事実は証明より奇なり『完全なる証明』

完全なる証明―100万ドルを拒否した天才数学者

  • 著者:マーシャ ガッセン
  • 出版社:文春文庫
  • 発売日:2012/4/10

 

本書を一言で

ポアンカレ予想を解いたペレルマン、その人に焦点を当てたノンフィクション作品。

こんな人におすすめ!

・数学コンプレックスを持っている人
・100万ドルの懸賞がかかった未解決問題が気になる
・数学者のノンフィクション作品が読みたい

2002年、インターネット上にある数学の論文が投稿された。
内容は、100万ドルの懸賞がかかっていた未解決問題「ポアンカレ予想」を証明するもので、最初は何かの間違いだろうと見向きもされなかったが、よく検証してみると間違ってはいない……これは、本当にポアンカレ予想を解いたものだ!!

証明してみせたのは、孤高の天才数学者グレゴリー・ペレルマン。
世紀の偉業を遂げた彼だが、100万ドルの懸賞を拒否し、忽然と森へ消えてしまう。
嘘のような話だが、この常軌を逸したペレルマンを一人の数学ジャーナリストが取材したものが本書だ。

本書で鍵となるのは、下記3つの疑問だ。

①なぜ、ポアンカレ予想を解けたのか。
②なぜ、数学とこれまで住んでいた世界を捨てて森へ消えたのか。
③なぜ、100万ドルもの大金の受取りを拒否するのか。

なぜ、ポアンカレ予想を解けたのか。

rina_shirafuji_profilm

数学にはいくつもの未解決問題がある。
その中でも、クレイ数学研究所という非営利団体が発表している「ミレニアム懸賞問題」というものが7問あり、それぞれ証明してみせた者には100万ドルが支払われる。
数学的エベレストが7つ集まっていると想像してもられば分かりやすい。

(その中に、先日紹介したものでリーマン予想も含まれている。)

ポアンカレ予想もミレニアム懸賞問題の一つで、1904年にアンリ・ポアンカレが予想した数学史上に残る難解問題だ。その予想はこちら。

滑らかで単連結な三次元多様体は、球面に微分同相だろうか?

ふむ。全く分からない。ド文系の筆者には般若心経の一部にしか聞こえない。
このポアンカレ予想が解けると、宇宙の形が分かると言われているほど重要な問題だ。だからこそ、100万ドルもかけて人類が解くべき問題とされている。

この物語の主人公グレゴリー・ペレルマンはなぜポアンカレ予想を解くことができたのか。
それは、ペレルマンはこれまでとは全く違った微分幾何学と物理学の視点で解いたからだ。

さらに事件は起こる。ペレルマンの証明がトップの数学者であっても理解できないというレベルであったことだ。論文をインターネットに掲載し、波紋を呼んだペレルマンは2003年4月上旬にMITに招かれ講演をする。ペレルマンが証明をし終わった後、誰一人有意義な質問ができなかったとされ、唖然という妖精が会場を優雅に舞い踊っていた。

なぜ、数学を捨て、森へ消えたのか。

「ポアンカレ予想」が解かれた衝撃は計り知れないもので、例えばこの問題に何十年以上もかけて向き合っていたリチャード・ハミルトンなどは意気消沈の極みであったであろう。

このペレルマンの功績は当然評価されるべきで、数学の歴史に名を刻むべきである。
数学のノーベル賞とも言われるフィールズ賞はペレルマンに授与を決定した。これはとても難しい賞で、40歳以下しか受賞できない規定がその難関度を一層引き上げている。

しかし、ペレルマンはこれを拒否。

ペレルマン自身、数学に関係ないことはあまり語らない性格で、拒否理由もはっきりとしていない。
手がかりとして、彼の性格から探るしかないのである。

ペレルマンの世界では、公正で規則に則ったものしか認めない絶対規則の考え方が常にあった。
数学に惹かれたのも、曖昧さや矛盾を一切排除した美しい世界だったからだ。ペレルマンは人という不規則的なものを理解できなかったし、理解する必要もなく、純粋に数学の世界を旅行する人物だった。

元々人付き合いも最小限なペレルマンだったが、またやっかいな事件が起こる。
「ペレルマンのポアンカレ予想は不完全であり、新たに補足したものを発表する」と、二人の中国人数学者が論文を掲載したのだ。今でこそ、ポアンカレ予想はペレルマンが解いたものだと認識されているが、当時のペレルマンには信じられない出来事だったであろう。
完全なる証明をすでにしているのに、彼らは何を言っているんだ。

彼は数学への興味を失い、母と一緒にロシアの田舎でひっそりと暮らすようになる。
たまに趣味のキノコ狩りをしに行くというのだ。

なぜ、100万ドルの受取りを拒否したのか

rina_shirafuji2_1

本書の最後のテーマだ。
ポアンカレ予想の証明という、偉大な業績を達成した正当な対価をペレルマンは受け取らないと言ったのだ。

皮肉なことに、著者は2009年にペレルマンは100万ドルの受取を拒否するのではないか、と予想をしているが、これが的中してしまう。
金銭的にも困ってるとまではいかなくとも、金があれば働かずに数学に没頭できる時間を確保できるというのに。

著者はこれについて、数々のペレルマンを知る者に会い、独自に推測し考えを述べている。
その答えは、月並みだが本書を手にとってみて欲しい。ポアンカレ予想の解明をした数学者自身が、最も謎に満ちているとは、これも極めて難解な問題である。

 

完全なる証明―100万ドルを拒否した天才数学者

  • 著者:マーシャ ガッセン
  • 出版社:文春文庫
  • 発売日:2012/4/10

モデルプロフィール

rina_shirafuji1_2
  • 名前:白藤里奈
  • 生年月日:1994/6/1
  • 出身地:東京都
  • 職業:医学生(日本大学医学部2年)
  • 受賞歴:ミス小学館2016準グランプリ、ミスオブサークル2017出場中
    (1日1ぽち&RT♡お願いします(^^)
    http://missofcircle.com/entrants/%e7%99%bd%e8%97%a4%e9%87%8c%e5%a5%88/)
  • 趣味・一言:美容研究、韓国語勉強、可愛い人を見ること、SNS 
  • 最近の悩み:お金が欲しい(最近ずっと貯金頑張っているので)
  • Twitter:@r_ns7215
  • Instagram:@rina.shirafuji
  • facebook:100009388868273

(カメラマン:伊藤広将)

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

最新情報をお届けします

Myコーデ

WRITERこの記事を書いた人

小幡 道啓

累計2億円以上の借金王の元に生まれ、怒号と罵声が飛び交う家庭で育ったアウトローだが、底ぬけにポジティブ。飲み会でも「父親が行方不明です」と不謹慎なネタを言ってはスベっている。Amazon Kindle販売員時代には年間NO.1売上を達成。現在は、「逆境でのユーモア」をモットーに本to美女編集部編集長。