面白くて眠れなくなる進化論
- 著者:長谷川 英祐
- 出版社:PHP研究所
- 発売日:2015/6/24
この世は神によって創られた。
そう考えられていたのは、つい250年ほど前のこと。
なんと信じられないことに、生物は時間とともに変化していかないと考えられていた。
それまで人間はなぜ地球に多様な生物がいるのか説明できなかったのである。
それがちゃんと説明できるようになったのは意外と最近のこと。
昔の人にとって、なぜ私たちが存在しているのか、なぜ時々太陽が暗くなるのか、なぜ悪い病が流行るのか、こういったことは全て理由がわからなかったのだ。
うまく説明できないものを説明したいときに、最も簡単な方法は、召喚。全て、神様がお創りになられたと言えば良かった。
そんな進化という考え方など存在しなかった時代に、異議を唱えたのが、そう皆さんご存知、ダーウィンだ。
それぞれのフィンチの嘴の違い

ダーウィンは世界で初めて論理としても事実としても矛盾のない、生物の多様化と適応をもたらす機構を発見した。
ダーウィンの仮説は、この250年にわたって生き延びているので、科学の歴史においてアインシュタインの「相対性理論」と同じくらい偉大な発見であった。
どのようにしてこの世紀の大発見をしたのか。
ダーウィンは32歳のとき運命を変える探検の旅に出た。
ダーウィンの進化論に大きな影響を与えたとされているのが、その旅先のガラパゴス諸島で出会ったフィンチという小鳥だった。
ガラパゴス諸島は、いくつかの島が集まった諸島だ。中米のエクアドル沿岸から900キロメートルほどの海上にあり、本土から遠く離れている。そのため、ガラパゴス諸島にいる生物は、何度も本土から渡ってきてそれぞれの島に住み着いたのではなく、諸島に一回だけ入ってきて、その後各島に分布を拡大していったと考えるのが自然。
ガラパゴスの様々な島を訪れたダーウィンが見たものは、それぞれの島の環境に合った形をしている生物だったのである。
特にフィンチはどの島でもいたのだが、嘴の形が違っていたことにダーウィンは気付く。
細長く尖った嘴のものがいる島から、太く短く、ペンチのような形をした嘴のものがいる島まであった。
細く尖った嘴を持つフィンチは、主に虫を食べていた。彼らは細く尖った嘴を上手に使い、木の穴の中に住む虫たちをつつきだしていた。太く短い嘴を持つフィンチは、木の実を食べていた。ペンチのような厚みのある嘴は、うまく固い木の実を割ることができるのだ。
また、それぞれの嘴を持つフィンチがいる島では、それぞれのフィンチが食べている食料の数が多いのだった。
以上のことからダーウィンは、フィンチが自分の住む環境に適した嘴を持っていることを示していることに気付いたのである。
こういった生物の観察から次第に生物は徐々に変化するのだという確信を持っていく。
生物には交配することのできる同種の個体がたくさんいる。たくさん生まれる子どものうち、大人になるまで生き残ることのできる個体はごく一部。生まれた子どもの中で、他の個体よりも現在の環境に適した個体がいれば、その個体は生き残りやすいだろう。つまり、平均的に見て、より環境に適応した個体のみが生き残るというわけだ。
多くの子どもの中でごく一部の個体しか生き残らないため、生物の間には生き残りをかけた生存競争がある。その生存競争が繰り返されれば、品種改良と全く同じ原理で「その環境に適した性質を持った個体」が増えていく。生物の平均的な性質は徐々に変化して、より環境に適応した形になる。
これがダーウィンの考えた仮説だ。
最後に

ダーウィンの進化論の発見への過程を紹介したが、本書には
・なぜ労働しないアミメアリは滅びないのか
・湖のプランクトンの多様性が維持される理由
・コオロギの時間管理
など興味深い事例が豊富に紹介されている。
著者は言う。
進化は、複数の原理がからんだ複雑な現象で、偶然の要因に左右された一回こっきりの歴史現象でもあると。だからこそ新たな視点を取り入れないといけなく、そういう意味で進化学はまだまだ新たな展開がある。私たちが生物の素晴らしい多様性とその由来に関する興味を失わない限り、「進化論」の進化は続くのだ。
こんなお悩みを解決!
- 実は進化論って名前しか知らなくて……
→そんな人こそ本書を手に取って、ヒトがどんな風に進化してきたのかを知ろう。夜に読むと眠れなくなるぞ!
面白くて眠れなくなる進化論
- 著者:長谷川 英祐
- 出版社:PHP研究所
- 発売日:2015/6/24
モデルプロフィール

- 名前:杉本茉祐佳
- 生年月日:1990/07/07
- 出身地:千葉県
- 職業:化粧品会社
- 趣味:ピアノ、ヴァイオリン、料理
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