幸福な食卓
- 著者:瀬尾 まいこ
- 出版社:講談社
- 発売日:2007/6/15
家族愛って、何だろう。
使い勝手のいい言葉ほど、定義は不明確であることが多い。
ビジネスの場なら「かなり良い条件」も、「何に比べていい条件なの?」とか「今だけでなく今後もいい条件で取引してくれるの?」とか、「かなり」の中身も厳密に定義しておくことが求められる。
同じように、愛とか平和とか、そういった壮大(に思われる)な言葉についても、定義はあえてあいまいにしておくことが多いように思う。
だから、今一度あえて考えてみたい。
「家族愛」って、何なのだろうか、と。
愛ゆえの行動

題材は瀬尾まいこ『幸福な食卓』。
中学三年生の主人公は元神童の兄と、父親を辞めることを宣言した父親と三人で暮らしている。
母親は家を出ていったが、兄妹ともども仲がいい。
家族全員、関係は決して険悪ではなく、のびのびと過ごしている。
これだけ見れば、ごく幸せな家庭に見えるかもしれない。
しかし、今の姿は、ある出来事をきっかけに大きく変わってしまったものだった。
一見すればバラバラに見える家族だが、実際は強い絆で結ばれている。
だからこそ、主人公の家族は、お互いを思い合い、あえて家族の役割を捨てることが、皆の幸せを実現するために必要であると判断した。
役割を捨てることも、お互いの幸せを願う一つの家族愛かもしれない。
入ってほしくない心の領域にも、濃い関係であるからこそ、無遠慮に入られてしまうことがある。
家族だから触れる部分もあるが、触れられて嬉しいとは限らない。
無意識に触れてしまうことが、相手を傷つけていることもあり、その事実が自分を苦しめるときもある。
だから、主人公の家族はそれぞれの役割を放棄することを選んだ。

ただ、一方でどんな状況であろうとも自分を愛し、守ろうとしてくれるのも、また家族だからこそなのかもしれない。
物語の終盤、主人公にある事件が起こる。家族にも冷たい言葉を浴びせてしまう。
友人にはなんとか、気を使うことができるのに、家族に対しては止めることができない。
それでも家族は、主人公を気遣うことを忘れなかった。
この意味を、どうとらえるか。
主人公は、兄の恋人に諭されて、家族へもう一度向き合いなおす。
主人公の答えは、本書を実際に読んでほしい。
そして、ぜひ自身でも家族の愛とは何か、読み進めながら考えてみてほしい。
凄く近いのに、肝心な時は何を考えているかわからない遠さ。そのもどかしさが、家族愛なのかもしれないと私は思った
こんなお悩みを解決

家族への愛情はどのようにあるべきか
⇒あえて不干渉であることも、過剰なくらい構ってくることも、家族愛といえる。自らがつらい時の家族の接し方が、あなたの家族が持っている愛情の在り方かもしれない。
幸福な食卓
- 著者:瀬尾 まいこ
- 出版社:講談社
- 発売日:2007/6/15
モデルプロフィール

- 名前:稲葉柚香
- 生年月日:1994/1/8
- 出身地:静岡県
- 職業:フラワーアレンジメント
- 受賞歴:2016年TBS「恋んトス」シーズン4いなっち、講談社with読者モデル
- 一言:テニスの王子様が大好きです
- Twitter:@zuyu111
- Instagram:yuzu_kaori123
(カメラマン:伊藤広将)
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