史上最もCDが売れた年に何が起こったのか? 『1998年の宇多田ヒカル』

1998年の宇多田ヒカル

  • 著者:宇野維正
  • 出版社:新潮社
  • 発売日:2016/1/15

 

1998年にCD業界に何が起こったのか?

この先、未来永劫に塗り替えられることもないであろうCDが最も売れた年、
それが1998年だった。
その年に流星のごとく現れた歌姫が宇多田ヒカルだった。
彼女の登場で日本の音楽シーンは全て塗り替えられたという。

2016年現在、日本の音楽は各社定額のダウンロードサービスに移行し、
音楽の価値が日に日に、低下しているのは明らかだ。

だからこそ、音楽ジャーナリストである著者は、日本で最もCDが売れた年、
1998年を振り返ることに意義があるという。
その年が、日本のポップミュージックにとってあまりにも特別な年だったことを、きちんと書かないと、いつの日か大昔に流行った歌謡曲のような扱いになってしまうのではないかと著者は危惧している。

流星のごとく現れた宇多田ヒカルという天才シンガーソングライターを軸に、
aiko、椎名林檎、そして浜崎あゆみを考察し、日本のミュージックシーンの将来を考えていく。

1982年、1998年、2014年

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1998年の宇多田ヒカルがデビューしたあの日から、17年以上経った現代では、日本の音楽シーンが劇的に変わってしまっている。
CDから配信へ、配信から定額制ストリーミング・サービスへ。そして、何よりも音楽がただ当然に、ネット上にばらまかれている現代。

日本の音楽シーンと言ったら、AKB48やEXILEのようなグループを思い浮かべる人たち。SEKAI NO OWARIのような次世代のバンドを思い浮かべる人もいるかもしれない。

本書では、80年代、90年代、00年代以降の音楽シーンを読み解くことで、
今の日本の音楽シーンを取り巻く環境を考えている。

家庭用のCDプレイヤーが発売された1982年は、まさに歌謡曲とアイドル全盛期だった。年間シングルのヒットチャートのトップ10には、近藤真彦、松田聖子、郷ひろみ、細川たかし、薬師丸ひろ子など、歌謡曲がひしめいている。

一方、1998年の年間シングルのヒットチャートでは、L`Arc~en~Ciel、SPEED、KinKi Kidsなど、1982年における近藤真彦のポジションを、同じジャニーズのKinKi Kidsが引き継いでいる。ほとんどのアーティスト名がアルファベット表記になってしまった。

そして、2014年。年間シングルのヒットチャートを見ると、AKB48、EXILE派生グループ以外にほとんどが目立たなくなってしまった。
日本において、アイドル以外のCDのマーケットはほとんど消滅してしまったのかもしれない。近年の紅白歌合戦が完全に、懐メロと化しているのも無理ない。

1982年から1998年にかけて「歌謡曲の時代から、Jポップの時代へ」の移行が起きていたが、次の1998年から2014年までの16年間で、音楽シーンにおける大きな変化は全く起きていない。

宇多田ヒカルの登場

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90年代の音楽シーンは、テレビ番組のタイアップが基本だった。
しかし98年頃から、その方式は崩れ始めた。

「いいタイアップを取れたら曲はヒットする」という90年代の音楽業界の法則は大きな曲がり角に来ていた。
すでに人気のあるアーティストの新曲がタイアップ効果で、売り上げが伸びることはあっても、もうこれまでのように新人や知名度のないアーティストを売り出す機能はほとんど果たさなくなっていた。

宇多田ヒカルはそのキャリアを通じて、多くのタイアップを行ってきたが、
ほとんど、タイアップ側が宇多田ヒカルのアーティスト性に依存したものだった。

それほどまでに宇多田ヒカルのアーティスト性は音楽業界に衝撃を与えたのだ。
彼女の影響力のほか、本書ではaiko、椎名林檎、浜崎あゆみなどのトップクラスのアーティストを紹介している。

1998年に何が起こったのか?

その真相を知りたければ、本書を読んでみては。

こんなお悩みを解決!

  • 今の音楽シーンが面白いと思えない
    →CDが史上最も売れた1998年の音楽シーンを見ることで、日本の音楽シーンの新たな面を考察できるようになる。

1998年の宇多田ヒカル

  • 著者:宇野維正
  • 出版社:新潮社
  • 発売日:2016/1/15

モデルプロフィール

mizutani_profile
  • 名前:水谷優子
  • 生年月日:1991/3/13
  • 出身地:三重県
  • 職業:秘書
  • 趣味:ヨガ
  • 最近の悩み:関西弁と標準語がまざる。

(カメラマン:伊藤広将)

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WRITERこの記事を書いた人

kikuchan

6月9日(ロックな日)生まれ。 映像制作会社勤務。TSUTAYAから年賀状が届くほどの映画マニア。年間350本の映画鑑賞。 「映画ばかり見てないで、勉強しなさい」と言われて育つ。 学生時代は映画の新人賞受賞。文学だけでなく、あらゆる本を読むようにしてます。 好きな本:『竜馬がゆく』『スティーブ・ジョブズ』 趣味:座禅