドがつく文系で、数学が必須でないライティングという仕事をしているし、今だって「因数分解なんてできなくても生きていけるわバーカ」とさえ思っている。
しかし、ふと思うのだ。
「こんな計算さえできないのか、自分は」、と。
高校のときに7回連続で数学0点を取ったことのある私は、追試に追試を重ね、クリスマスに先生と二人で補習をしたことがある。
ここだけの話だが、補習の宿題は友達にやってもらっていた。私は卒業するまでずっと「数学は受験生と貴族だけがやればいい」と暴論を吐いていた。計算機にやらせろよ、俺がやることじゃない、数学ができても彼女はできないと、数学への罵詈雑言は止まらない。
もう意地でも数学なんてやらないと開き直っていたが、ふいに「数学コンプレックス」の恐怖に駆られる。コンビニでレジに並ぶ度、店員の指のほうが私の計算より早い事実を知る。
「いい加減に数学と、コンプレックスと向き合わなければ」。
私にとって中学数学を学び直す意味は、コンプレックスを失くすこと。レジに並ぶ度、自分の幸福度が削られるんじゃたまったもんじゃない。嫌な自分はもう見たくない。
いざ勉強しようと思ったときに、本書が書店で見えたのだ。
文系がとっつきやすい参考書ってなんだろう

もう藁にもすがる思いで、本書を最後までやり切ってみた。
結論から言うと、とても文系に優しい参考書だなと感じた。
数列や文字列を見ると、ド文系はこれを非言語に感じて拒絶反応が出てしまう。
私達を苦しめた教科書を思い出して欲しい。ページ上部に公式が書いてあり、中部に無駄のない説明、下部に練習問題と隙のない構成だ。この無駄のなさは、絶対的文系殺しの布陣にさえ感じる。
このことに著者の芳沢光雄氏は配慮していて、まえがきにこうある。
日常生活に結びついた「生きた題材」を多く取り入れると、生徒の興味・関心はぐっと高まる。
文中も語りかけるような口調で解説が進み、とても優しい解説だ。
目次にしても0章は算数の復習から始まる。まさに、この一冊をやれば中学数学は完璧に理解できると言っていいだろう。
例えば、正の数と負の数を解説する章にて。
教科書では「-1などは、負の数という」と、解説に氷点下なみの冷酷さを感じるが、本書ではイメージが湧きやすいように例を提示してくれる。
基準となるところを0として性質が反対の量を捉える見方は他にもいろいろあります。
(中略)
(銀行では)1万5千円の預金は+15000円で、1万3千円の借金は-13000円と表せます。
現在の時刻を基準の0分として、いまから未来に向かっての時間を+(プラス)で考えると、いまから過去に向かっての時間には-(マイナス)がつくことになります。30分後は+30分で、15分前は-15分と表されます。東西に走る道路のある地点Aを基準の0kmとして、Aから東の方向へ進んだ距離を+(プラス)で考えると、Aから西の方向へ進んだ距離には-(マイナス)がつくことになります。
もう、このような実生活と結びついた例が全編に渡って散りばめられている。
上の引用文を見るだけで、いかに分かりやすい本かが分かってもらえるだろう。
本書のタイトルに「生き抜くための」とあるが、まさに実践的なシチュエーションを想定しながら書かれているのはそういうことかと頷ける。語りかける口調は優しいが、「生き抜くための中学数学」を本気で伝えようとしている著者の情熱を感じた参考書だ。
一番驚いたのは、今ならもう一度受験してみたいと思った自分がいたことだった。
生き抜くための中学数学
- 著者:芳沢 光雄
- 出版社:日本図書センター
- 発売日:2016/9/15
モデルプロフィール

- 名前:柏倉亜優美
- 生年月日:1995/7/27
- 出身地:埼玉県
- 職業:学生 大学3年
- 受賞歴:第15期シーサイドイメージガール
- 趣味・一言:サイクリング、アニメ鑑賞、ジグソーパズル
- 最近の悩み:ゆっくりマンガとかアニメを楽しむ時間がなかなかとれない。。。
- Twitter:@A_kaskR
(カメラマン:伊藤広将)
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