“前へ倣え”の変死体は何を語るのか…? 『プリズン・トリック』

プリズン・トリック

  • 著者:遠藤 武文
  • 出版社:講談社
  • 発売日:2012/1/17

密室殺人事件

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ある日、交通刑務所で”前へ倣え”の姿勢をした変死体が発見された。
顔や指紋等、個人を特定する箇所は濃硫酸で溶かされてしまっていたが
近くにあった「石塚、死すべし 宮崎」と書かれたメモ書きから
警察は、殺されたのは受刑者・石塚満で、
容疑者はこの日を機に失踪した受刑者・宮崎春雄だと判断する。

しかし、宮崎春雄は出所間近であったため
なぜこのタイミングに刑務所というリスクを負ってまで
罪を重ねなければいけなかったのか、
大きな疑問が残るのだった…。

本書は、受刑者の刑務所内での生活や犯行までの様子が
かなり詳細に記述されているため、
事件までの様子が鮮明に想像できるはずだ。
きっとこのリアリティがあなたをより強く惹きつけるに違いない。

壮大なる復讐劇

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事件後、捜査を続けた結果、なんとも信じ難い衝撃の事実が明かされる。
被害者とされていた石塚満は偽者で、本名は村上康祐だということが発覚。

石塚本人は植物状態で、寝たきり生活を送っていると分かったのだ。
そしてこの変死体こそが宮崎春雄であることが判明。
石塚に扮していた村上康祐の妻・諒子は交通事故よって亡くなっており
その車を運転していたのが宮崎春雄だった。

しかしその後、事故ではなく殺人だったという疑惑が浮上。
その裏には勤務先の不正を知ってしまった諒子への
口封じの意図があったのではないかと村上は考え、
友人の戸田と共に、宮崎の出所を待たずに
刑務所内での復讐を計画したのだった。

「刑務所」という、誰もが絶対的な管理下にある
と思っているような場所での事件という点が
本書の面白みを強くしていると言えるだろう。

罪を犯した人が更生する場所での犯罪行為だからである。
そして「石塚満」がすり替わるというトリック。
警察の取り調べを受けた者と、検察の取り調べを受けた者が違うなんて
誰もが考えないような設定だ。

「刑務所」という荘厳な施設を舞台にしているからこそ、このような面白さが際立ってくる。
非現実的ともとれる設定を細やかに描写することで、読者を夢中にさせる。
きっとあなたも夢中で読み耽ってしまうはずだ。

構成の面白さ!

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本書は前述した殺人事件に関わる
様々な立場の人物からの目線によって構成されている。

計画を実行する村上康祐、
事件が起きた刑務所の刑務官・野田邦夫
以前、村上諒子の勤務先に関する記事に関わった元雑誌記者の滋野隆幸などなど
多様な視点からストーリーを構成することで
物語がより深みを増している。

それぞれのキャラクターを読み取り、
刑務所の密室で起きたこの壮大で不可解な事件の結末は…?

第55回江戸川乱歩賞を受賞したトリックに立ち向かえ!

あなたはきっと騙される。
そしてその真相が分かったとき、もう一度読みたくなる!

プリズン・トリック

  • 著者:遠藤 武文
  • 出版社:講談社
  • 発売日:2012/1/17

モデルプロフィール

sekii_profile
  • 名前:関井 早弥
  • 生年月日:1993/07/04
  • 出身地:神奈川県
  • 職業:学生
  • 趣味・一言:おいしいもの食べることが好き
  • 最近の悩み:やりたいことが多すぎて時間とお金が足りないこと!

(カメラマン:伊藤広将)

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