曽根崎が微笑んだ。
「はじめまして、私が殺人犯です」
2017年6月10日公開の映画「22年目の告白‐私が殺人犯です‐」はご覧になりましたか?
この映画で美貌の殺人犯・曾根崎雅人が出版する告白本が「私が殺人犯です」。この告白本と全く同じ装丁で発売されたのが、このミステリー小説です。
22年目の告白‐私が殺人犯です‐
- 著者:浜口 倫太郎
- 出版社:講談社
- 発売日:2017/4/14
挑発的な行動を繰り返す美貌の殺人犯
小さな出版社に勤務する編集者・川北未南子のもとに持ち込まれた原稿。それは未解決のまま時効を迎えた連続絞殺事件の犯人の手記でした。
曾根崎の洗練された物腰と魅惑的な微笑みに魅了された未南子。「出版すべきではない」と思いながらも、曾根崎に魅入られるまま出版記者会見を開き――
「はじめまして、私が殺人犯です」
失明するかと思うほどのフラッシュの中、美貌の悪魔は悠然と微笑みをたたえました。
その姿に日本中が釘付けに。時の人となり「ソネ様」ブームが巻き起こる裏で、被害者遺族の怒りと、時効を盾にされ逮捕できない刑事の無念と屈辱が交錯していきます。あおるように挑発的な行動と言動を繰り返す、曾根崎の真の狙いとは?
逮捕できない殺人犯に激昂する被害者遺族と刑事たち
皆さんは時効の廃止について、ご存知ですか? 2010年4月27日に成立し、即日公布・施行されました。これにより、施行時点で時効を迎えていない事件、つまり1995年4月28日以前に起きた事件(最高刑が死刑となる罪)の時効が廃止されました。
被害者遺族と刑事の一番の激昂ポイントは、曾根崎の連続絞殺事件の最後の犯行日が、1995年4月27日であること。ギリギリのところで、時効が成立してしまっています。そのため、告白本を出版してフラッシュを浴びている殺人犯を、もう逮捕できないのです。
ならば自ら真相を明らかにしよう。それが時効を迎え、罪を償う機会を永久に失ってしまった私にできる最後の仕事だ。亡くなられた被害者、残された遺族、徒労感に苛まれた警察の捜査員たち、すべての方へ。
この告白本が私の示すせめてもの罪滅ぼしである
こう口にし、彼は謝罪と称して被害者遺族や刑事の感情を逆なでします。
凝った演出の出版記者会見、曾根崎の洗練された物腰と美貌。この瞬間、世間は曾根崎を祭り上げ、反して被害者遺族や刑事は心に闇を抱えていきます。
なぜ22年も経ってから告白本を出したのか?
読み進めていくうちに、2つの疑問が浮かびました。
1つめは「なぜ22年も経ってから、告白本を出したのか?」。
時効は7年前に成立しています。事件の真相をあらわにし、罪を償うためであれば、時効成立直後でも構わなかったはずです。告白本の発行は、なぜその時ではなかったのか?
2つ目は、「なぜ逮捕できない犯人の動向を、刑事が気にかけるのか?」。
逮捕できなかった犯人が脚光を浴びる姿に、怒りを覚えるのは理解できます。しかし、曾根崎の現れるところに必ず1人の刑事がおり、すでに“一般人”となった殺人犯を守ることもしています。そのような行動を取らなければならない理由は、何なのか?
さらに終盤では、謎が増殖し、謎が絡み合って真実が見えなくなってきます。この謎が解かれた時、あなたの心は切なさに溢れているでしょう。
あなたも美貌の殺人犯に騙されてみませんか?
22年目の告白‐私が殺人犯です‐
- 著者:浜口 倫太郎
- 出版社:講談社
- 発売日:2017/4/14
モデルプロフィール

- 名前:五十嵐 友泉
- 生年月日:1997/7/12
- 出身地:東京都 渋谷区
- 職業:学生 帝京短期大学
- 受賞歴:すっぴんGirl’sアンバサダー 2期生 グランプリ
- 趣味:ミュージカル観賞
- Instagram:@alohawaii712
- Twitter:@fuwafle15berry
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