人生に疲れたらスペイン巡礼 飲み、食べ、歩く800キロの旅
- 著者:小野美由紀
- 出版社:光文社
- 発売日:2015/7/16
カミーノ・デ・サンティアゴという言葉を知っているだろうか。
スペイン北西部に向かって伸びる、キリスト教の巡礼の道のことを言う。
カトリック三大聖地のひとつ、サンティアゴ・デ・コンポステーラに向かってフランス南部の開始地点から約800キロにも及ぶ道を歩く、いわばキリスト教版お遍路参りである。
今、このキリスト教お遍路参りがヨーロッパをはじめとしてブームになっている。
ギャップイヤー(就職前の猶予期間)、転職の合間、バカンス等……理由はさまざま。
2011年には18万人もの人が、この道を歩き、聖地サンティアゴを目指した。
なぜ、人はこの道を歩くのだろうか?
これは捨てるための旅だと筆者は言う。
要らない荷物をどんどん捨てて、最後の最後まで残ったものだけが、その人自身になる。
この道を歩くことは、どうしても捨てられない自分自身をみつけるためでもある。
年齢も育ちも違う、世界中から来た巡礼者とともに、一緒に寝泊まりし、
同じ鍋からスープを飲んで、聖地を目指すうちに、日本で培った固定観念もひっくり返っていく。あらゆる価値観と触れ合い、自分のなかの何かが変わるかもしれない。
やるべきことはただ歩くこと。
人生につまづき、いま一度自分を見つめ直したいと思ったら本書を手に取ってみて欲しい。
最高のガイドとなるかもしれない。
カミーノ・デ・サンティアゴとは?

聖地なら、キリスト教徒じゃなきゃダメなの?と思う人もいるかもしれないが、
そんなことはない。実際、この道を歩くと、イスラムや仏教徒の人も多く見かける。
宗教とは関係せず、この道は多くの人に開けているのだ。
以下がカミーノ・デ・サンティアゴの7つの魅力。
- 宿が激安!
巡礼者たちは、巡礼沿いに点在する「アルベルゲ」(巡礼宿)に泊まることが出来る。
この宿がとにかく安い。だいたい5ユーロ(617円)ほどで一泊出来てしまう。
中には、完全に寄付で成り立っている宿もあり、食事などのまかないがついてくる所もある。安い宿だからボロボロなんでしょ?と思う人もいるかもしれないが、
中にはピカピカのデザイナーズマンションのようなアルベルゲもあったりする。そして、古い・新しいに関係なく、どこの宿も巡礼者の管理人によって清潔に保たれている。筆者が20日かけて500キロの道を歩いた時には、宿代はトータル1万円ほどだったという。破格の安さだ。 - ごはんが美味しく、低コスト
スペインの食文化は多種多様。バスク地方から海に近いガリシア地方までご当地グルメが続く。どこのレストランも安いし、自炊すれば一日10ユーロ(1235円)ほどで済んでしまう。そして、なによりワインが水よりも安いのが特徴。北スペインはワインの名産地で、なんと巡礼路の途中に蛇口をひねればワインが出てくる場所もある。 - 世界中の多種多様な文化に触れ合える
巡礼路には世界中の人が集まっている。アメリカの経営者から就活前に人生を考えに来た学生など、多種多様な人々がそれぞれの出身や身分に関係なく助け合って、聖地を目指している。
そして、道中では個人主義のヨーロッパらしく人間関係はとてもドライだとか。
基本単位が「一人」であることが強調されずとも実行されていて、お互いの関係に妙なプレッシャーを感じたりはしない。 - ダイエットに最適
毎日6~8時間は、深い森や山道を歩き続けることになるので、嫌でもやせられる。
自然と筋肉がつき、引き締まった体になっていくはず。 - 世界遺産だらけ
歴史の古い巡礼路の途中には世界遺産が多くある。
古い街並みや大聖堂など歴史的な建造物など、枚挙にいとまがない。
また、大自然を味わうのもこの道を歩く醍醐味。800キロにわたる巡礼路には山あり谷ありで多種多様な地形や自然を見ることが出来る。 - 語学が上達する
世界中から人が集まるこの道では、当然毎日のように英語を話さなければならなくなる。
英語がまったく話せない人でも安心。スペイン人は基本的にとてもおおらか。
英語が話せないスペインのおじさんもガンガン話しかけてくる。
巡礼路ではなんとな~くで会話が通じてしまうのだ。 - 自分と対話する時間ができる
毎日、長時間歩いていると嫌でも自分一人になる時間ができる。
何の目的もなく、ふらっと長時間歩く経験は人生であまりない。
その空白の時間に、日頃の悩みや考えに対する答えが、ふと浮かんできたりする。
空っぽの自分になれる浄化作用がこの巡礼の道にはあるのだ。(本書p.20~31より)
捨てるための旅

自分はいったい何がしたいんだろう?と考えたことは誰しもがあるはず。
多くの人が大学受験の競争に必死になったり、キャリアを積むことが人生の目的になってしまう。はたして、自分が本当にやりたいことは何なのか?
要らない荷物を捨てて、最後の最後まで残った物だけがその人の核となる……
歩いているうちに、自分の価値観を捨て去り、空っぽになる。
ふと、湧いて出て来る考えや思いが、自分自身が本来望んでいたことなのかもしれない。
筆者は、この道を歩き、最後の最後でふと……
「Life is writing」(ものを書いて、生きていく)
というフレーズが浮かんだという。
自分の中の荷物を捨て去り、最後に残った自分を見つける旅……
それが、カミーノ・デ・サンティアゴなのだ。
「人生を変える旅に出たい!」
- 要らないものを捨てて、最後に残った物だけが自分自身になる。日頃の日常に疲れたら、ただひたすら歩く経験を一度はしてみる。
- 旅をしているうちに、様々な価値観に触れ合える。日常の枠だけにはまった人生は面白くない。一度は自分を捨てる旅に出てみるのもいいかも。
- 聖地にたどり着いてからが始まり。自分の中の何かが変わるのではなく、あるがままの自分を受け入れる。
人生に疲れたらスペイン巡礼 飲み、食べ、歩く800キロの旅
- 著者:小野美由紀
- 出版社:光文社
- 発売日:2015/7/16
モデルプロフィール

名前::山口美鈴
生年月日: 1995/6/2
出身地::福岡県
職業::立教大学
趣味::映画鑑賞
最近の悩み: 食欲がとまりません
Twitter::@msz_age
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