人類が誕生した謎に迫る 『生命はなぜ生まれたのか』

生命はなぜ生まれたのか―地球生物の起源の謎に迫る

  • 著者:高井 研
  • 出版社:幻冬舎
  • 発売日:2011/1

 

去年、クレイジージャーニーというTV番組を見て、著者の高井研氏を初めて知った。

口が悪く、こてこての関西弁。もはやそれだけでも目立っていたが、地球生物学者・高井研氏が深海について熱く語る姿勢に引き込まれ、食い入るようにTVを見ていたのを今でも覚えている。気付いたら深海に興味を持ち、書店で本書を手に取っていた。 

高井研氏は、生命の起源の謎を探るために、数時間かけて6500mもの深海に潜り続けると言う。人類が誕生して40億年以上経つが、深海はなんとほとんど変わっていないらしい。まだまだわかっていないこの深海の謎を解明することができれば、生命誕生の謎を解き明かすことができる(かもしれない)、そのために深海に潜り続けると熱く語っていた。

深海生物・鉄の鱗を持つスケーリーフット

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深海には、チムニーと呼ばれる熱水噴出孔があり、そこから300℃超の熱水が噴出している。そこにはたくさんの微生物がいて、このチムニーに群がる微生物を著者は研究している。

この熱水噴出孔の周辺には、通称スケーリーフット(ウロコフネタマガイ)と呼ばれる鉄の鱗を持つ生物も存在している!(2001年発見され、話題となった)

生き物の鱗なのに「鉄」なのだ。そんな生物がいると聞くだけで、わくわくしてくる。

研究者が長い時間と多大な労力をかけて調査によって発見し研究できる深海熱水活動域は、今現在の地球に存在する熱水活動域のごくわずかに過ぎない。(それでも世界で300か所以上見つかっているが)

そのわずかな深海熱水活動域でさえ、まったく同じ熱水活動というものはなく、極めて多種多様な地質学的、化学的そして生物学的特徴が存在している。

しかし、この熱水の原動力はそれほど複雑ではなく、海底下や地下の「高温の岩石と水の化学反応」というかなり単純で共通の現象である。

この岩石と水の化学反応は「地球だけの特別な現象」ではなく、地球以外の惑星でも水が存在していればごく普遍的に起きる化学反応で、宇宙における生命の誕生と繁栄を考える上でもかなり重要で、宇宙共通の現象と言える。

生命の起源の謎はまだわかっていない

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先に述べておくが、生命の起源の謎はまだ解き明かされていない。著者曰く、あと30年あればもしかしたら解けるかもしれないらしい。そもそも深海にはほとんど生命は存在していない闇の世界だと考えられてきたくらいなので、30年後楽しみだ。

生命の起源を探るためには、まず生命の定義をしなければならない。生命とは何か。

地球外生命を探すことに命を懸け、それについて一番考えてきたNASAのよると、「生命とは、ダーウィン進化を受けることが可能な、自己保存的な化学系」である。

と、専門外の身からしたら正直よくわからないが(笑)、生物の限界とは、生物の住める環境の限界ってなんなのかを深海で探っているというわけだ。

ちなみに余談だが、高井氏のライバルは映画監督のジェームスキャメロンだそうだ。映画「タイタニック」は自分が深海を探検したかったから作ったらしく、タイタニックで稼いだお金をさらに深海探検の費用に回したとか。

もともとノーベル賞を取りたくて科学者になったのだが、「ノーベル賞なんて所詮誰かが作ったもんや。生命の神秘を追い求めたほうがずっと価値がある!」と友達に言われ、生命の起源の謎を解き明かそうと思い立ったそうだ。

本には書かれていないが、高井研氏は「深海熱水で地球生命は誕生した」というPVを作り、小学生に見せている。そうすることによって未来の科学者たちはこれが当たり前だと思って成長する。将来的に「生命は深海の熱水で生まれた」という最初の提唱者として君臨できるから、という笑い話まで持っている。

本書は専門外の人からしたら理解しにくいかもしれないが、高井研氏の独特なしゃべり口調は本でも健在で、それも高井研氏の一つの魅力だ。こんなくだけた研究者もいるもんだなと驚いたくらいだ。

「生命の起源は、深海熱水から生まれた」という高井研氏の仮説に魅了され、気付いたらあなたも深海に興味を持ってしまっているかもしれない。 

今日のポイント

  1. 深海熱水活動域には、多種多様な地質学的、化学的そして生物学的特徴が存在している。
  2. 生命の起源の謎はまだ解き明かされていない。
  3. 生命の起源を探るためには、まず生命の定義をしなければならない。
  4. 生命とは、ダーウィン進化を受けることが可能な、自己保存的な化学系。
  5. 生命の起源は、深海熱水から生まれた、かもしれない。

 

生命はなぜ生まれたのか―地球生物の起源の謎に迫る

  • 著者:高井 研
  • 出版社:幻冬舎
  • 発売日:2011/1

モデルプロフィール

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  • 名前:桶屋美圭
  • 生年月日:1997/1/18
  • 出身地:富山県
  • 職業:早稲田大学
  • 趣味・一言:ダンス、ピアノ
  • 最近の悩み:本が読めるようになりたい
  • Twitter:@okechin0118

(カメラマン:伊藤広将)

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WRITERこの記事を書いた人

森井 悠太

「本to美女」副編集長。 1990年生まれ。慶應卒。一浪、一留、一休学と余すことなく学生生活を送る。2016年1月から株式会社SENSATIONにジョイン。 芸能事務所のスカウトマンを経験。渋谷でNo.1スカウトマンになれた経験を書き、第10回出版甲子園で準グランプリを受賞。モラトリアム症候群で、某大手IT企業の内定を入社ギリギリで辞退。結果、ニートとなる。その後、銀座で会員制のバーテンダーを経て、「本to美女」に参画。 キャッチコピーはアクティブなヒキコモリ。生粋のHONZ被害者でもある。