開成高校野球部に学ぶ、 自社にぴったりの戦略を立て、実行するための方法

「弱くても勝てます」―開成高校野球部のセオリー

  • 著者:高橋 秀実
  • 出版社:新潮社
  • 発売日:2012/9

 

昨日も書いたが、僕は元球児だ。

当時は整髪料を付けられるサッカー部が羨ましく、坊主頭に無理やりヘアワックスを付けてみたこともあった。

お察しの通り、意味は何にもなかったが。

日本の野球は、なぜこんなに禁欲的なのだろうか。

実は、日本の野球は発祥の地、アメリカとは違う進化を遂げてきた。

戦時中、野球は敵国からやってきたスポーツとして迫害の危機にあった。

それを守るため、日本近代野球の祖、飛田穂州は野球を青少年の精神鍛錬の一つとすることで、戦争から守り抜いたのだった。

その名残で、水を飲んではいけない、坊主頭にしなくてはいけない、といった一見意味がないような慣習が残った、と言われている。

今でも修行のような雰囲気は残っている中で、「精神面での指導は意味がない」と言い切る監督がいる。

それが、開成高校野球部の監督である。

開成高校野球部が敷く、型破りの戦略

mana1

開成高校と言えば、言わずもがな「めちゃくちゃ頭がいい高校」として全国に知られている。

そのイメージを持っていると「やっぱり野球も知的にするんだね」と思うかもしれない。

しかし、それは合理的な考えに基づいた「戦略」というべきものだ。

監督の青木いわく、強豪校同士の戦いならまだしも、開成高校と他校では実力が違いすぎて、とても精神面ではカバーできないというのだ。

言われてみればその通り。

「株取引のコツはね、根性ですよ!」なんて言われたら、「なんじゃそりゃ。気合で稼げたら苦労せえへん」と思うことだろう。

同様の理由で、開成高校はバントをしてこつこつ一点を取る、といった高校野球のセオリー通りの攻め方はしない。

とにかく打って打って打ちまくり、相手が動揺しているあいだにコールド勝ち(高校野球ではある回に一定の点差がついていると、9回よりも早く試合が終わる)を狙う、というツッコミを一つでも二つでも入れたくなる戦略で戦っている。

とはいえ、戦略を立てるだけならだれでもできる。

昨日に書いたように、小倉が苦心した部分は「いかにして戦略を浸透させるか」だ。

戦略実行のために必要な、「マインドセット」と「一貫した意識付け」

mana2

では、開成高校野球部は、「コールド勝ちを狙う」という戦略をどのように実現に移そうとしているのか。

まず、「選手の行動特性を把握したマインドセット」だ。

難しく聞こえるようだが、簡単に言えばある行動をその人にあった形でできるように、考え方を変えさせる」ことだ。

たとえば開成高校における守備は、球が来る場所へ移動→捕ると二つに分けて考えられている。

野球をやっている人であれば自然にできそうな動作だが、何事も理屈で考える開成高校の生徒たちにはこうして動きを分割して教えたほうが良い。

どんなに定型化されたように見える業務でも、人によっては独自のかみ砕き方が必要になる。

そこを見極めて教えるか、本人が見極めることができるまで辛抱強く待ちたい。

mana3

次に「日ごろから意識させること」だ。当たり前のようで、これができない。

ダメな行動をよくするために、日ごろから意識させるのはある種簡単ともいえるだろう。

しかし、結果は良い場合、それを矯正するのは難しい

指導する側はプロセスに目を向ける努力をどうしても怠ってしまいがちだし、教えられる方は「結果はいいのに何で怒られるの?」と思う。

監督はただ怒鳴るってはいない。

巧妙に「なぜ怒鳴っているのか」、「自分たちが目指す勝ち方は何か」を織り交ぜて怒鳴る。だから生徒たちも納得してついていけるのだ。

それまでの良い(と思われた)行動でさえも時に疑ってみる。

そして小さな行動から一貫してその戦略を取り続けることが、戦略を実行に移すために必要な力なのだ。

本書では、教えられる側の生徒に対するインタビューも豊富に記載されている。

逆に厳しい指導を受ける側の心情は、どのようになっているのだろうか。

生徒の言葉を読むと一層、開成高校野球部のやり方の有効性が見えるはずだ。

ぜひ合わせて読むことをお勧めしたい。

こんなお悩みを解決!

  1. 戦略は完璧! だけど、どのように浸透させていけばいいんだろう……。
    →終始一貫して、戦略を植え付けていくことが必要。その際は教え方をできる限り個人個人に合わせた形にするのが良い。
  2. 指導を徹底しているけど、ちょっと違う方向に行っている気もする。どんな風に修正すればいいんだろう……。
    →どんなに結果が出ていても、戦略と違うやり方なら修正しなくてはいけない。その際には、なぜそのやり方が違うのかを、理由も付けて説明しよう。その心配りが納得感を与える。

「弱くても勝てます」―開成高校野球部のセオリー

  • 著者:高橋 秀実
  • 出版社:新潮社
  • 発売日:2012/9

モデルプロフィール

mana_profile
  • 名前:真奈
  • 生年月日:1994/1/16
  • 出身地:静岡県
  • 職業:タレント
  • 一言:愛してください♩
  • 最近の悩み:やせない
  • Twitter:@manatmnt

(カメラマン・Rimi Sakamoto/個人サイト・http://www.rimisakamoto.net/

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

最新情報をお届けします

本to美女選書

WRITERこの記事を書いた人

庭野蹴

同級生に同級生と見られない老け顔(両親譲り)眼鏡(父親譲り)の男性。お母さん方の井戸端会議によく顔を出しつつ、平和な青春時代を過ごす。 血のにじむような努力(とカロリー過多な食事)の末、早稲田大学に入学。授業に来なくなる友人を尻目にいそいそ学問に励む。結果、ちゃっかり論文で入賞したことも。また、(若さゆえ)関係各所に噛みつきながらフリーペーパーの制作もしていた。現在は社会人。