読書家ほど陥りやすい罠とは?『読書について』

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読書について

  • 著者:アルトゥール ショーペンハウアー
  • 出版社:光文社
  • 発売日:2013/5/14

 

ここまで紹介してきた本は「いかに本を読むことが重要か」という内容のものが多かった。
そんなことを今さら説明されなくとも普段から本を読んでいる、という読書家の人もいることだろう。

今回紹介するのは、むしろそんな人に読んで欲しい本だ。

ドイツの哲学者であるショーペンハウアーが記した『余録と補遺』の中から訳出されたものである『読書について』という文章を読んでみよう。

古典ではあるが、現代の読書にも十分通じるような鋭い警鐘が書かれている。
もしかしたら読書家のあなたこそ、はっとするような一節があるかもしれない。

読書とは代わりに他人に考えてもらうこと

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まずは、有名な一節を引用しよう。

読書するとは、自分でものを考えずに、代わりに他人に考えてもらうことだ。

読書をしている間というのは、頭の中では他人の思想がめぐっている状態であって、自分の頭で考えることから離れている。
その他人の思想が引き上げてしまった後、いったい何が残るだろうかと著者は問いかけている。

だからほとんど1日じゅう、おそろしくたくさん本を読んでいると、何も考えずに暇つぶしができて骨休めにはなるが、自分の頭で考える能力がしだいに失われていく。

読書をしていてほっとするのは、自分の頭で考える営みから離れているからだと著者はいう。
読書好きの人にこそ、そんな経験に心当たりがあるかもしれない。

しかし、たくさん本を読んでいると考える能力が失われていくというのは、一体どういうことだろうか?

自分の血や肉になるのは、じっくり考えたことだけ

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著者は、決して本を読むこと自体を否定しているわけではない。

本を読んでも、自分の血となり肉となることができるのは、反芻し、じっくり考えたことだけだ。

つまり、著者が言いたいのは、次々とたくさんの本を読むばかりではなく、その本について自分の頭を使ってしっかりと考えるべきだということだ。

食事も消化してはじめて栄養になるように、読んだ本についても自分なりに消化しなければ、せっかく読んだものが根を下ろすことなく失われてしまう。

1851年に刊行された古い本だが、時代を超えて核心をつくメッセージではないだろうか。

限りある時間を、良書を読むことに使う

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著者の主張は、もうひとつある。

良書はどんなに頻繁に読んでも、読みすぎることはない。悪書は知性を毒し、精神をそこなう。
良書を読むための条件は、悪書を読まないことだ。なにしろ人生は短く、時間とエネルギーには限りがあるのだから。

本書では、寿命の短い大衆向けの作品ではなく、あらゆる時代や国の偉大な人物の作品、つまり“良書”を読むべきだとする。
私たちを真に啓発するのはそうした作品だけだ、とまで述べられている。

たしかに、時間とエネルギーには限りがある。
そのなかで、私たちがどんな本を選び取って読書をするべきかについて、改めて見つめ直してみるのもよいだろう。

本書は、短い文章の中に読書についてのエッセンスが凝縮されている。
たくさん本を読むという読書家のあなたにこそ、ぜひおすすめしたい一冊だ。

読書について

  • 著者:アルトゥール ショーペンハウアー
  • 出版社:光文社
  • 発売日:2013/5/14

モデルプロフィール

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  • 名前:関井 早弥
  • 生年月日:1993/07/04
  • 出身地:神奈川県
  • 職業:学生
  • 趣味・一言:おいしいもの食べることが好き
  • 最近の悩み:やりたいことが多すぎて時間とお金が足りないこと!

(カメラマン:伊藤広将)

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WRITERこの記事を書いた人

綾本 ゆかり

フリーライター。早稲田大学在学中はファッション誌のライターをしつつ、学生団体でフリーペーパーを制作。社会人になってからはWebゲームを作っていましたが、うっかり辞めてライターに。音楽とフェスが好き。読書は1日1冊(目標)。好きな作家は金原ひとみ。