桜の花びらの落ちるスピードだよ。『秒速5センチメートル』

秒速5センチメートル

  • 著者:新海 誠
  • 出版社:KADOKAWA/メディアファクトリー
  • 発売日:2016/2/25

明里がいる世界

僕・貴樹と明里は
お互いに父親の転勤の関係で転校が多く
感性が似ていたためか、いつも一緒だった。

そしていつしか
世界に散らばる知識のかけらを
学校帰りに交換することが
貴樹と明里の習慣になっていた。

「ねえ、秒速5センチなんだって」

満開の桜が散る帰り道で明里が言った。
「桜の花びらの落ちるスピードだよ。秒速5センチメートル。」と。

2人にとって
そんな日々が心地良く感じられていたことは
言うまでもない。

だから、いつもと同じように
この生活にも終わりが来るなんて考えもしなかっただろう。

春は出逢いと別れの季節。
各々が新しい生活を始め、それを機に
良くも悪くも人間関係は移り変わる。

転校を繰り返す2人の眼に
周囲の人間はどう映っていたのだろうか。

明里がいない世界

中学進学を機に明里と別れを告げた貴樹は
自身も島の学校へと転校。

そして卒業後、東京に戻って仕事に就いた。

最低限のコミュニケーションのみが存在する職場で
ひたすらにパソコンと向き合う仕事。
それなりのやりがいを感じていた貴樹だったが
そのマンネリ化した作業と
自分の思い通りに進まないプロジェクトに
嫌気がさし、自ら辞職。

時同じくして交際していた女性とも別れを告げた。

人々がひしめき合う東京の街で
孤独な生活を送る貴樹。

雪降る町で彼が思い出したのは
幼き頃の明里との記憶だった。

大人になってもなお
大切な人を守り続けることが出来ず
自分だけの何かを手に入れることも出来なかった貴樹にとって
明里がいた世界の記憶は
さぞ眩しく映っただろう。

東京の街並みと
貴樹の心象との相関的描写に注目して読んでほしい。

ここが魅力!

本書の面白いところは時系列順の物語が
複数の視点から展開されるところだ。

小学生の時期は主人公の貴樹目線。
そこから高校生活は貴樹に一途に想いを寄せる女の子・澄田花苗目線。
そして上京し、サラリーマン時代を再び貴樹目線で展開し
大人になって結婚した明里の目線
そして最後にある日の貴樹目線で終わる。

アニメを既に見た!という人も
構成上の視点が異なるため
小説ならではのアプローチを楽しめるはず。

出来事が混ざってしまうようにも見えるが
それぞれの時間がほとんど被っていないので
とても読みやすく
すんなりと頭に入ってくると思う。

また、本書は最後にほんのりとした余韻を残すラストシーンになっている。
読了後、自分の心情がどうなるかも
是非楽しみにしながら読んでいただきたい。

何の変哲もない平凡な少年の
小さな恋の物語を
是非、満開の桜の下で…
“秒速5センチメートル”を感じながら
読んでみてほしい。

秒速5センチメートル

  • 著者:新海 誠
  • 出版社:KADOKAWA/メディアファクトリー
  • 発売日:2016/2/25

モデルプロフィール

  • 名前:真奈
  • 生年月日:1994/1/16
  • 出身地:静岡県
  • 職業:タレント
  • 趣味・一言:愛してください♩
  • 最近の悩み:やせない
  • Twitter:@manatmnt
(カメラマン:伊藤広将)

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