みんなの幸せを考える学問『経済ってそういうことだったのか会議』

経済ってそういうことだったのか会議

  • 著者:佐藤雅彦・竹中平蔵
  • 出版社:日本経済新聞社
  • 発売日:2002/09

 

「経済学では、お金儲けの方法を学ぶんだよね。抵抗があるなあ……」

「お金儲けに対するイメージは悪いです。自分がお金を得た分、きっと誰かが不幸になるから」

「投資ってよくわからないけど、ギャンブルみたいなものでしょう?」

こんな風に、「お金儲けは卑しい」という概念がありませんか。そして、お金儲けの方法を学ぶ「経済学」に対して、マイナスイメージを持っていませんか。

確かに、残念ですが「お金儲け全てが正しい」とは言えないのが現状です。

世の中には、貧しさゆえ生活が困難な人がいる一方で、有り余るほどの資産を手にし、絢爛豪華な日々を営む人もいます。

そして詐欺やお金にまつわる犯罪、トラブルも絶えず起きています。もし道を歩いているあなたに「お金儲けしたくないですか」なんて急に話しかけてくる人がいたら、かなり怪しいので身構えるべきです。

今回ご紹介する『経済ってそういうことだったのか会議』はクリエイティブディレクターの佐藤雅彦氏の疑問に、経済学者の竹中平蔵氏が明快に答えていく、対談形式の本です。

もしあなたが「経済学は素晴らしい学問だ!」と断言できるならば、この記事を読む必要は無いのかもしれません。

でも、もし「経済学」に対し抵抗があったり、お金を得ることに不安を感じた経験があったりするなら、『経済ってそういうことだったのか会議』の経済学に触れてみませんか。

経済学は何のために生まれたのか

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あの人気教育番組『ピタゴラスイッチ』のディレクターも務めた佐藤雅彦氏。はじめ、彼の経済学に対する印象は良くありませんでした。

正直に言うと、僕は経済学に対してあまりいい印象を持っていなかった。それは、株や投資といったものに伴うあやしげな雰囲気や、安易なお金儲けをよしとする傾向を作り出すことに、経済学が加担しているように思われたからだ。

しかし竹中氏は、佐藤氏の考えを覆す驚きの言葉を放ちます。

佐藤さん、エコノミクスって
ギリシャ語の”オイコノミコス [oikonomikos] ”から来ているんです。オイコノミコスとはどういう意味かと言いますと、共同体のあり方、という意味なんです

そう、もともと経済学は、個人がお金持ちになるためではなく、共同体のみんなが幸せになるために生まれた学問なのです。

竹中氏が経済学の勉強を始めたのも、父親が懸命に働いているのにお金持ちなれないのを見て、「どうやったらもっと住みやすい、よい世の中になるんだろう」と思ったのがきっかけだったそうです。

経済学者は、理想の共同体のあり方を常に求めてきました。そしてこれまでに、「みんなが幸せになるためのシステム」を沢山発明してきたのです。

経済学が苦手な人ほど知らない「株」のこと

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みんなが幸せになるために生まれたシステムとして代表的なのは「株」です。

ニュースでは、ほぼ必ず株価が伝えられます。このように株は聞き慣れた言葉にも関わらず、その実態を知らないという人は多いと思います。

驚くべきことに、アメリカでは「株」は小学校のうちから学ぶ、基本中の基本事項なのです。

「株」を知るには「株式会社」の意味を知るのが手っ取り早いです。

株式会社の始まりは、17世紀初頭に貿易と植民地経営をしていた「東インド会社」です。

貿易や植民地経営は大規模な事業のため、設備投資に巨額の資金が必要でした。

そのため、彼らは共同でお金を出し合ったり、他者から出資を募ったりする事を考えます。利益が出ると、お金を出した人に還元するという仕組みでした。

初めは一回限りで、その都度行っていた事業が繰り返されるにつれ継続的な組織「企業」になります。

しかし、「企業」に対しこれまでの出資の仕組みを適用することは難しくなりました。なぜなら、「途中で都合が悪くなり、返金を求める出資者が出る」可能性があるからです。

もし、出資者にお金を返してしまえば、会社が倒産してしまいます。

そこで考えられたのが、「出資者が『権利』を分けて証紙にして売買する」という仕組みでした。

この証紙が「株」です。

出資したい人が、入れ代わり立ち代わり、したい時に、買えるだけ株を買い、売りたい時に売ればいいのです。

重要なのは、責任が有限であること。株制度を取り入れる「株式会社」は、たとえ倒産しても株を買った額以上の損にはなりません。

株式会社じゃない個人の会社だと、借金を払い尽くすまで無限に責任を負わなきゃいけないですね。 〜中略〜 この有限責任である株式会社の制度が、資本主義の一大発明だと言われているんです

このように、株は、会社にも出資者にも優しい経済の仕組みなのですね。

 

「投資」と「消費」

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「職業は投資家です」と言われると、何だか少しあやしげな印象を受ける人がいると思います。こう感じるのも、「投資とは何か」を知らないからかもしれません。

そもそも、「投資」と「消費」は何が違うのか。佐藤氏の疑問に竹中氏は以下のように答えます。

投資というのは具体的に言うと、何かを作るためにセメントを買うこと、鉄骨を買うこと、屋根の材料を買うことですよね。一方の消費は、例えばパンを買うことです。物を買う、お金を支出するという点ではセメントを買うのと全く同じです。ところが消費は将来のものを生み出さないんです。

「消費」は、物やサービスを購入した時点で経済活動が完結します。しかし、「投資」は、将来に価値や利益など何らかのリターンを生み出します。このように、「投資」と「消費」は対義的な行為なのです。

また、よく「自分に投資」と言う人がいますが、経済学的には自分に投資する行為は「投資」ではなく「消費」なのだそうです。

例えば、資格の勉強の為に、スクールの入会金3万円を払ったとします。この3万円は自分の将来のための「投資」のように思えます。しかし、3万円が消えてしまったことに変わりはありません。パンを買って食べるのと同じなのです。

かく言う私も、スキルの向上に燃えた時期があって、LINEのプロフィール欄に「じぶんに投資」と書いていたことがあります。今から思うとちょっと恥ずかしいですね。

お金を使う時に、「これは消費かな、それとも投資かな」なんて考えてみたら、自分が経済学の世界に一歩踏み出せた気がして楽しくなりそうです。

「経済学」を学ぶことは共同体のあり方、すなわち「みんなの幸せ」を考えること。

「経済学」との距離が、少しだけ縮まった気がしませんか?

こんなお悩みを解決!

  1. お金を稼ぐことに抵抗があります。私が得をした分、誰かが損をしている気がして……。
    →あなたのような人ほど、経済を学んでほしいです。
    経済学はみんなの幸せを考えるために生まれました。
    詐欺など、悪いお金の稼ぎ方をする人はいますが、お金を稼ぐこと自体は、決して悪いことではありません。
    人々が幸せになるお金の稼ぎ方、使い方を知れるのが経済学なんです。
  2. 経済を学ぶことは大切だとわかっていて、基本を学びたいのですが、難しそうで乗り気になれません。
    →まずは、「身近な話題」からキホンを抑えていきましょう。
    「『株価』って言葉はニュースで毎日耳にするけど、どうやって決まってるんだろう」
    「円高のメリット、デメリットってなに?」
    「私がこのお金を投資したら、誰が幸せになるのかな」。
    経済学は日々の生活と密着していますから、身近な話題から経済学を考える習慣をつければ、自然と実践的な経済への素養が身につくはずです。

経済ってそういうことだったのか会議

  • 著者:佐藤雅彦・竹中平蔵
  • 出版社:日本経済新聞社
  • 発売日:2002/09

モデルプロフィール

Kikuchi_profile
  • 名前:菊池里奈
  • 生年月日:1995/08/24
  • 出身地:東京都
  • 職業:慶應義塾大学
  • 趣味:変顔や日焼けをすること

(カメラマン・森井悠太)

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