「整形シンデレラ」と呼ばれた女性死刑囚は、本当に罪を犯したのか?『イノセント・デイズ』

ニュースを見ると、毎日必ずと言っていいほど流れる殺人事件。特番として、過去の殺人事件と犯人を追うドキュメンタリーも目にすることがあります。しかし、番組で描かれる殺人犯の人物像が、実は歪められた全くの別人だったら――?
レッテルをはがして見える素顔は、殺人など犯すはずもない善良な人物かもしれないとしたら――?

イノセント・デイズ

  • 著者:早見和真
  • 出版社:新潮社
  • 発売日:2017/3/1

田中雪乃、「整形シンデレラ」と呼ばれた死刑囚


田中雪乃、30歳。放火により、元交際相手の妻と1歳の双子を焼死させたとして服役中の女性です。事件直前に整形手術を受けていたことから、「整形シンデレラ」と呼ばれニュースを賑わせていました。容疑だけ聞くと、身勝手な思い込みの激しい女が、感情的になって罪を犯したと思えるでしょう。

“ブラウン管に映し出された薄幸そうな女の写真を見つめていたら、となりに座っていたカップルのささやき声が耳に入った。
「なんか、いかにもだよね」
 男の方がつまらなそうに口にすると、彼女もすぐに同意した。
「なんでこういう女って他人に危害を加えるんだろう。学校にもよくいたよね、こういうヤツ」”

世間も遺族も、一人生き残った元交際相手もそう疑わず、死刑判決がなされました。雪乃は罪を認め、控訴もせずに拘置所に入りました。目撃証言、物的証拠、自白。全て雪乃の犯行を裏付けるものばかり。そんな状況で、幼馴染の2人の少年は、雪乃の潔白を信じ、真実を求めて動いていました。

戸惑いの連続「こんなに無垢な人物が、凶悪な復讐殺人を?」


24歳で刑務所に入所したからか、複雑な家庭環境のせいか、もともとの性格なのか、雪乃は少女のまま時だけが過ぎ大人の年齢になったかのような印象を受けます。

“年としては女性と呼ぶ方がふさわしいけれど、私は彼女を、あえて、女の子と呼びたい。”

とは、解説で辻村深月氏が書かれている言葉です。
凶悪な罪を犯したとされる犯人像と、あまりに結び付かない、儚い印象。この理由をひも解くかのように、判決文を目次とした章立てで真実が語られていきます。

目次
プロローグ 「主文、被告人を――」
第一部 事件前夜
第一章 「覚悟のない十七歳の母のもと――」
第二章 「養父からの激しい暴力にさらされて――」
第三章 「中学時代には強盗致傷事件を――」
第四章 「罪なき過去の交際相手を――」
第五章 「その計画性と深い殺意を考えれば――」
第二部 判決以後
第六章 「反省の様子はほとんど見られず――」
第七章 「証拠の信頼性は極めて高く――」
エピローグ 「死刑に処する――」

母が駆け込んだ産院の医師、血のつながらない姉、中学生時代の親友、元交際相手の友人など、時期ごとに雪乃の身近にいた人物の目線から、雪乃と周りの人物が語られていきます。

残忍な放火事件の容疑者というだけで、女は立派に“悪魔”に見えたが、腑に落ちない記述もいくつかあった。

雪乃に関わった人物は、ニュースで伝えられる雪乃像に違和感を抱き、それぞれの記憶の中の雪乃を思います。そこにいる雪乃は、ただただ純粋に人を信じ、愛してくれる少女でした。

新聞やテレビの報道でもなければ、耳に入ってくるそれっぽい噂話でもない。私は五年半もの間、自分の目で田中雪乃という女を見続けてきた。そしてあの日、熱気の立ち込める横浜の裁判所で抱いた違和感をますます強めていったのだ。

真実が暴かれた時の薄ら寒さ――。雪乃が死刑囚になった理由とは?


章を追うごと、雪乃の命が芽生えてから現在までを追うごとに、「判決文の雪乃」と「ほんとうの雪乃」のかい離に胸が苦しくなってきます。雪乃の真実を知りたい、違和感を生みだす根源を見たいと読み進めるうち、一気読みでエピローグまで進んでいました。
彼女に幸せを感じてほしいと、ラスト数ページで祈るような気持ちになり、ページを繰る手も早くなっていきました。しかし、読み終えて感じたのは、釈然としない解放感でした。雪乃が死刑判決を受けなければいけなくなった、理由を作ったのはいったい何なのか――。この結末を、あなたは受け止められますか?

イノセント・デイズ

  • 著者:早見和真
  • 出版社:新潮社
  • 発売日:2017/3/1

モデルプロフィール

  • 名前:岩崎 果歩
  • 生年月日:1997/08/06
  • 出身地:東京都
  • 職業:慶應義塾大学
  • 受賞歴:Miss KJ Contest 2017 ファイナリスト
  • 趣味/一言:イメージカラーが黄色なので、黄色の物を集めるのにハマっています!!ミスコンの応援よろしくお願いします!
  • 最近の悩み:首コリがひどいことです泣
  • Twitter:@misskj_no1
  • ブログ:http://miss-kj.com/finalists/kaho/

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本to美女選書

WRITERこの記事を書いた人

神谷京香

子どもの頃は200文字の作文にも苦労していたが、小学5年生の時にCLAMPさんの漫画に出会い、唐突に覚醒。いきなり2000文字以上の大作を書きあげるようになる。幼少時は童話で文字を、小学生の時は漫画で漢字と歴史を学び、高校生になる頃には弁当箱サイズのミステリ小説を読みあさるように。現在はジャンルを問わず活字なら何でも読む節操なし。趣味は寺社仏閣/滝めぐり、猫、夜散歩、声楽、一人カラオケ、日本酒とワイン。