この世には、目に見えない魔法の輪がある『思い出のマーニー』

 

思い出のマーニー

  • 著者:ジョーン・G. ロビンソン
  • 出版社:新潮社
  • 発売日:2014/6/27

 

「この世には、目に見えない魔法の輪がある」

このキャッチコピー、耳なじみがないだろうか。スタジオジブリがイギリスの児童文学、原題”when marnie was there”をアニメ映画化し、その広告に用いられたキャッチコピーだ。 

本書のこの「魔法の輪」とは、今の若者言葉を使えば、「リア充」であるか否かの境界線である。「魔法の輪の内側」は「リア充」、「魔法の輪の外側」は「非リア充」と言っておくべきか。

あなたは、その「魔法の輪」からふと外れてしまったと感じる時がないだろうか。

SNSで楽しそうな友達。返ってこないLINE。うまくいかない恋。家族の不和。仕事がうまくいっている同期と何もうまくいかない自分。

「なんだか自分だけが置いてきぼりをくらっている感じがする。誰も気に留めてくれない気がする。寂しいな。」と感じてしまう瞬間。

そんな時に本書を手にして頂きたい。

魔法の輪の外側にいる人間と裕福な美少女


物語の主人公、アンナは周囲に対して「ふつうの顔(無表情)」を演じ無関心でいようとし続け、心を閉ざしている少女。文面の通り、かなりこじらせている。しかしこんなこじらせ少女になってしまったのも理由がある。アンナは、幼い頃に両親と祖母を亡くしており、義理の両親に育てられた。義理の両親のことは愛しているが、ある出来事をきっかけに両親からの愛に疑問を持つようになる。学校の友達ともうまく付き合えず、孤独感を持つようになったアンナは、自身を「魔法の輪の外側にいる人間」と思うようになる。それによってか持病の喘息が悪化したアンナは、医者の勧めもあって、海辺の村、リトル・オーバートンに住む親戚のペグおばさんとペグおじさんの家で過ごすことになる。

そのリトル・オーバートンで出会ったのが金髪で碧眼の少女、マーニーだ。マーニーは、自分の都合の良い時ばかり登場して突然消える不思議な少女である。そんなマーニーに少しイライラしながらもアンナはマーニーとの友愛を育む。マーニーは裕福な美少女で、彼女を理解し支えてくれる男の子もいる。まるでこの世の幸せの集大成みたいな少女だ。「内側の人間(リア充)」という言葉が本当に似合う。しかしマーニーは、何故かアンナの「魔法の輪の外側の人間」でいることを決めた心にすっと入ってくる女の子だった。その理由が本書の結末であり、マーニーの正体である。

「あなたは愛されている」と伝えたい

誰からも愛されず生きてきた人なんていない。孤独でどうしようもない夜、あなたと共に生きてきた人達のことを思い出してみてほしい。今のあなたを愛し支えているのは、「今」だけではない。あなたを愛し支えた「過去」があるから「今」のあなたはそこにいるのだ。「今」のその苦しい現状に囚われてあなたを愛した「過去」を忘れてはならない。

孤独な夜、マーニーはきっとあなたに寄り添ってくれる。そして、きっとあなたの居場所になる。

 

思い出のマーニー

  • 著者:ジョーン・G. ロビンソン
  • 出版社:新潮社
  • 発売日:2014/6/27

モデルプロフィール

  • 名前:島村雛
  • 生年月日:1990/3/12
  • 出身地:滋賀県
  • 職業:広告業界
  • 受賞歴:神戸美少女図鑑モデル
  • 趣味:旅行
  • Instagram:@s_hiina

(カメラマン:伊藤広将)

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WRITERこの記事を書いた人

yukako

大学生。出身は熊本県。熊本県民はくまモンをそれほど愛してないです。名前を漢字にすると、祐花子。お母さんが、お花が好きな優しい子になってほしかったみたい。将来は、カルチャーが持つ感動を世の中に伝えたい。趣味は読書(ただし小説とマンガ)。論理性も身につけるべきって思うけど、自分らしく感性で生きたいとか思っちゃう頑固。大学も、パンフレットのデザインで決めてしまった。エニアグラムタイプ4。