力を持ってしまったがゆえの葛藤『クロスファイア』

クロスファイア

  • 著者:宮部みゆき
  • 出版社:光文社
  • 発売日:2011/7/12

 

1週間に一つの悩みを設定し、解決に役立つ7冊を紹介してきた本to美女でありますが、今週は「解決」なんて気張らずに気楽にやっていこうと考えています。

今週のテーマは、「秋の夜長に感じてしまうそこはかとない寂しさを埋める本」として、私が面白かったなあと思った本を取り上げていきます。dsc_8607_1

そういうわけで、これから書いていく文章の言いたいことはたった一つ。

「面白いから読んでみて」

大いなる力には大いなる責任が伴う

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これは映画「スパイダーマン」の中で主人公が亡くなったおじにかけられた言葉です。まだ幼かった私は、強い人は弱い人を守ってあげなきゃいけないんだ、くらいにしか考えていませんでしたが、この考え方は社会が存続していくために非常に重要な考えであると最近になって気付きました。「ノブレスオブリージュ」という言葉があるように、力を持った者は社会に対して責任を負うという考えは古くから共同体において存在してきました。

現代の資本主義社会のもとでは、成功した人、社会的な影響力を持った人、つまりは強者は自分の努力の正当な対価を獲得しているにすぎないという考え方が主流だと思います。しかし、集団の持続可能性を考える上ではこの考えはある一定のラインを超えると機能しなくなるでしょう。確かに成功した人は努力をしているには違いないのですが、運や偶然が追い風になったこともあるはずです。

もしあれがなければ自分は失敗していた、という「もしも」の延長線上にいるのが弱者と呼ばれる人たちだとしたら、自分がそうなっていた可能性に目を閉じてしまうのはあまりにも視野が狭いと言えるでしょう。成功した人が正当に報われるような社会でありながらも、「もしも」に飲み込まれた人が次の挑戦をできる社会であるために必要なのが「大いなる力には大いなる責任が伴う」という考え方だと現在の私は考えています。

念力放火能力-パイロキネシス

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本作の主人公、青木淳子は念力放火能力、通称パイロキネシスを持っています。燃えろ、と念じるだけで対象が発火するという世にも奇妙で恐ろしい能力です。男子中学生であれば喜びそうな能力ですが、彼女はこの力に悩まされ続けてきました。能力の暴走を防ぐために、ある一定の期間ごとに能力を解放しないといけないのです。

能力の解放場所としてとある廃工場の水場に足を運んでいた彼女は、ある日4人の若者が瀕死の男を運び込んできたのを目にします。彼女の存在に気づいた男たちは彼女を亡き者にしようと迫るも、彼女の能力によって3人が葬られます。

逃げ出した1人を確実に仕留めること、物語の第一歩は彼女の力ゆえの使命感から踏み出されます。
力に呑まれないように必死で抗い続けてきた過去が、使命感から動く現在が、”組織”が描く未来が、彼女という人間をどう形作っていくのか。

無力感に咽び泣くのも人間ならば、力ゆえに慟哭するのも人間です。
あなたは彼女にどのような自分を重ね合わせますか。

クロスファイア

  • 著者:宮部みゆき
  • 出版社:光文社
  • 発売日:2011/7/12

 

モデルプロフィール

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  • 名前:山形理菜
  • 生年月日:1992/12/27
  • 出身地:兵庫県
  • 職業:音楽系
  • 趣味・一言:料理、ドライブ どこでも歌ってしまうりなです。よろしくお願いします。
  • Twitter:@rinapuuu1227 
  • Insta:@rinapuuu1227

(カメラマン・Rimi Sakamoto/個人サイト・http://www.rimisakamoto.net/

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