変化の時代は、チャンスの時代でもある
いまの私たちは、30年前の私たちが想像できなかったような生活を送っている。ポケットに入った小さな機械は、ミュージックプレーヤーであり、辞書であり、本であり、ちょっとした仕事なら対応できるコンピューターであるし、私たちのアシスタントも務めてくれる。
では、もう30年たった時、私たちはどんな生活をしているのだろう。それを知ることができたら、ビジネスで大きな成功をつかむことだってできるだろう。時代がすごい勢いで変化していることはわかっている。
では、いまここにあるチャンスを掴むには、どうしたらいいのだろうか。
この本は、そのためのヒントを与えてくれる。
〈インターネット〉の次に来るもの 未来を決める12の法則
- 著者: ケヴィン・ケリー (著), 服部 桂 (翻訳)
- 出版社:NHK出版
- 発売日:2016/7/23
本書では、これからの30年に、「ネット化したデジタル世界は名詞(結果)ではなく動詞(プロセス)として生成し(第1章ビカミング(なっていく))。
世界中が利用して人工知能(AI)を強化することでそれが電気のようなサービス価値を生じ(第2章コグニファイング(認知化していく))、
自由にコピーを繰り返し流れ(第3章フローイング(流れていく))、
本などに固定されることなく流動化して画面で読まれるようになり(第4章スクリーニング(画面で見ていく))、
すべての製品がサービス化してリアルタイムにアクセスされ(第5章アクセシング(接続していく))、
シェアされることで所有という概念が時代遅れになり(第6章シェアリング(共有していく))、
コンテンツが増え過ぎてフィルターしないと見つからなくなり(第7章(フィルタリング(選別していく))、
サービス化した従来の産業やコンテンツが自由にリミックスして新しい形となり(第8章リミクシング(作り変えていく))、
VRのような機能によって高いプレゼンスとインタラクションを実現して効果的に扱えるようになり(第9章インタラクティング(相互作用していく))、
そうしたすべてを追跡する機能がサービスを向上させライフログ化を促し(第10章トラッキング(追跡していく))、
問題を解決する以上に新たな良い疑問を生み出し(第11章クエスチョニング(質問していく))、
そしてついにはすべてが統合され彼(ケラー)がホロス(holos)と呼ぶ次のデジタル環境(未来の<インターネット>)へと進化していく(第12章ビギニング(始まっていく))と予想している。
では、この中でも特に気になるものをいくつか見ていこう。
第2章「コグニファイング(認知化していく)」
いま、一番強いチェス・プレーヤーを知っているだろうか。それは、「ケンタウロス」という、人間とAIがサイボーグのように一体となってプレーする形式だ。2014年に行われたフリースタイルのバトル選手権では、AIだけのエンジンは42勝、ケンタウロスは53勝した。
それは、Intagrandという、数名の人間といくつかのチェス・プログラムが組んだチームだ。
しかしこの話にはまだ先がある。AIが出てくることで、純粋な人間プレーヤーの技能が下がることはなかった。まったく逆だったのだ。人々は、今までになく強くなった。最初にマシンが人間を破った1997に比べ、現在は倍以上の人数のグランドマスターがいるという。中でも人間の最高位にいるチェスプレーヤーであるマグヌス・カールセンはAIで特訓しており、人間として最もコンピューターに近いプレーヤーと言われている。彼はこれまでのグランドマスターの中で、最も高い得点を記録している。
もしAIが人間を助けてより優れたチェスプレーヤーにしてくれるのなら、同じようにより優れたパイロットや医者、判事、教師がでてきてもおかしくはない。
200年前、アメリカでは70%の労働者が農場で働いていたが。現在ではオートメーションによってその仕事は1%となり、彼らは機械に置き換わってしまった。しかし、オートメーションはまったく新しい分野で何億もの新しい仕事を生んだのだ。かつては農業で暮らしていた人々が、工場労働の分野に配置転換され、工業製品をつくりはじめた。それ以降、食品を扱う科学者やウェブデザイナーのような1800年代の農民が考えもつかなかった職業が生まれている。
21世紀が終わるまでに、いま存在する職業の70%がオートメーションに置き換えられるだろう。つまり、ロボット化は不可避であり、労働の配置転換は時間の問題なのだ。
ロボットが代替する仕事は大量に発生するだろう。
2050年に一番儲かる職業は?まだ発明されていないオートメーションやマシンによるものだと予測しておけば、まず間違いないだろう。
近い将来、誰もがパーソナル・ロボットを使えるようになるだろうが、ただ持っているだけでは成功はおぼつかない。それよりも、ロボットやマシンと一緒に動くプロセスを最適化できた者が成功をつかみ取るだろう。
これはマシンとの競争ではない。もし競争したら、われわれは負けてしまう。これはマシンと共同して行う競争なのだ。あなたの将来の給料は、ロボットといかに協調して働けるかにかかっている。
彼らは、われわれがまるでできない仕事もできる。必要だとは想像もしなかった仕事もやってくれる。その新しい仕事が、われわれ自身を拡張していくのだ。ロボットのおかげで、われわれはもっと人間らしい仕事に集中できる。
このような未来は不可避だ。ロボットたちには仕事を肩代わりしてもらい、本当に大切な仕事を頭に描くのを手助けしてもらおう。
第3章フローイング(流れていく)
仕事はまとめてバッチ方式で処理する方式から、一日単位になった。メールを送ったらその返事は同日中に来るはずで、昔の郵便のように2週間後ということはない。
そして今では、1日単位からリアルタイムへと変わっている。誰かにメッセージを送ったら、すぐに返してほしいと思うようになった。
リアルタイムに起きていないことは、存在しないも同然なのだ。そしてリアルタイムで処理するには、すべては流れていなくてはならない。
リアルタイム、とは人間の時間だ。すべてのものが、現在というストリーミングの中を流れていかなくてはならない。
そしてテクノロジーは、コピーを無料にした。コピーが無料になると、コピーできないモノを売らなくてはならない。
例えば、信用やパーソナライズされたもの、実体化。この本では、8つの生成的なものが列挙されている。
新しい世界で成功するには、新しい流動性をマスターすることが求められるのだ。
人間を奴隷にする、強いシンギュラリティは起こらない
そして、「所有権の購入」から「アクセス権の定額利用」などについて解説する5章アクセシング(接続していく)、テクノロジーがものを無料にしていくことにより、経験の価値は上がり、流れる情報が圧倒的に増えることによってフィルタリングが不可避になる(第7章フィルタリング(選別していく))。
われわれの体が進化の過程で得られなかった新しい感覚を身に着けることが可能になり、それによって自分の健康状態をベストに保つことに役立つとなどを説明する第10章トラッキング(追跡していく)。
著者は、AIが神のような知恵を持ち、存在する問題すべてを解けるところまで到達してしまい人類を奴隷にする、という「強いシンギュラリティ」は起こらない、と考えている。
それよりも、人間にマシンが加わって複雑な相互依存をする、弱いシンギラリティの方があり得る、という。
いずれにしても、今後30年の間にわれわれをとりまくことになる状況を予測することは不可能だが、その方向性は明確だ。
12の流れをヒントに、チャンスをものにし、この変化を乗り切っていこう。
〈インターネット〉の次に来るもの 未来を決める12の法則
- 著者: ケヴィン・ケリー (著), 服部 桂 (翻訳)
- 出版社:NHK出版
- 発売日:2016/7/23
モデルプロフィール

- 名前:リサ
- 生年月日:1995/9/23
- 出身地:埼玉県
- 職業:学生
- 趣味・一言:アイドル鑑賞
- 最近の悩み:早起き出来ない…
(カメラマン:伊藤広将)
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