なぜ、家族関係の悩みは深刻になってしまうのか『大丈夫、あのブッダも家族に悩んだ』

大丈夫、あのブッダも家族に悩んだ

  • 著者:草薙 龍瞬
  • 出版社:海竜社
  • 発売日:2016/3/18

 

皆さんは、ブッダをご存知だろうか。
おそらく、知らない人はいないであろう。

なぜ家族の話題でブッダ?
それは、ブッダも家族に悩み、悩まされた人物だったからだ。

ブッダの教えは、家族の悩みを解決してくれる。
そんな一冊が、『大丈夫、あのブッダも家族に悩んだ:ツラい関係が“希望”に変わる心の持ちかた』だ。

著者紹介によると、著者の草薙龍駿(くさなぎ・りゅうしゅん)は以下のような経歴を持った人物だ。
中学卒業後16歳で家出、大検を取得後東京大学に入学。
卒業後は政策シンクタンクで働くも、インドで得度出家し、日本では特定の宗派には所属せず仏教の本質を生活全般に渡って伝える活動をしている。

……とのことで、かなり異色の経歴を持った人物であることがわかる。
しかし、本書内で述べているのは極単純な、家族関係にまつわる悩みを解消するヒントだ。

そもそもなぜ、仏教の考え方で悩みを解決できるのか

okeya1

最初に断っておくと、私自身は特にどの宗教を信じているわけでもない。
初詣は神社にも寺院にも行ってしまうくらいだ。

きっとそんな人も多いはずなので、なぜ仏教の教えが(家族関係だけでなくても)悩み解決に活用できるのかを示しておきたい。

著者によれば、ブッダの教えは「二五〇〇年に渡る仏教思想から掘り起こした、合理的で、現実に役に立つ『悩み・苦しみ』を抜ける方法」。

逆に言えば、多くの人を救ってきたから、仏教は現代にいたるまで受け継がれてきているのだろう。
また、仏教は日本と同じアジアで受け入れられて来た宗教。
そう考えれば、先人の知恵として仏教から学べるものは大きい、と考えられるのではないだろうか。

業が引き起こす、家族関係の悩み

okeya2

本書で一貫して著者が述べているのは、「業」といかにしてうまく付き合うか、ということ。
学校の授業でも輪廻転生とか前世のカルマみたいなことを聞いた人もいるかもしれない。

著者によれば、ブッダ自身がそのことを語ったかどうかは不明だという。
ここで使われている「業」とは、「生涯にわたって繰り返す心の癖みたいなもの」だという。

生まれた瞬間の子どもに業は存在しない。
自分の心が反応する⇒強く反応することで心に残る(結生)⇒執着⇒業
というプロセスで業が生まれる。

著者は長い間、家族関係で悩んでいる人は「親の業」が自分にどれほど深く影響しているかを理解すべきだ、という。

たとえば親が、人に無関心である、という業を持っていたとする。
すると、子どもが親の愛情を求めても、親はなかなか振り向いてくれない。

子どもはそれでも、試験や仕事に打ち込み、親を振り向かせようとするが、溝は埋まらない。
結果的に、親への絶望、また自分への劣等感にさいなまれて、親だけでなく、自分の家庭の関係もうまくいかなくなる。

こういったとき、悪いのは子ども側だろうか。
親が人に無関心であるという業の持ち主だったからこそ起こってしまった、自分にはどうしようもないことではないだろうか。

業の存在と、子どもと親それぞれの業を理解することで、解決できることと解決できないことを分けて考えることができるのだ。

業と向き合い、業を抜けるために

okeya3

最後に、印象に残った文を挙げておきたい。
「重要なのは、事実を踏まえたうえで解釈すること」

こうした問題を話し合うとき、「親には恩があるし」とか、「良いところもある人なんです」といったことを言う人もいるかもしれない。

しかし、それは自らの感情、解釈だ。
今、動かしようのない事実は、自らが家族関係で苦しんでいること、もっといえば家族関係が機能していないこと。

「親だから」、「子だから」といった枕詞は、自身の思い込みから生まれ、行動の真の原因であるとはいえない。

私が冒頭で述べた「家族なんだから絆みたいなものは自然と生まれるだろう」も解釈・思い込みに過ぎない。
そういった思い込みは家族だからこそ生まれやすい。その思い込みの捨て方も述べられている。

本書では、業との向き合い方、業の変え方、家族関係のあるべき姿といったことが仏教の考え方に基づいて紹介されている。

ブッダの教えは決して古臭いものでも、一部の限られた人のものでもない。
それはとても合理的で、複雑に絡み合っているように見える原因を明らかにしてくれる。
家族関係を考え直すのに最適な、長い年月を超えてきた先人の知恵だ、ということがよくわかる一冊になっている。

こんなお悩みを解決

家族関係がうまくいっていないのは分かっているけど、いいところもある人たちだから、割り切れない
⇒二五〇〇年前から受け継がれてきた先人の知恵を借りてみよう。
まずは自分と家族の業(=心の癖)を理解。また、事実(関係がうまくいっていないことなど)と解釈・思い込み(親だからこうでなければならない、悪いのは自分など)を分けて考えることで、原因がシンプルでわかり易くなる。

大丈夫、あのブッダも家族に悩んだ

  • 著者:草薙 龍瞬
  • 出版社:海竜社
  • 発売日:2016/3/18

モデルプロフィール

okeya_profile
  • 名前:桶屋美圭
  • 生年月日:1997/1/18
  • 出身地:富山県
  • 職業:早稲田大学
  • 趣味:ダンス、ピアノ
  • 最近の悩み:本が読めるようになりたい
  • Twitter:@okechin0118

(カメラマン:伊藤広将)

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

最新情報をお届けします

Myコーデ

WRITERこの記事を書いた人

庭野蹴

同級生に同級生と見られない老け顔(両親譲り)眼鏡(父親譲り)の男性。お母さん方の井戸端会議によく顔を出しつつ、平和な青春時代を過ごす。 血のにじむような努力(とカロリー過多な食事)の末、早稲田大学に入学。授業に来なくなる友人を尻目にいそいそ学問に励む。結果、ちゃっかり論文で入賞したことも。また、(若さゆえ)関係各所に噛みつきながらフリーペーパーの制作もしていた。現在は社会人。