数学嫌いの人のためのすべてを可能にする数学脳のつくり方
- 著者:苫米地 英人
- 出版社:ビジネス社
- 発売日:2016/4/22
本書を一言で
数学的思考の持つ可能性。
こんな人におすすめ!
- 数学コンプレックスを持っている人
- 数学的思考を身に着けたい人
- マイナス×マイナス=プラスの理屈が分からない人
数学にコンプレックスを持っている日本人は一体、どれくらいいるのだろう。
TIMSSで行われたアンケートで「数学は楽しいと思えますか?」という質問があった。「凄く楽しいと思う」と答えた日本の小学生が29.2%、中学生は13.2%。対して、同じ質問にアメリカの小学生は51.1%、中学生は27.2%が「凄く楽しいと思う」と回答している。(本書p43を参照)
この数学に対する日米の意識の差はなぜ生まれるのだろう。
著者の苫米地氏は、日本人は答え探しの数学教育しか受けていないから、「数学的思考」が生まれにくいと批判している。
本書はそうした数学コンプレックスを持つド文系に向け、数学的思考の基礎を徹底的に叩き込んでくれる一冊だ。マイナス×マイナス=プラスになる理屈が理解できない人こそ読んで欲しい。
キーワードの数学的思考とは

本書では繰り返し「数学的思考」という言葉が使われている。
簡単に定義してしまえば、誰も見たことがない世界に迫るための思考であると、私は解釈した。
冒頭は、「『数学的思考で問題を解決する』という発想に違和感を覚えた」という主旨から始まっている。
数学は問題を解くための道具ではない。
その反対に問題を見つけだすものだ。少なくとも私が学んできた数学はそうだった。
日本の数学教育では、解が設定された問題を解き、答えを当てるという「答え探し」が当たり前になっている。しかし、本当の数学とは誰もまだ発見したことのない世界の真理を追求し、前例なんかは踏み台にしていく冒険的行為なのだ。
この考えが、本書の基本的思考になる。
物理空間を超えた、数学的空間へようこそ

そもそも数学とは、”数学の宇宙”があることを前提とする学問であると著者は言う。
どういうことか、人間とAI(人工知能)の思考の違いが分かりやすい例えだったので紹介したい。
当たり前だが、私達人間の思考は情報空間にあって、現実世界にはない。
道に迷って、右か左かどっちに行けばいいか分からないとき、私たちは「勘」と呼ばれる得体の知れない力を使う。
「う~ん、なんとなくこっちっぽいんだよな~」と判断し、根拠もなく選んでしまうこともある。
ここでは、私達の思考は常に情報空間にあることだけ理解すればよい。
その一方で、AIなどコンピューターの情報処理は自然界にしかない。
例えば、右に行くのが正しいのか、左に行くのが正しいのかを人工知能自身が推論する場合、左右の道のアスファルトの素材の違い、色の違い、温度差、標識の有無などありとあらゆることを論理的に検討してしまう。
勘とかいう概念はなく、実在する自然界から推論を重ね、判断していく。
人間とAIのどちらの思考が優位なのかは割愛するが、そもそも性質が違うことは明白だ。
AIはプログラム化された思考の中でしか、推論を重ねられない。
対して、人間の思考の魅力は、情報空間の中で、宇宙を作れることだ。
数学的思考の最たる例に、「フェルマーの最終定理」がある。まだ誰も発見をしたことのない真理、つまり問題を見つけ、それに対してエレガントな解を導き出す。
-フェルマーの最終定理-
3 以上の自然数 n について、xn + yn = zn となる自然数の組 (x, y, z) は存在しない
命題の意味は割愛して、この定理を最初に発見したフェルマーは天にも昇る達成感を得たのではないだろうか。頭の中で推論を重ね、宇宙を作り、まだ誰も見たことのない真理を見つけた快感は想像すらできない。
本書は、数学に興味が出るばかりでなく、その数学脳的な考え方の片鱗を伺える一冊だ。
数学嫌いの人のためのすべてを可能にする数学脳のつくり方
- 著者:苫米地 英人
- 出版社:ビジネス社
- 発売日:2016/4/22
モデルプロフィール

- 名前:塚本愛梨
- 生年月日:1989/7/4
- 出身地:神奈川県
- 職業:事務
- 受賞歴:withgirlsスターメンバー、キュレーター
- 趣味・一言:カフェ巡り・スポーツ
- 最近の悩み:欲しいモノがたくさん
- Instagram:@airiii_t
(カメラマン:伊藤広将)
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