愛か肉欲か。浮気は麻薬ですよ『ボヴァリー夫人』

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ボヴァリー夫人

  • 著者:ギュスターヴ・フローベール
  • 出版社:新潮社
  • 発売日:2015/5/28

 

「記憶に残る海外文学」3日目の本はフローベール『ボヴァリー夫人』だ。
この本は、記憶に残るどころではない。女・男遊びをかじったことのある人ならば胸に釘を打たれたかのように刺さる作品だ。こっちが恥ずかしくなるぐらい不倫、不倫、不倫を繰り返す主人公エンマ。
愛か、肉欲か。昨日紹介した『グレート・ギャッツビー』が真実の愛の物語ならば、『ボヴァリー夫人』は肉欲の限りを尽くしている。

世間知らずの新婦 エンマちゃん

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フランスの田舎で育ったエンマは、品行方正で生真面目な医者シャルル・ボヴァリーの元に嫁いだ。シャルルとエンマの恋愛もそこまで劇的なものではなく、形式的な結婚と言っていいだろう。付き合った当初のエンマは恍惚としていたものの、次第に夫の”つまらなさ”に気付いていく。

そう、夫シャルル・ボヴァリーはつまらない男だったのだ。

ある日、パリの社交界にシャルル夫婦は招待された。
そこでエンマが見たものはあまりに甘美で、誘惑に満ちたものだった。きらびやかな屋内でのパーティー、色男たちがひしめくダンスフロア、男たちに次々に口説かれていくエンマ。退屈な日々を過ごしていたエンマには刺激が強すぎたのだ。
パーティーが終わり、家に帰ってからもあの日の夜が忘れられないエンマ。日々、空虚な日々を恋愛小説を読んではため息をつくのだった。

最初の浮気

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夫に退屈した女が堕ちるのは時間の問題だ。
そんなエンマについに、色男が言い寄ってくる。ロドルフという遊び人だが、世間知らずのエンマにはとても魅力的に思えた。

愛されることへの喜びが彼女を襲う。次第にロドルフに夢中になっていくエンマだが、男の方はそこまで本気でもなかった。ちょっと口説いた女がプラトニックすぎて、引いちゃってしまったのだ。
色男に捨てられたエンマは悲しみにくれ、体調を思いっきり崩してしまう。その事実を知らない夫シャルルの看病は献身的だがとても滑稽に思えるのは皮肉なものだ。

「ああ、私をもっと高ぶらせてくれる男はいないものかしら」
エンマはここから、2人、3人目と次々に浮気を重ねていき清々しいまでに堕ちていく。

愛か、肉欲か

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たった一つ、私がエンマにしてみたい質問は「愛か、肉欲か」。たったこれだけだ。
自分を高ぶらせてくれる男を欲するエンマの浮気癖はとどまることを知らない。肉欲のうずくまま男を求めていくさまは見るに耐えないし、自分にもそんな一面もあるかもしれないと怖くなってしまう。

純粋な乙女だったエンマが、官能を求める情婦のように堕ちていく清々しさがたまらなく面白い。「取るべきものは愛か、肉欲か」。この問いを常に投げかけてくる本書を読んだ後、あなたはどちらを選ぶだろうか。楔のように胸に突き刺さる名作は少しだけ塩辛い。

ボヴァリー夫人

  • 著者:ギュスターヴ・フローベール
  • 出版社:新潮社
  • 発売日:2015/5/28

 

モデルプロフィール

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  • 名前:佐々木桃美(もなみ)
  • 生年月日:1995.5.14
  • 出身地:千葉
  • 職業:大学生
  • 受賞歴:準ミス総理大臣
  • 趣味・一言:言語習得(英仏露独)、政治
  • 最近の悩み:ドイツに住んでいますが何が合わないのか、病院通いの日々なのでイギリスに帰りたい
  • Twitter,Insta:@sasakimonami

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Myコーデ

WRITERこの記事を書いた人

小幡 道啓

累計2億円以上の借金王の元に生まれ、怒号と罵声が飛び交う家庭で育ったアウトローだが、底ぬけにポジティブ。飲み会でも「父親が行方不明です」と不謹慎なネタを言ってはスベっている。Amazon Kindle販売員時代には年間NO.1売上を達成。現在は、「逆境でのユーモア」をモットーに本to美女編集部編集長。