生きているのか死んでいるのか、わからなくなってしまったあなたに届けたい『配達されたい私たち』

配達されたい私たち

  • 著者:一色伸幸
  • 出版社:角川書店
  • 発売日:2013/3/23

 

「死にたい」がはびこる世の中

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本日ご紹介する本の主人公は、うつ病の自殺志願者です。

決して私に自殺願望があるわけではありませんよ!私はどちらかというと生きることに固執しています。

「死」は「生」と紙一重。日常と常に隣り合わせなのに、なかなか知ることのできない世界。だから怖いし、時々魅力的にも感じられてしまう。

何の気なしに「死にたい」なんて呟いてしまう方もいらっしゃるでしょう。
でも、そのうちどれだけの人が、本気で、覚悟を持って死を迎えようとしているのでしょうか?

自分らしく死ぬために、自分らしく生きたい。次から次へとタスクが課される多忙な毎日をお過ごしの方も、ここでちょっと立ち止まってみませんか?

時には他人の目を借りて、他人の人生にお邪魔する。
物思いに耽ることができるのも梅雨の時期ならでは。

自殺しようとして入った廃墟で7年前の手紙の束を見つけた澤野は、自分の死を先延ばしにして、すべて配達しようと決意します。彼はうつ病。だから何の感情も湧いてきません。今回皆さんにご紹介するのは、そんな風にして死を望んだ彼が、手紙の配達を通じて生きる意志を取り戻す物語です。

BGMにはぜひ『剥製』(Plastic Tree)を。彼らの世界観は独特すぎて好みが分かれますが、このアルバムは、凍った心を溶かしてくれます。止まったはずの心臓すらまた動き出しそうな勢いです。化石の名前が付いた別のアルバム『アンモナイト』もオススメ。

死にながら生きる彼だからこそできた仕事

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時間差で届けられる手紙ほど厄介なものはありません。その手紙によって目の前に提示される選択肢が変わってしまうのだから。でも、心がすっかり冷めきってしまった澤野にとって、他人の人生などどうでもいいこと。

「……私はタイムトラベラーです」

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郵便配達員ではないのに手紙を届ける。別に使命感に燃えていたわけではないのに、誰に頼まれたわけでもないこの仕事を、澤野はやり遂げます。そう、今度こそ死ぬ。それだけのために、面倒臭いことは承知で他人の生き様に介入します。

過去の栄光に縋る元マラソン選手に充てられた元テレビカメラマンからのファンレター。
過去の罪を告白する教え子が元教師に送った懺悔の手紙。
刑務所にいる死刑囚の名前が記入された婚姻届、などなど。

当時きちんと送り届けられていたら…
ありえもしないことを考えてしまうのは、仕方のないこと。
選ぶことを許されなかった道を想像してしまうのは必然です。

もしあなたが今片思いの最中だったら、きっと婚姻届に心を打たれることでしょう。
死刑囚との文通を通じて恋に落ちた女性がいました。彼女は自分の名前を書き込んだ婚姻届けを送りました。しかし返事がないまま、彼の死刑は執行されました。

本当は2人の名前が記入された婚姻届けが、塀の外の彼女の元へと届けられるはずでした。でも、もう恋い焦がれたあの人はいない。今は自分にも家庭がある。どうしようもなく、やるせない。

「会いたい。死んだら、会えない。」

澤野は徐々に心の温かさを取り戻していきます。

振り返るな!突き進め!

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捨て身になった人間は無敵です。

「どうなっても知らない!」ってヤケクソでタタタッとやり遂げた仕事も、案外うまく収まってくれます。そうして、そのうちに新たな希望を見つけてしまうのです。

「オレは死にたくないのだろうか。うつ病なのに。」

澤野は宣言通り、手紙をすべて届け終えてから再び自殺しようとしますが、死にきれませんでした。

目は覚めていないものの、意識だけがこの世につなぎ留められます。
手紙を届けるために奔走したあの日々から10年が経っていました。
結局自殺に踏み切ったものの、またもや彼は死にきれないまま、ただ長い年月だけが過ぎてしまっていたのです。

彼が日常を離れて、思い立って始めたことが、自分自身を変えるきっかけになりました。

「ぜったい伝える。伝えないまま死んではいけない……。」

支えてくれる人がいる。期待してくれる人がいる。
忘れていた感情を取り戻した時、日常は輝きを取り戻します。
今は苦しくても、次に目が覚めた時は新しい自分になれているといいですね。

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この本は著者である一色伸之さんが脚本を手掛け、塚本高史さんが主演でWOWOWの連続ドラマにもなりました。
機会があったらぜひそちらもご覧になってみてください。

こんなお悩みを解決!

*死にたい
→覚悟を決めた後にでも何かを成し遂げれば、そんな気は鎮まるのではないでしょうか。
*伝えたいのに伝える勇気がない
→捨て身になってしまえば怖いものなどありません。どうせ後悔するのなら、やらかしてからにしましょう。
*悲しい
→湧き起る感情は、あなたが精いっぱい生きている証です。たまには悲劇のヒロインを演じるのも良いかもしれません。

配達されたい私たち

  • 著者:一色伸幸
  • 出版社:角川書店
  • 発売日:2013/3/23

モデルプロフィール

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  • 名前:小柴麻利亜
  • 生年月日:1995/6/3
  • 出身地:千葉県
  • 職業:共立女子大学
  • 趣味:カメラ、旅行
  • 最近の悩み:時間が足りません!
  • Instagram:@shampooochan

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WRITERこの記事を書いた人

原 翔子

「いつか年齢確認をされてみたい」と願って、もう何年経ってしまったことでしょう…。ラルクとゴマちゃんをこよなく愛する自由人。髪の毛を染めたことがないけれど、hydeさんが黒髪でいる限りは別にいいかな。とか言いつつ、いざまた金髪にされても困る。…そんなどうでもいいことを考えながら気ままに生きています。