あなたに死ぬ覚悟はあるか。『キングダム』が教えてくれた死ぬ気で働くことの本当の意味

キングダム 1

  • 著者:原 泰久
  • 出版社:集英社
  • 発売日:2006/5/19

 

キングダムにはまっている。

漫画を読んだことがなかった。昔から読む習慣がなかった。

中国の歴史も知らないどころか歴史の教科書が嫌いだった。

そんな私が、中国の歴史にしか興味がないほどキングダムにどはまりしている。
下僕の少年が大将軍を目指す春秋戦国時代の物語なのだが、今自分のおかれている「経営者」という立場に似ていて、奮い立たされるからである。

どん底からの挑戦キングダムは「自分でもできるかも」という自信をくれる

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主人公・信は下僕の少年。

「下僕はおとなになっても下僕。どっかの下僕の女と結婚してその子供もやっぱり下僕になる。一度落ちるとずっとそうなんだ。ぬけ出すには剣しか無い!」

同じ下僕の親友のこの言葉を胸に日々剣の練習をし、親友と一緒に「天下の大将軍」になる約束をする信。

しかし、この親友は王の身代わりにされ死んでしまう。そこで亡き親友に代わって、天下の大将軍になることを、信は固く決意する。

実際の戦に出ると、我先にと敵に飛び込んで行って武功をあげまくり、みるみる出世していく。最初は身分のせいで馬鹿にされていたが、結果を残すことでたくさんの人に評価され、「隊長」であることを認められていく。憧れの大将軍に隊の名前をもらう。

その隊長に鼓舞されたメンバーは、農民で構成された組織であるにも関わらずどんどん強くなっていき、国でも有名な部隊となる。

恐縮ながら、正直、自分に重ねてしまった。

知識も経験も何もない学生が、「個人をもっと輝かせたい」という夢と希望だけで起業をし、真っ暗なトンネルの中をがむしゃらに歩んでいる毎日に重ねてしまったのである。

私は現在、Coupe(クープ)という美容師とサロンモデルをつなぐウェブサービスを運営している。
美容師をしている友達が「サロンモデルを探すのが本当に大変だ」と言っていたことがきっかけでCoupeをつくった。

モデルハントを便利にするのはもちろん、美容師さんに素敵な作品を沢山作ってもっとチャンスを増やしてほしい。もっとモデルが輝ける機会を増やしてほしい。そんな想いから生まれた。

そのCoupeのユーザーが増えたり、投資が決まったり、大人や社会から認められることで夢を一歩ずつ叶えていっている。

しかし、一見似ているかのように思って読み進めていくと、圧倒的な違いに気づいたのである。

私には死ぬ覚悟がなかった

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信は、敵が槍を向けている中に飛び込んでいく。悪く言えば、死にに行っているのである。

誰よりも先に向かっていくので、仲間に背中を見せている。その中で思いっきり剣を振りかざして敵を切りまくり、味方の道を作るのである。

「槍の中に入っていくなんて、死ぬよ?」

そう思って私はハッとした。

信と私の共通点は、どん底からのスタートと若さだが、

信にあって私にないことは、仲間のために「死ねる覚悟」だ。

私は死ぬ覚悟を持って、一つ一つのことに取り組めているのか。
死ぬ覚悟で問題に立ち向い、仲間に背中を見せられているのか。

気付いたら守りに入ってしまっていることが多々あっただけに、読んでいて胸が苦しくなった。

起業したての頃は、とにかくがむしゃらだったのにも関わらず、様々な権力や大人の事情におされ、考えてから慎重に行動するようになってしまっていた。叩かれるのが嫌で、弱腰になってしまっていたのである。

しかし、キングダムのおかげで初心を思い出させてもらえた。

「この事業をするのは自分でいいのか」
「社長は自分でいいのか」

そんな気持ちが、信をはじめ様々なキャラクターの頑張りを見て無くなったのである。ありがたいことに今の私には、若さと挑戦できる舞台がある。

知識や経験では勝てないような問題には、信のような「頭で考えず、剣を振りかざすこと」が大事だと思わせてもらえたのである。

仲間の頑張りに、とにかく泣ける

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キングダムは、「自分の役割」を全うすることの大切さを教えてくれる。
主人公以外にも、めきめき成長する魅力的なキャラクターが沢山いる。

最新の42巻では、周りに比べると武力も知力もなく、自分の存在意義に悩む渕(えん)というキャラが、ある大役に大抜擢される。

渕は、元々国と信の連絡係で、武力も知力もないのに連絡係だったからというだけで、3,000人ほどいる隊の副長を務めていた。
3,000人隊にもなると、部下は武士のサラブレッドみたいな人ばかりで当然自分よりレベルが圧倒的に高い。そのため自信を無くしてしまう。

ある時、敵を攻めるために濁流を渡り、向こう岸につかないといけないときが来る。

その川を渡る係として抜擢されたのが渕だった。他の人よりも今まで信をずっと支えてきた責任感からの大抜擢である。自分より武力や知力がある仲間達に背中を見せながら、気力と隊を想う気持ちだけで濁流の中を率先して渡り、隊の道を切り開いたのである。

無事任務を遂げ、みんなに認められるシーンは本当に泣ける。

ある著名な教育者が、「子どもの教育」で大事なことの一つは、「靴を揃え、椅子を入れる」であると言っていた。

「靴を揃え、椅子を入れる」というのは、子どもにさせる、ということではない。親自身がやる、ということだ。「靴を揃えなさい」「椅子をきちんと入れなさい」などと小言を言ってもあまり効果がない。それよりも親が靴を揃えたり、椅子を出しっぱなしにしておかない。それを見せるだけで、子どもはきちんと真似るようになるのだ。

親子の関係と、上司部下の関係は同じだと思う。
渕のように「口でとやかく言うのではなく、背中で示す」

改めて「頭で考えず、剣を振りかざすこと」の重要性について考えさせられたシーンだった。

他にも、
戦で活躍する仲間達に感化され、軍師になろうとする女の子、
死にそうになりながら婚約者に危険を伝えに行く宮女、
尊敬する仲間の仇を討とうと奮闘し自分の役割を探す女戦士、
など、女子も大活躍。しびれる。

女性がもっと活躍できる社会を、私の夢でもある「個人がもっと輝ける」社会にするために、私はこれからも仲間に背中で示していきたい。

キングダム 1

  • 著者:原 泰久
  • 出版社:集英社
  • 発売日:2006/5/19

モデルプロフィール

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(文・竹村恵美/編集・森井悠太/カメラマン・横須賀馨介)

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WRITERこの記事を書いた人

竹村 恵美

1991年生まれ。東京都出身。 スイスの高校を卒業後、立教大学フランス文学専修に入学。大学時代アナウンサーを目指すも、UberのアンバサダーやIT企業でのインターンをきっかけにプログラミングにはまり、美容師とサロンモデルのためのマッチングサービスCoupeを創業。サイバーエージェントベンチャーズより資金調達を実施。第一回StartupWeekendWoman優勝。