愚鈍な知性の極みがもたらす非生産的エンターテインメント『四畳半神話体系』

四畳半神話大系

  • 著者:森見 登美彦
  • 出版社:角川書店
  • 発売日:2008/3/25

 

1週間に一つの悩みを設定し、解決に役立つ7冊を紹介してきた本to美女でありますが、今週は「解決」なんて気張らずに気楽にやっていこうと考えています。

今週のテーマは、「秋の夜長に感じてしまうそこはかとない寂しさを埋める本」として、私が面白かったなあと思った本を取り上げていきます。今回取り上げる本たちは、パッと思いついた7冊であり、よくよく思い返してみるとたくさんの本たちを楽しみながら読んだ記憶が蘇ってきました。今回取り上げることはできませんでしたが、まだまだある素晴らしい本たちは、また別の機会に紹介したいと思います。

miyamoto3

普段は自然科学系の本を紹介することが多い私ですが、今回は小説を紹介していきます。先に白状してしまいますが、小説の後ろについている解説文などは、ついさっきまで浸っていた物語の世界から白けた現実に引き戻されるような気がしてしまうので、全く読まないのが私のポリシーです。面白いから読んでみて、以上の言葉はいらないとも考えています。

自分だったら読まない文章を人様に読んでもらおうなんておこがましいとも思いましたが、もしも私がこのメディアで紹介することで、誰か一人でもその本を手に取ってくれることがあるならば、書いてみる価値はゼロではないかもしれないと思い直しました。

そういうわけで、これから書いていく文章の言いたいことはたった一つ。

「面白いから読んでみて」

偶然の出会い

miyamoto2

書店で平積みされていたこの本を何気なく手に取り、パラパラと数ページ読んで時に思わずにやけてしまった。なんだこれ面白い、が正直な感想でした。

四畳半神話体系の後で、森見登美彦さんの作品を読み漁ることになったわけですが、はまる人はどうしようもないくらいにはまるタイプの作者さんであると私は思います。

作品に出てきた単語をバラバラにして並べてみたらこれは純文学かと思えてくるけれど、軽妙な語り口が紡ぐ全体のリズムは、草原を吹き抜ける風のごとくさらさらとしたものに感じられるのが本当に不思議です。

miyamoto1

今何ページを読んでるなあ、次のページをめくる頃合いだなあ、なんて頭のどこかで考えながら読む本もありますが、四畳半神話体系はまさに作品世界に没頭して読むタイプの本でした。

作品冒頭部分を以下に引用しますので、おっ、と思った人は是非続きを読んでみてほしいです。

まだ若いのだからと言う人もあろう。人間はいくらでも変わることができると。

そんな馬鹿なことがあるものか。

三つ子の魂百までというのに、当年取って二十と一つ、やがてこの世に生を受けて四半世紀になんなんとする立派な青年が、今更己の人格を変貌させようとむくつけき努力を重ねたところでなんとなろう。すでにこちこちになって虚空に屹立している人格を無理に捻じ曲げようとすれば、ぽっきり折れるのが関の山だ。

今ここにある己を引きずって、生涯を全うせねばならぬ。その事実に目をつぶってはならぬ。

私は断固として目をつぶらぬ所存である。

でも、いささか、見るに堪えない。

自らの知性を存分に披露し、賢明さの権化たるべく口調を整えてはみたものの、その正体は阿呆であるのだからどうしようもない。そんな憎めないところが主人公の魅力の一つになっています。

京都の街を舞台に繰り広げられる愛すべき阿呆大学生活を追体験するうちに、きっと寂しさを感じることはなくなっていると私は思います。

秋の夜長をにやにやしながら過ごしてもらえれば幸いです。

四畳半神話大系

  • 著者:森見 登美彦
  • 出版社:角川書店
  • 発売日:2008/3/25

モデルプロフィール

miyamoto_profile
  • 名前:宮本さゆみ
  • 生年月日:1988/11/20
  • 出身地:神奈川県
  • 職業:会社員
  • 受賞歴:withgirls TOP7
  • 趣味:カメラ
  • 最近の悩み:くしゃみが止まらない
  • Instagram:@minsayu

(カメラマン:伊藤広将)

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

最新情報をお届けします