未来の日本経済を担う若者たちへ『僕は君たちに武器を配りたい』

僕は君たちに武器を配りたい

  • 著者:瀧本 哲史
  • 発売日:2011/9/22
  • 出版社:講談社

 

「勉強して良い大学に入れば、将来は安定」。

まだそんな神話を信じているなんてことは……ないだろう。

もちろん、勉強で得た知識やスキルは社会で生き残る上でとても大切だ。しかし、勉強だけしていても、それが収入に直結するとは限らない。

今、日本を含めた世界中の先進国では、高度なスキルを必要とする職業の付加価値が急激に下がっている。

なんと、理想の職業として名高い医者でさえも、「激務と責任に見合わない報酬」、「医者の増加による患者の奪い合い」、「大病院の研修医の労働環境の厳しさ」から「高学歴ワーキングプア」の不安と戦っているのが現状なのだ。

※高学歴ワーキングプア:高学歴なのに、無職や非正規労働者になったり希望の仕事に就けなくなったりすること

「勉強すれば、収入が増える」と今まで信じていたという方、あなたは悪くないのです。

なぜなら、ここ最近の日本のメディアが「勉強すれば幸せになれる」と流布し続けてきたのだから。

とはいえ、この「勉強神話」を信じていなかった人も「他に何をすれば良いかわからないから」と、目的無く勉強だけをしていないだろうか。

そんな「日本社会を生き抜く術を持たない若者」に武器を配り続けている人がいる。

京大准教授でエンジェル投資家の瀧本哲史氏だ。

『U25探訪記』に出演いただいた大熊将八氏の所属する「瀧本ゼミ」の教授でもある瀧本哲史氏。これまで、就活特集にて「『武器としての交渉思考』交渉術をマスターして面接を突破せよ」(2016/3/25)を取り上げた。今回ご紹介するのは、『僕は君たちに武器を配りたい』だ。

コモディティ化の恐ろしさを自覚せよ

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日本社会で生き残りたいのなら、自分が「コモディティ化」していないか、常に立ち返る習慣をつけるべきだ。

市場に出回っている商品が、個性を失ってしまい、消費者にとってみればどのメーカーのどの商品を買っても大差無い状態。それを「コモディティ化」と呼ぶ。〜中略〜つまり「個性のないものはすべてコモディティ」なのである。

コモディティ化した市場では、商品の品質や機能にほとんど差がないので、単純に安いものが売れる。すると当然価格競争が生まれるから、売れたとしても商品1つあたりの利益が少ない。

これを人に例えてみよう。

名高い「士」の資格を持ちTOEICスコア満点の人がいる。しかし、同じ資格を持ち、TOEICスコアが高い人は世界にごまんといる。

このコンビニの陳列棚に並ぶおにぎりの商品表示のような情報でしか差別化できない人間は「コモディティ化した人材」とみなされる。その場合企業はやはり、より安い給料で働いてくれる人材を採用するのだ。

もしあなたが安月給で働かされる「ただの労働者」から抜け出したいのなら、「スペシャリティ」になる必要があると瀧本氏は述べる。

スペシャリティとは、専門性、特殊性、特色などを意味する英単語だが、要するに「他の人には代えられない、唯一の人物(とその仕事)」「ほかの物では代替することができない、唯一のもの」のことである。

あなたには「スペシャリティ」がありますか、それとも「コモディティ化」した人間ですか。 

今すぐ紙とペンを取り出して、今の自分についての情報を書き出してみよう。

……企業の採用担当者は、何人「あなたと同じ人」を見つけるだろうか。

……そしてあなたは、その誰よりも安い給料で働ける自信があるだろうか。

「本当の意味で」冷え切った日本経済

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バブル崩壊、失われた10年、リーマンショック、東日本大震災……。日本の経済は長年冷え切っていると言われる。しかし、それに拍車をかけるように、無慈悲な企業が増加し、心ないビジネスが横行している。

例えば、若い社員を食い物にする「ブラック企業」と純粋な学生を不安に陥れる「就活ビジネス」がある。

「ブラック企業」は、テレビコマーシャルなどの広告費に大金を賭け、正社員という肩書きで一度に大量の人員をおびき寄せる。しかし、採用後は劣悪かつ過酷な労働環境で酷使し、結果が出なかったり疲労でダウンしたりしたものは、切り捨てる冷徹さを持つ。

「就活ビジネス」は、「これをやらねば就職できない」と学生の不安を煽ることで、ハウツー本の販売やスクール入会などのビジネスにつなげようとする。ビジネスの仕掛け人達は利益が生まれれば良いので、学生の就活の結果には興味が無いのだ。

「ゲリラ戦」のすすめ

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そんな「非情で残酷な日本社会」において、瀧本哲史氏は、「ゲリラ戦」こそ現代日本社会で生き残る手段であると語る。

「ゲリラ戦」とは、正規の軍隊の戦い方ではなく、小規模部隊の柔軟な戦い方のことだ。

このように先が見えないときこそ必要なのは、正規軍の戦い方ではなく、状況に応じて臨機応変に戦術を変える、「ゲリラ」の戦い方なのである。

会社が労働者を守ってくれる時代は終わった。これからの日本では、各々が自ら働く場所を決め、自力で良い労働条件を獲得していく他ないのだ。

アメリカ独立戦争、明治維新、中華人民共和国の建国……。歴史が大きく変わる戦いにおいて、ゲリラが正規軍に敗北したことはない。

敵が長距離なら銃で攻撃し、剣には盾で防御し、兵糧攻めには大量の食料で対応する。ゲリラ的に生きるためには、沢山の戦術をストックしておかねばならない。戦術のレパートリーを増やすためには、もっと沢山の「武器」が必要だ。

私は冒頭で「勉強は幸せに直結しない」と言った。ただし、やみくもに勉強するのでないなら話は別だ。「武器を得る手段」としてする勉強は、日本社会で生き残る一助として、大きな意味を持つのだから。

こんなお悩みを解決!

  1. 就活が上手くいきません……。大学の成績も良いし、留学したし、資格も沢山持っているのにどうしてなのでしょう……。
    →それは、あなたが企業に「コモディティ化」した人間だと見なされているのです。ES(エントリーシート)を見直してみてください。あなたと同じことを書いている人は、世の就活生に沢山いるはずです。あなただけにしかない「スペシャリティ」な一面を見つけ、それをアピールしていきましょう。
  2. 厳しい日本社会で生き残るために何が必要なのですか。勉強だけしていてもダメなんでしょう?
    →そうです、勉強だけだとダメなんです。「努力さえすれば何とかなる」という考えを払拭できたのは大きな一歩。次に取り掛かるべきは、どんな状況でも柔軟に対応するための「武器」の獲得です。今の日本経済の流れをつかみ、時代のニーズに取り残されないことが大切なのです。

僕は君たちに武器を配りたい

  • 著者:瀧本 哲史
  • 発売日:2011/9/22
  • 出版社:講談社

モデルプロフィール

Yoneda_profile
  • 名前:まりな
  • 生年月日:1991/12/29
  • 出身地:宮城県
  • 職業:OL
  • 受賞歴:ミス東大ファイナリスト
  • 趣味:読書

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WRITERこの記事を書いた人

湯川 うらら

本to美女編集長 湯川うらら 麗らかな春の日に生まれました。「一瞬一瞬を全力で」がモットーの、本to美女編集長/インタビュアー/キャトグラファー。著者の半生から学び、登場人物の人生を味わい尽くす……「本」は、人類と共に時代を紡いできました。週1回はブックカフェに通い、気になる本を味見するのが楽しみ。実用書から漫画まで、守備範囲は幅広い。色々な人の話を聞いて、人生を豊かにしたい、誰かを幸せにしたい。 猫の島へ単独潜入するほど、生粋の猫好きで、SNSはネコ写真でいっぱい。一年中もふもふしていたい。