『ぼくらの仮説が世界をつくる』が教えてくれた「ゼロからミライを作る術」

私はこの本を読みながら、なぜか確信めいたものを感じていた。

そして、この一文で合点がいった。

「『仮説→情報→仮説の再構築→実行→検証』という順番で思考することで、現状に風穴を空けることができる」

 ミライを作れない仮説、とは

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著者は『ドラゴン桜』、『宇宙兄弟』、『働きマン』など、社会に大きなインパクトを与える漫画を数多く世に送り出した名物編集者だ。

美容師さんが漫画の宣伝媒体として効果的だと読み、数多くの美容院に『宇宙兄弟』を送って置いてもらうなど、そのユニークなビジネス手腕にも定評がある。
著者は「世界はだれかが思いついた『仮説』でできている」と語り、その重要性、思考法を解くのが本書のテーマになっている。

先に挙げた「仮説→情報→仮説の再構築→実行→検証」の思考法。
一見すれば、「仮説が先」はごく当たり前のことであるように思える。
しかし、実際はなんとできていない人が多いものか!
例として著者は、同じ会社の仲間が、ある本を編集社に売り込みに行った時の話を語っている。

その本は、海外での生活を料理や文化など様々な角度から描いたエッセイだった。
その面白さは確かなものだった。
しかし、
「『おもしろいけれど、うちでは出せません』」

これが応対した編集者の答えだった。
面白いなら良いのでは? なぜ出せないのだろうか。

それは類書がなかったからだ。
つまり、どのジャンルにも分類できない本だから、売り上げが予測できない。
だから売れない、というのだ。
だから、「仮説が先」は難しい。
まずデータありきで、それを見て仮説を立ててしまうことがあまりに多い。

新しい企画を考える時、まずこんなことが気にならないだろうか。

  • どんな商品が過去に売れてきたのか。
  • 主要な購買者層は誰なのか。
  • わが社のお得意様の意見は何か。

そこから導き出される仮説はうまくいくように思えるが、著者に言わせれば前例に頼りっぱなしの「前例主義」に過ぎない。
ここからミライは作られない。

 ミライを作るための思考プロセス

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冒頭の話に戻る。
なぜ私はこの思考法に確信を得たのか。

私的な話で恐縮だが、私の大学時代の専攻は統計分析を利用したマーケティングだった。
データ関連の話題は、少し前ならビッグデータ、今ならIoT(モノのインターネット化)など、近年のホットワードになっている。

デバイスの高度化により、どこからでもデータを得ることができる時代になり、これまでにないビジネスチャンスの獲得が可能になりつつある。

また、情報化社会の到来は、読者の皆さんもかなり実感を持っていることだろう。
しかし、ここでデータばかりに頼ってはいけない、というのが私の恩師の考えであった。
「勘も同じくらい大事だ」と(たとえ酒席であっても)よく言っていたものである。

つまり、まず勘を使って仮説を立ててみて、そのあとにデータを収集して検証していくべきだ、と言っていたのだ。

筆者も、データはあくまで過去のもので、それを見ても新しいことはできないと語る。

新しい未来を創るためには、過去のデータを見つめることは何の役にも立たない。
あくまで補助的なものとして、過去のデータを使用すれば良い。

こうした思考法は、データが増えてきた今だからこそ、どう生きるべきかのヒントにもなり得る。

本著には、
「なぜソーシャルゲームはここまで流行ったのか」
「これからのインターネットはどうなっていくのか」
「作家と作家でないものの違いは何か」など、
現代の経済や社会、仕事の進め方、果ては哲学的なことまで、筆者の斬新な知見や仮説がちりばめられている。

仮説の作り方と、具体例というには説得力がありすぎる著者自身の「検証」の数々。
人によっていろいろな楽しみ方ができる本書は、さながらテーマパークのようだ。
本書を基に、自分なりの仮説をもって世の中を見るのも、また一つの楽しみ方だろう。

著者のゼネラルな頭の中を垣間見できる本著はそれこそ、「類書のない」作品だ。
今回の見出しを「ミライ」とカタカナ書きにしたのは、決まった形を持たないものこそがミライであると感じたから。

素っ頓狂に見える仮説も、実現すれば「未来」になる。
ミライを最初から決めるなんて、誰にもできないのだ。

今日のポイント

  • 過去の経験にとらわれる「前例主義」を捨てよう。過去のデータはミライを作れない。
  • いきなり未来はつくれない。自分なりに仮説をもって、少しずつミライを作っていこう。
  • データがあふれる時代だからこそ、データに頼りすぎてはいけない。勘の重要性も忘れずに。

ぼくらの仮説が世界をつくる

  • 著者:佐渡島 庸平
  • 出版日:2015/12/11
  • 出版社:ダイヤモンド社

モデルプロフィール

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  • 名前:水野 冴羅
  • 生年月日:1993/11/28
  • 出身地:三重県
  • 職業:学習院女子大学、non-no専属読者モデル
  • 受賞歴:N-1 GP 準GP、ミス学習院女子2014ファイナリスト
  • 趣味・一言:4月からの新社会人生活が楽しみです!
  • Twitter:@sr5210/Instagram:sr5210

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WRITERこの記事を書いた人

庭野蹴

同級生に同級生と見られない老け顔(両親譲り)眼鏡(父親譲り)の男性。お母さん方の井戸端会議によく顔を出しつつ、平和な青春時代を過ごす。 血のにじむような努力(とカロリー過多な食事)の末、早稲田大学に入学。授業に来なくなる友人を尻目にいそいそ学問に励む。結果、ちゃっかり論文で入賞したことも。また、(若さゆえ)関係各所に噛みつきながらフリーペーパーの制作もしていた。現在は社会人。