神曲 地獄篇
- 著者:ダンテ
- 出版社:河出書房新社
- 発売日:2008/11/20
「記憶に残る海外文学」7冊目の本は、ダンテの『神曲』。イタリアの傑作文学だ。
読者の皆様は紀行文学はお読みになったことはあるだろうか。今回ご紹介する紀行は「地獄」について書かれている。イタリアの詩人ダンテは一人称視点で、まるで自分が地獄を経験したかのようなリアリティで作品は進んでいく。
亡霊たちが彷徨う、本物の地獄を歩いていけ。
救いなど、ここにはない。

地獄。それは、漠然と怖いと感じる永遠と得体の知れない場所。
ダンテは大詩人ウェルギウスの導きにより、地獄、煉獄、天国を回る旅に出て、世界の真理を探しに行く……というのが大雑把なあらすじだ。
地獄に堕ちる者は生前、罪を犯したりどうしようもない人生を送った者ばかり。
本書はルネサンス期に執筆されたものだが、書かれた背景はキリスト教の布教が目的なのか、フィレンツェを追放された悲しみからなのか、人生を追求したいのか諸説あるが、私はあらゆる要素が執筆理由になったのだと思う。
ダンテは地獄の様子を本当に「救いのない世界」として描いている。
「神に仕えるでもなく、そむくでもなく、ただ自分たちのためにだけ存在した」と地獄を彷徨っている馬鹿どもを躊躇なく罵る。まるで、生きている間は奔放に生き、自分だけを満足させる生き方をした報いだと正義を振りかざすように。
亡霊たちに興味を示しながら歩くダンテに「この者たちのことは考えるな」と釘を刺す。堕ちたものは決して救われないのだ。
マニアにはたまらない世界観

例えば、『ファイナルファンタジー』に登場する召喚獣や世界観。
例えば、人気ゲーム『ペルソナ』や『女神転生』に登場する悪魔たち。
それらの世界観の参考に、キリスト教が大きく関わっていて、『神曲』はその悪魔的世界観の形成に一役買った重要な作品だ。
つまり、ファンタジーの世界の先駆けにあたる偉大な作品なのだ。地の底に口を開け、どっしりと構えている悪魔や、人の罪を刈り取る死神など、数々の異形が集まっている。ルネサンス当時に本書を読んだのであれば、恐ろしくて地獄に決していくまいとキリスト教に入信してしまうだろう。
しかし、娯楽の幅が広がった現代では悪魔さえコンテンツに入る。
たまには深淵でダークな世界の本を読みたいのであれば、『神曲』はうってつけであると自信を持っておすすめする。

神曲 地獄篇
- 著者:ダンテ
- 出版社:河出書房新社
- 発売日:2008/11/20
モデルプロフィール

- 名前:水谷花那子
- 生年月日:1993/9/29
- 出身地:大阪府
- 職業:慶應義塾大学
- 受賞歴:週刊ゴルフダイジェストビューティークイーン2016
- 趣味・一言:クラシックバレエ・スペイン語・ゴルフ
- 最近の悩み:学生生活が終わること
- Insta:@kanakomizutani
- 他リンク:https://store.line.me/
stickershop/product/1324362
(カメラマン:伊藤広将)
この記事が気に入ったら
いいね!しよう
最新情報をお届けします