もしも、彼女が明日消えたらどうしますか?『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』

ぼくは明日、昨日のきみとデートする

  • 著者:七月 隆文
  • 出版社:宝島社
  • 発売日:2014/8/6

 

恋した「思い出」を大切にしたくなる

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明日もまた君に会えるから、今日はなんとなく二人で過ごそう。遠出するのも気が引けるし、気がつけばもう夕方だし。そんなにこれといった会話も弾まないし、一人の時間も欲しいし、この辺りで帰ろうか。
あんなに特別だったはずの二人の時間がいつの間にか当たり前になってしまって、明日も明後日もやっぱり続いていくと思い込んでしまう。

そして、そんな当たり前だった恋が終わった後に、ペラペラとめくる思い出が意外に少なくて、大切なはずだった思い出すらなくしてしまったような気分になる。
きっと誰もが通ってきたであろう、ありふれた恋のストーリーだ。この物語を読み終えると、自分の中にそっと眠らせている恋の思い出をかき集めたくなる。まるでいつかの「思い出」を具現化したかのような、甘くて切ないファンタジックな恋愛物語です。

「時間軸が違う」というファンタジー

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京都の美大に通う南山高寿と、美容の専門学校に通う福寿愛美の二人が主人公の物語。高寿は毎日通う電車の中で、容姿端麗な愛美に一目惚れしてしまう。そして、高寿が告白することで二人は晴れて恋人になる。恋愛が始まったばかりの時の甘酸っぱい心境が高寿の目線で描かれており、もどかしい気持ちになる。こんな頃、私の恋愛にもあったなぁと思う人も多いのではないだろうか。

物語の中で目を引くのが、愛美の涙もろさだ。高寿がしてくれるあらゆることに目を潤ませる姿が可愛らしく印象的である。一方で、初めての彼にしても感動しすぎでしょと思ってしまう節がある。
ここまで涙もろい理由が実は、二人の時間軸が真逆であることにある。愛美は違う世界からきた人間で私たちの世界には5年に一度しか来ることができない。また最長で41日しか滞在することができないという設定になっている。つまり私たちの未来が愛美の過去なのだ。だとすると、愛美はどこでけんかをするのか、どこで別れるのかすべてを知っていることになる。それを知りながらも高寿と接する愛美の姿には胸をしめつけられる。

また時間軸が違う二人だからこその運命的なシーンが物語の中にたくさん散りばめられている。
例えば、高寿が5才の時に震災から高寿を助け出したのは30才の愛美だった。このときに愛美は高寿に一目惚れしたと書かれている。また同じように愛美が5才になった時に、30才の高寿にお祭りの火災から助け出される。

二度読みをすることで、ストーリーが繋がり味わいや切なさが増す物語だ。
ファンタジーと聞くと現実離れをしているイメージがあるのだが、どこか現実に寄りそう感覚がするのがとても不思議に思うのは私だけではないだろう。

「今」を大切にしたくなる物語

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高寿と愛美の時間軸は真逆である故に、二人の「今」は今にしかない。明日になると違う方向にお互いは進みだし、過去になればなるほどお互いの距離が遠くなる。物語の中に出てくる愛美の手帳やメモは、すれ違っていく時間の切なさと残された時間を浮き彫りにする。

これはファンタジーな物語の中だけではなく、私たちの毎日にも言えることではないだろうか。
明日や未来に期待しすぎると、意外にもあっけなく終わってしまう恋や、過去にこだわりなかなか踏み出せない恋。

それよりも「今」起こっていることや感じていることを大切にしたい。
今、恋人がいる人はきっと、大切なお相手との思い出を思いだしながら、会いに行きたくなってしまう、純愛に満ちた物語です。映画化もされているようなので、大切な人と観るのもいいかもしれません。

ぼくは明日、昨日のきみとデートする

  • 著者:七月 隆文
  • 出版社:宝島社
  • 発売日:2014/8/6

モデルプロフィール

chikamori_profile
  • 名前:近森カナ
  • 生年月日:1988/5/25
  • 出身地:高知県
  • 職業:モデル
  • 受賞歴:日本女子大学準ミスキャンパス、全東京モデルオーディショングランプリ
  • 趣味:スポーツ、カフェめぐり
  • 最近の悩み:夏かぜをひいたこと
  • Twitter:@kana_chikamori
  • Instagram:@kanahey525
  • Facebook:近森カナ
  • BLOG:http://s.ameblo.jp/kanasspecial/

(カメラマン:伊藤広将)

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