いつから「男は仕事」「女は家事」になってしまったのか?

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結婚と家族のこれから 共働き社会の限界

  • 著者:筒井 淳也
  • 出版社:光文社
  • 発売日:2016/6/16

先日、本to美女編集部のOさんからこんなことを聞いた。
「選書サービスを始めたんだけどさ、人間関係、それも家族関係の悩みが多いんだよ」

人間関係の悩みが多いことは、大いにうなずけた。
この世の悩みは大別すれば自分のことか、他人のことしかない。
自分のことは、己一人の努力でどうにかなる。人間関係おいては、自分の力ではどうしようもない他人の意思が入り込む。

解決には、自分ではない、相手の気持ちを想像することが必要だ。容易なことではない。

ただ、特に家族関係の悩みが多いというのは、少し意外だった。
家族、というのは見えないが強い絆で結ばれているものではないか、と思ったからだ。

そんなわけで、家族関係の難しさ、そしてそれに対する解決策を見つけるべく、
今回は「家族」をテーマに書籍を紹介していこうと思う。

まずは、結婚と家族の在り方について、大枠を捉えてみよう。

父親像・母親像について語る難しさ

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思い起こせば、子どもの頃に読んだ小説に出てくるお母さんは、いつも家にいた。

お父さんは家を空けがちで、お母さんは家で美味しい食事を準備してくれている。
お父さんは子どもにとって怖い存在、お母さんはちょっと心配性。

しかし近年、小説に出てくる父親像・母親像も変化してきたと感じる。

子育てに奮闘しながら仕事をする父親(石田衣良『チッチと子』など)や、シングルマザーとなって働きながら幼い子を育てる母親(梨木香歩『雪と珊瑚と』など)、描かれ方は徐々に変化してきた。

小説は、時代の写し鏡である。
つまり、父親像・母親像も変化してきていることは間違いない。

では、「父親や母親のテンプレ像」はどのようにして生まれ、そして変わっていくのか?
原因として多く挙げられるのは、価値観の変化だとか、離婚率の上昇といったことだ。

しかし、一つの原因ですべてを説明することができるほど、この問題は簡単だろうか。
自身の経験から家族像を語るのは結構だが、押し付けられて閉口した経験は私もある。

今回紹介するのは、もっと包括的な視野から家族の姿を論じる一冊だ。

個人の意見に振り回されないために知るべきこと

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筒井淳也『結婚と家族のこれから:共働き社会の限界』は、学術的論文を幅広く引用しながら、結婚と家族の在り方が時代ごとにどのように変遷していったのか、について論じている。

先述の通り、結婚や家族の問題は、個人の価値観の問題で片づけられやすい。
それは、結婚に至る前の恋愛は、個人の価値観によって決められていると思われているからだ(ここまでの書籍紹介でも触れているように、必ずしもそうとは限らないが)。

本書では徹底的に、「経済の仕組み」や「社会制度」といったマクロな視点から、結婚観や家族観を紐解いていく。

たとえば、古代日本(武家社会以前)では、男女の収入差や、男性が家督を継ぐ、といった習慣は存在しなかったとされる。
それは、農耕社会において、性差や血統などによって差別をするメリットが存在しなかったからだ。

しかし、武家社会になると状況は一転する。
その家を興した当主が重視され、さらにその力を維持しておきたいという気持ちから、血筋が重要視されるようになる。
戦いともなると男性がやはり有利なので、男性の力が大きくなる。

また、姦通(不倫)は、結婚している女性側とその相手男性のみ、厳しく取り締まられることになる。

最近は性別によって収入の差がつくことは減ってきているので、男女の立場は対等に近くなりつつある、ということなのだ。

個人の価値観によると思っていたものが、実は社会の仕組みに大きな影響を受けていた。
このカラクリが、本書ではわかる。

「格差婚(収入差がある男女の結婚)」や「結婚を促進する税制」といった、結婚や家族形成に意外な影響を与える社会的要因・制度についても、本書では論じられている。

もし世で言われる結婚や家族に関するもっともらしい意見に対してモヤモヤを感じているなら、ぜひ読んでほしい。
今の社会制度、経済の仕組みからして、何を受け容れ、何を受け容れないか、一つの判断基準ができるはずだ。

こんなお悩みを解決

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「家族とはこうあるべき!」「親とはこうあるべき!」といった意見(個人の主張)にもやもやしている
⇒動かしようのない現実=社会の仕組みを知ると、個人の意見に振り回されなくて済む。また、歴史的な家族の在り方を知ることで、家族像とはそもそも「こうあるべき」と固定されているものではないこともわかる。

結婚と家族のこれから 共働き社会の限界

  • 著者:筒井 淳也
  • 出版社:光文社
  • 発売日:2016/6/16

モデルプロフィール

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  • 名前:Arly
  • 生年月日:1991/4/1
  • 出身地:三重県
  • 職業:モデル
  • 受賞歴:ミス三重大、ミス伊勢志摩
  • 趣味:カラオケ、カメラ、写真、お買い物
  • 最近の悩み:蚊によく喰われる
  • Instagram:arly0401
  • HP:metyion.wix.com/arly 
  • Blog:http://s.ameblo.jp/metty0401/ 

(カメラマン:伊藤広将)

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WRITERこの記事を書いた人

庭野蹴

同級生に同級生と見られない老け顔(両親譲り)眼鏡(父親譲り)の男性。お母さん方の井戸端会議によく顔を出しつつ、平和な青春時代を過ごす。 血のにじむような努力(とカロリー過多な食事)の末、早稲田大学に入学。授業に来なくなる友人を尻目にいそいそ学問に励む。結果、ちゃっかり論文で入賞したことも。また、(若さゆえ)関係各所に噛みつきながらフリーペーパーの制作もしていた。現在は社会人。