逃げない経済予測『中原圭介の経済はこう動く 2017年版』

中原圭介の経済はこう動く〔2017年版〕

  • 著者:中原 圭介
  • 出版社:東洋経済新報社
  • 発売日:2016/10/21

こんな人におすすめ!

・これからの経済を知りたい
・理論だけでなく実用的な知識が欲しい

経済学者は万能じゃない。
未来の市場予測を立て、政治家に提言するのも仕事の一つだが、その予想が当たるとは限らない。しかし、その中でも「経済学者は予想をするのが仕事だ」とし、予想から逃げない経済学者が著者 中原圭介氏だ。
毎年、多くの政治家たちに経済のアドバイスを求められ、「もっとも予測が当たる経済アナリスト」として評判の中原氏の2017年予測を見てみよう。

話題の米国は、これからどうなる?

namiki_1

まず、本書の2016年版で著者はこう予測していた。
〔1〕ヒラリー・クリントンが新しい大統領になる。
〔2〕FRB(連邦準備制度理事会)の利上げにより、米国経済は拡大から減速に転じる。
〔3〕自動車市場と住宅市場はピークから落ち始める。
〔4〕米国株は2015年の安値を下回ってくる。
〔5〕FRBの利上げベースは緩慢になるから、米国経済は後退には陥らない。
〔6〕米国経済の減速により、世界経済までもが減速する。

ヒラリーではなく、トランプが大統領になった以外は概ね当たっていたと言えよう。
確かに、これは予想の信憑性を認めてもよさそうだ。上記はデータに基づき本書でも解説されるが、いやはや素晴らしい的中ぶりだ。

今のアメリカは問題だらけである。格差、移民、経済成長の伸び悩み……
著者はこれからの米国経済に衝撃的な予想を立てている。なんと、2018年ごろには米国経済は景気後退する可能性があると指摘しているのだ。

個人消費の2本柱の一つである自動車市場に”天井を打った兆候”が現れていると分析している。
残る住宅市場に頼るしかないものの、最も危惧しなければならないリスクは「マイナス金利の限界が露呈するリスク」としている。
分かりやすく、騙し騙しごまかしているマイナス金利政策もそろそろ限界だということだ。
2020年までに米国経済は確実に景気後退を経験し、2018年までにその状況に突入する可能性が高いと、データと鋭い経済観がそれを裏付ける。
トレンドの予測といった意味でも十分役立つが、いち経済学者の頭の中を覗ける本といっても過言ではない。

日本経済のこれからも知りたい

namiki_2

本書の構成は大きく4つで、米国経済編、欧州経済編、中国経済編、日本経済編の順でページが進んでいく。その中でも、最も興味深い日本経済についてもみてみる。

結論から言えば、アベノミクスと日銀のマイナス金利政策を痛烈に批判している。
これでは経済は一向によくならないのではと、大胆にも予想を立てているのだ。

数字は嘘をつかない。アベノミクス以降の実質GDP成長率は
2013年 1.4%
2014年 0.0%
2015年 0.5%と3年間平均でわずか0.6%しか成長していない。
あれほど、GDPを最重要指標としていた政策とは思えない結果になってしまった。

アベノミクスの総括をしつつ、著者はこれからは「構造改革」(成長戦略)が必要だ、と説く。
実態のない数字ばかり追求しては、経済はよくならない。有効求人倍率の上昇を目標に掲げても、人手不足の21世紀において、数字のまま捉えることは本質的ではないからだ。

次に、日銀の金融政策の破綻も指摘している。
マイナス金利の批判が主だ。そもそも日銀は、マイナス金利によって銀行が企業によりお金を流し、マネーの流動性が高くなると考えているのが間違いだという。

そもそも、日銀の考えは根本的に誤っていて、企業は需要が見込めない限り、融資を受けても設備投資をしようと思わないものです。むしろ融資を必要としているのは、資金調達に四苦八苦している収益性の低い企業がほとんどを占めているのです。ですから、日銀が採用したマイナス金利政策は、経済効率を高めるという金利本来の機能を麻痺させていることが否定できないわけです

これほどまでに現経済政策を堂々と批判できる経済学者も稀ではないか。
最後に、2017年の円相場や株式相場は非常に読みづらくなっており、トレンドを断言することが困難であると著者は語る。比較的、金融市場が読みやすかった2015年に比べ、2017年は慎重を期す年になりそうだ。

中原圭介の経済はこう動く〔2017年版〕

  • 著者:中原 圭介
  • 出版社:東洋経済新報社
  • 発売日:2016/10/21

モデルプロフィール

namiki_profilm
  • 名前:キチョハナカンシャ なみき
  • 生年月日:1995/4/6
  • 出身地:兵庫県
  • 職業:キチョハナカンシャ
  • 趣味:歌をうたうこと
  • 最近の悩み:肩こりがひどい
  • Twitter:@kichohana_nami

(カメラマン:村井優一郎)

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

最新情報をお届けします

本to美女選書

WRITERこの記事を書いた人

小幡 道啓

累計2億円以上の借金王の元に生まれ、怒号と罵声が飛び交う家庭で育ったアウトローだが、底ぬけにポジティブ。飲み会でも「父親が行方不明です」と不謹慎なネタを言ってはスベっている。Amazon Kindle販売員時代には年間NO.1売上を達成。現在は、「逆境でのユーモア」をモットーに本to美女編集部編集長。