「どうせ無理」に負けないために。『NASAより宇宙に近い町工場』の教え。

志した明るい未来の前にそびえ立つ高い壁を叩き続けるのは、とても難しい。
終わりの見えない現実に、もういいよ、と匙を投げたくなる時だってたくさんある。

「その壁をあともう一回叩けば壊せるかもしれないのに、諦めるのか」
「諦めたらそこで試合終了だ」

諦めないことに関する至言は多く聞く。

「だけど、それは自分とは違う心の強い人だからできることではないの?」
「そういう人に、僕の、私の気持ちなんて分からないよ」
そう思う人も多いかもしれない。

本書で書かれている「諦めないための方法」は、個人差のある人の性格に左右されるものではない。
周りの人々が言う「どうせ無理」の言葉に負けないための方法だ。

 「どうせ無理」が人々の夢見た未来を奪う

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著者は、北海道の小さな田舎町で町工場を経営する経営者だ。
本業はリサイクル産業に使用するパワーショベル用のマグネットを作ること。
そして本業とは関係なく(=利益化を目的とせず)行っているのが「宇宙開発」だ。

「なんでこんな田舎町で宇宙開発?」
「しかも利益を得ようとはしていないの?」

そんな疑問が湧くが、著者はいたってまじめに「『どうせ無理』という言葉をこの世からなくす」ために宇宙開発をしている。
「どうせ無理」が持つ言葉の魔力は大きい。
この言葉で、多くの人が、思い描く未来(つまり夢)を諦めてしまうと著者は言う。
自らの発言が強い言葉で否定されると、なんだか自分の人格まで否定されたような気持ちになってしまう。

しかし、この言葉を聞くことも、決して少なくはないはずだ。
自分の決定にさえ「どうせ無理だよ」と言ってしまっていることもあるかもしれない。
著者も多くの人から「どうせ無理」を言われることばかりやってきた。
著者は諦める、についてこんなことを言っている。
「生まれたときからあきらめ方を知っている人は一人もいない」
物心がつき、「もっと現実的な夢にしなさい」、「悪いことばっかりしていないでいい子にしていいなさい」といった言葉で人はあきらめを覚えていく。

生まれた時はみんなが好奇心旺盛なはずなのに、誰かが諦め方を教えていると筆者は指摘する。

つまり、「どうせ無理」に負けないための心は、人間だれしもが持っているのだ。

やりもしないのに「どうせ無理」と決めつける評論家には負けない

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そしてもう一つ、本書から得られる「どうせ無理」に負けたいための秘訣は、言われたことをうのみにしないことだ。

著者は夢についてこう語る。
「100パーセント実現できそうな夢って、夢っていうんでしょうか」。

他人が思う夢と、自分の思う夢は本来全く違うものだ。
それなのに、世の中でいわれている定義をいつの間にか正しいと思いこんではいないか。

それこそやってみなくちゃわからないのに、前例や、実際にやってもいない周りの意見を聞き入れて、無理に自分を納得させようとはしていないか。

世の中で当たり前とされていることを疑うことが、実は「どうせ無理」に対抗する術になる。

「なんくそ、負けてたまるか」という気持ちで人から言われたことをじっくり考えてみると「なんだ、やってみないと分からないじゃない」という気持ちになってくる。
「『普通』は僕たちが作る」と著者は言っている。
誰かがやったことのあるものは普通、そうでないものは普通じゃない。

誰も見たことがないものを作ることが夢のはずなのに、気づけばできそうなことばかりが夢になっている。

「ふつう」の範囲内でしか、物事を見られなくなっている。
それは夢と言えるのか?

周囲が憶測で語っているに過ぎないことを真に受けるのは、いかにバカらしいかを本書から感じることができる。

著者が人の「憶測による評論」を真に受けず、「かなわないかもしれない夢」に奮闘する姿を本書では読むことができる。

自分にとっての明るい未来は自分で決める。
そこに周囲の評論家は関係ない。

本書に書かれたエピソードや著者の視点の数々が、「そうかもしれない」と思わせてくれる。

努力は美しい。
諦めないことが肝心だ。
そんな言葉にはもううんざり、という人にこそ、騙されたと思って手に取ってほしい一冊だ。

今日のポイント

  • 自分の思い描く未来=夢にとやかく言う人の多くは、憶測で語る評論家気取りばかり。
  • 憶測があなたの夢への気持ちをしぼませる。逆に言えば「どうせ無理」に負けさえしなければ、夢を見続けることができる。
  • 「普通」はその人が見たもの、聞いたものでしか構成されていない。その人の「普通」を変えてやるんだ、という意気込みで!

NASAより宇宙に近い町工場

  • 著者:植松 努
  • 出版日:2009/11/5
  • 出版社:ディスカヴァー・トゥエンティワン

モデルプロフィール

Shimoda_profile
  • 名前:下田  ありさ
  • 生年月日:1991/08/13
  • 出身地:神奈川県
  • 職業:客室乗務員
  • 受賞歴:ミス東洋英和2014
  • 趣味・一言:フラワーアレンジメント
  • Twitter:@eiwa2_Arisa

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Myコーデ

WRITERこの記事を書いた人

庭野蹴

同級生に同級生と見られない老け顔(両親譲り)眼鏡(父親譲り)の男性。お母さん方の井戸端会議によく顔を出しつつ、平和な青春時代を過ごす。 血のにじむような努力(とカロリー過多な食事)の末、早稲田大学に入学。授業に来なくなる友人を尻目にいそいそ学問に励む。結果、ちゃっかり論文で入賞したことも。また、(若さゆえ)関係各所に噛みつきながらフリーペーパーの制作もしていた。現在は社会人。