『何もかも憂鬱な夜に』こそ、希望を見つけるカギがある。

何もかも憂鬱な夜に

  • 著者:中村文則
  • 出版社:集英社
  • 発売日:2012/2/17

 

眠い!寝たい!なのに……

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僕は何のために生きているんだろう?
私は一体、何がしたいんだろう?

夜中ほど、考えなくてもいい余計なことばかりに頭の中が支配されてしまいますよね。
片づけなきゃいけないタスクがあるのに、なかなか進まず時間ばかりが過ぎてゆく…。

次の日だって朝早いんだから、さっさと終わらせて眠りにつきたい。
でも、それを妨げているのは自分なんだよなあ。はあー、憂鬱。

この本は、心がモヤモヤして何も手につかなくなった時にこそ、読んでほしい。

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自分の無力感にイライラして今を満足に生きることができていないと、妙に過去に固執してしまいますよね。

あの時は楽しかったとか、こんなバカなことしたとか、挙げればきりがないほどの思い出は疲れた心を癒してくれるかもしれません。
だけど思い出に囚われたままでは、意識を現実に戻した時に感じる絶望からは脱却できません。

自分の未来を描くために、夜に打ち勝ちましょう。
この本は、あなたが一旦現実から離れ、自身の過去を振り返るお手伝いをしてくれます。
私も何かと失敗や後悔を引きずりがちです。
それを断ち切るためにも、自分のことを許してあげるためにも、正々堂々と過去に向き合う。
そんな主人公の勇姿が描かれた一冊です。

今回は併せてドレスコーズのアルバム『1』をBGMとしてご紹介させていただきます。

これはVo.志磨さんが、彼以外のバンドメンバーが脱退してしまった後で作り上げた初の作品です。独りぼっちの自分に「こんにちは」と元気に挨拶しているような1曲から始まります。

夜とうまく付き合うために

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施設出身で刑務官の「僕」が、死刑囚の山井少年と関わる中で自身の過去を振り返る過程も、夜中に余計なことを思い出してしまう感覚と似ている気がします。

寝て、起きて、また新しい自分になって一日を過ごしたい。

では、どうすれば夜に打ち勝つことができるのでしょうか?

友人を自殺で亡くした過去や、犯罪者の演技に騙されて仮出所をほう助してしまった過去には、一貫して、主人公の抱える闇が垣間見られます。

思い出す必要なんてないのに、ずっとその過去から逃げることができない「僕」。
「僕」もまた罪を抱えながら、死刑囚と向き合っています。

自殺した友人は日記を書いていました。
そこには、思春期特有の心情がそのまま書き連ねてありました。

「苛々する。苛々して仕方ない。どうすればいいのかわからない。全然わからないし苛々するしどうしようもない。」

まだ何者でもない思春期の自分。存在の痕跡すら残らないのではないかという不安に駆られて、必死に何かを残そうとする。きっと、少年犯罪はこうして生まれるのでしょう。

もう十分大人になったはずの私たちも、たまーに、とてつもない寂しさに襲われること、ありますよね?それは夜になると猶更。

この寂しさ、どうやって埋めましょうか…?

ただ、覚えていてほしい。それだけのこと。

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少年法によって、18歳以下の少年犯罪者は未来を守られています。しかし、18歳になってしまったとたんに、大人扱い。酒が飲めなくても、結婚していなくても、普通の成人犯罪者と同じように法の下で裁かれます。

しかし、彼を裁くのは法だけではありませんでした。
被害者遺族の存在は、彼の量刑を大きく左右します。感情に訴え、世間に訴え、本当の山井少年を知ろうとしないまま、死刑だけが彼に迫ります。

山井少年は「僕」にすべてを話すまで控訴を渋ります。
彼は責任の取り方をはき違えていたのです。でも仕方がない。まだまだ未熟な少年なのだから。当然了見は狭く、思考は浅はかです。さらには世間からの圧力だってある。

「いろいろな人間の人生の後ろで、この曲はいつも流れてるような、そんな感じがする。」

これは山井少年が「僕」に促され、まだ知らない世界のことを知るために本を読んだり音楽を聴いたりするようになってから、「僕」宛に書いた手紙に綴られていた言葉です。

この曲とは、バッハの『目覚めよと呼ぶ声が聞こえ』のこと。誰でも知っているくらい、たくさんの人の生活の一場面で流れ、時代を超えて私たちにまで届けられています。

何年生きようと、この世の中は知らないことで溢れています。自分はそれらを知らなくても、他の誰かにとってかけがえのないものかもしれない。一歩踏み出せば新たな気づきもあるはずです。

何もかもを包み込んでしまうような夜の大きさに怯み、ちっぽけな自分の生き方がよくわからなくなってしまっても、その不安はあなただけが感じているわけではありません。

新しい世界に出会いたいという好奇心が、明日を生きる気力に繋がります。
明日を笑顔で迎えるには、襲い掛かる暗闇と闘わなければなりません。
独りぼっちで過ごす夜は怖い。でも夜を制する者が、明日やその先の未来を制するのです。

単行本の解説は又吉直樹さんが寄稿しています。こちらも読みごたえバッチリ!

こんなお悩みを解決!

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*生きる気力を失いそう
 →他人と関わることで自分の存在価値を見出すことができます。早まらないで、怖がらず、話しかけてみましょう。
*何にも興味が持てない
 →世の中にはあなたの知らないことがたくさんあります。それをすべて知らない限り、気軽に「面白いことなんて1つもない」とか思わないでください。
*夜が怖い
 →思考がおかしくなる前に、眠ってしまいましょう。生きがいを持って過ごすことで、明日に対して希望を持ちましょう。

何もかも憂鬱な夜に

  • 著者:中村文則
  • 出版社:集英社
  • 発売日:2012/2/17

モデルプロフィール

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  • 名前:河村友歌
  • 生年月日:1995/5/19
  • 出身地:神奈川県
  • 職業:学生
  • 趣味・一言:水族館が好き。サメ。
  • 最近の悩み:すぐ物を失くす。財布とか。
  • Twitter:@xmas_yk

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WRITERこの記事を書いた人

原 翔子

「いつか年齢確認をされてみたい」と願って、もう何年経ってしまったことでしょう…。ラルクとゴマちゃんをこよなく愛する自由人。髪の毛を染めたことがないけれど、hydeさんが黒髪でいる限りは別にいいかな。とか言いつつ、いざまた金髪にされても困る。…そんなどうでもいいことを考えながら気ままに生きています。