【伝える力②】絶対嘘なのに、何かありそうな気がする『鴨川ホルモー』から、相手に伝わる説明法を学ぶ

鴨川ホルモー

  • 著者:万城目 学
  • 出版社:KADOKAWA
  • 発売日: 2009/2/25

 

自分が経験したことを、他の人にも分かる形で説明することは難しい。
前回はプロのエッセイを元に、そのコツを知る、ということをおすすめした。

今回も、人にわかりやすく伝えることをテーマにしたい。
なぜなら、書いて人にわかるように伝える、ということは相当難しいからだ。

僕自身、説明しなかった箇所があったことで、思わぬ誤解を招いたことは、一度や二度ではない。
そこには「さすがにこれは説明不要でしょ?」という思い込みがあった。

そこで、今回は小説からそのコツを学んでみたいと思う。
架空の事実でありながら、まるで目の前で話が繰り広げられているような錯覚を覚える小説を今回は取り上げてみた。

架空のゲームにリアリティをもたせる

今回紹介するのは万城目学の『鴨川ホルモー』。
数年前に映画化もされている人気作なので、ご存じの方も多いかもしれない。

舞台は京都。
「オニ」という式神を扱って、京都の大学同士で戦うゲーム「ホルモー」が、物語の鍵を握る。

ここで取り上げたいのは、ホルモーをいかにして実在のゲームのように見せているか、ということ。

同著者の別作品『プリンセス・トヨトミ』にも通じる部分があるが、虚実を現実に見せることを、著者は得意にしている。

そこに、人に伝える際のヒントがあるはずだ。

フィクションだって、基本に忠実

ホルモーをただのフィクションでなく見せている要素は、物語の冒頭で、ルールや状況の説明を漏れなくしていることにあるだろう。

たとえば漫画などでは、ルールが段階を追って、続々出てくる。
中には裏ルールなんてものもあったりする。
それは物語の鍵になっている一方で、「なんでもありじゃねえか!」というツッコミも生む。

ホルモーのルールは、80ページから140ページの間で説明され、それ以上の追加のルールは「ほぼ」ない。
(ルールは最後まで変更がないが、物語のラストで、一つだけ「オニ」に関する新しい情報が加わる。ここではネタバレになるのでこれ以上は明言を避ける)

その説明は、以下のような図で整理できる。

5W1Hは誰もが知っているフレームワークだが、意外と「なんとなくこの順番かな」と書いている人も多い。
フレームワークは、これまでの長い歴史の中で「これならみんな理解しやすい!」という保証があるから、世の中に出回っている。

虚実入り交じる小説ですら、基本のフレームワークに沿って書く。
フレームワークに沿うから多くの人が理解でき、合理的だからこそ、現実にあったものと説得されてしまう。

ちなみに、5W1Hはグループディスカッションなどでも、議論を整理するために使える。
ぜひ本書を読んで、「こんな突飛な設定でもちゃんと伝わるんだなあ」と威力を感じてほしい。

鴨川ホルモー

  • 著者:万城目 学
  • 出版社:KADOKAWA
  • 発売日: 2009/2/25

こんなお悩みを解決

自分だけの体験を人に伝えるのって、やっぱり難しいです……
→5W1Hで流れを整理してみよう。基本ではありながら、妖怪が出てくる話すら現実味を持たせられるくらい、論理的に考えをかけるフレームワークだ。

モデルプロフィール

  • 名前:須藤菜々子
  • 生年月日:1996/1/30
  • 出身地:京都府
  • 職業:法政大学
  • 趣味:カメラ
  • 最近の悩み:滑舌が悪い

(カメラマン:村井優一郎)

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WRITERこの記事を書いた人

庭野蹴

同級生に同級生と見られない老け顔(両親譲り)眼鏡(父親譲り)の男性。お母さん方の井戸端会議によく顔を出しつつ、平和な青春時代を過ごす。 血のにじむような努力(とカロリー過多な食事)の末、早稲田大学に入学。授業に来なくなる友人を尻目にいそいそ学問に励む。結果、ちゃっかり論文で入賞したことも。また、(若さゆえ)関係各所に噛みつきながらフリーペーパーの制作もしていた。現在は社会人。