大学生の皆さん。社会に出るのが怖いですよね。分かります。僕もです。『待っていても、はじまらない。』

大学在学中、ベンチャー企業でアルバイトをしていた時のこと。昼下がり、大きなプロジェクトのマネージャーを務めている先輩が私に「明日の朝までにユーザーへの聞き取り調査の資料をパワーポイントにまとめてくれ。」と膨大な議事録を押し付けた。とんでもないことになった。資料の読み込みがそこまで早くない私は、間違いなく一夜漬けで資料を作らなければならないことを覚悟した。

 お給料を貰って仕事をしている以上、「課された仕事は従順に」「ミスなく」処理していくことが肝要だ。でも、それらの単純な仕事を、貴重な大学四年間の一コマを消費してまで行うべきものなのか。そんなことを考えていても仕方がないので、札束を頂くためだけに土日は「資本主義の犬」になる。

待っていても、はじまらない。―潔く前に進め

  • 著者:阿部 広太郎
  • 出版社:弘文堂
  • 発売日:2016/8/26

人生を豊かにするために仕事をしたい。

『圧倒的な成長が可能』『社会人レベルの営業の力が身につく』『フレックス労働制』などのキラキラな言葉ばかりの求人サイトとはかけ離れた、失礼ながら、やる気が起きそうにもないバイト先である。過酷で無意義な労働に耐えられなくなったことを理由にバイトをやめることを決意した。「中途半端にやめていいのか?」「それだと社会に出た後も辞め癖がつくぞ」「うちの職場は、他に比べてまだいい方だぞ」と先輩社員から何度も考え直すように懇願された。申し訳なかったが、心がもう一度傾くことはなかった。

世の中はこのような「働く意義を感じられない」仕事に溢れているのかと思うと、生きることに希望が見えなくなる。出来ることなら人生を豊かにするために仕事をしたい。でも、そんなことが本当にできるのか。母親曰く、「楽しいことは続くんだけど、楽しくないものはすぐに諦めちゃう」社会不適合な自分は、これから定年までどんなことを考えて働いていくべきか分からなかった。

そうした時にふと本屋に行って、手に取った本が、電通のコピーライターの阿部広太郎さんが著した『待っていても、はじまらない。潔く前に進め』であった。

何度も打ちのめされては、立ち直って大きな壁に向かっていく泥臭さ

この本のはじまりは、電通の人事部に配属になった阿部青年が、インターン生たちが受けているコピーライティング講座を後ろから眺めるなかで、「嫉妬心」を抱いてしまったところからはじまる。今でこそ東進の「いつやるか、今でしょ」などの有名なコピーを手掛ける阿部さんだが、そこまで上り詰めるまでには、先輩のクリエイティブディレクターに何度もコピーを添削して頂いたり、宣伝会議賞に作品を投稿したり、渾身の企画書を作っては企業のfacebookメッセージに送信するなどの「泥臭い」過程があったことが記されていた。

何度も打ちのめされては、立ち直って大きな壁に向かっていく泥臭さは、自分の仕事に意義を感じているからこそ生まれるのではないか。阿部さんはこの本の中で、自分が働く意味は、「世の中に一体感をつくりたい」という言葉に詰まっていることが紹介されている。言葉という自分オリジナルの武器をつかって、世の中の一人一人をハッとさせ、背中を押してあげたい。この本を読んでから、阿部さんのコピーを検索するようになり、新しいものを見つけては何度も何度も背中を押して頂けた。

また、この本は阿部さんの生き方を振り返るものであると同時に、阿部さんと同世代でかつ、異業種の方の「働く意義」がインタビューを通して紹介されている。顔ぶれも各業界で第一線を走っておられる、エネルギッシュな方ばかりだ。

渡辺雄介(脚本家)/白岩 玄(作家)/松居大悟(映画監督)/芦沢ムネト(芸人)/古市憲寿(社会学者)/清野とおる(漫画家)

潔く前に進むヒントは、働く意義を見つけることにあるのかもしれない。ちなみに私の働く意義は……これから見つけるつもりだ。

待っていても、はじまらない。―潔く前に進め

  • 著者:阿部 広太郎
  • 出版社:弘文堂
  • 発売日:2016/8/26

モデルプロフィール

  • 名前:千石菜摘
  • 生年月日:1996/8/24
  • 出身地:青森県
  • 職業:フリーター
  • 趣味・一言:ダンス、散歩、詩、読書/お芝居が好きです!
  • 最近の悩み:チョコレートが辞められません。
  • Twitter:@sougosuzukis
(カメラマン:村井優一郎)

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