いろんな男女の、いろんな非日常。『ホテルローヤル』へようこそ。

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ホテルローヤル

  • 著者:桜木 紫乃
  • 出版社:集英社
  • 発売日:2015/6/25

いろんな愛のカタチ

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突然ですが、ラブホテルって行ったことありますか?

田舎のインターチェンジの近所に何件も建ち並ぶラブホ。
小さな駅のそばにさりげなく佇むラブホ。
最近はラブホで女子会なんていうのも流行っているようですね。

行ってみたいけどなかなか足を踏み入れる機会がない方も多いはず。
最近はそこまであからさまな出で立ちのラブホというのは主流でなくなっているようですが、ラブホときいて男女の営みを想像してしまうのは仕方のないことでしょう。

この本は、ホテルローヤルというラブホテルを擁する北海道のとある町で、さまざまな男女の物語を描いたチェーンストーリーです。ホテルローヤルが舞台となるときもあれば、ただそこにホテルが建っているだけというときもあります。

いずれにせよ、ホテルローヤルがラブホテルであることは、彼らの関係に何らかの意味を与えています。

時代を通してホテルローヤルは、悩める男女のシンボルであり、逃げ場であり、従業員にとっては第2の家でもありました。そこにいる間は、完全に日常を忘れることができるのです。

ラブホテルでの現実逃避が面白いのは、俗世間から離れるのではなく、どっぷりと「俗」に浸ることができるから。何をしても、その場で咎めるものは当事者以外あり得ません。

そんな情愛と悲哀に満ちた世界を存分に味わうお手伝いをするために、今回は椎名林檎さんの『無罪モラトリアム』から、「ここでキスして。」をBGMとしてご紹介させていただきます。彼女独特のあの歌声や、痛々しいまでに叫び続ける歌詞は稀有です。

男になること、女になること

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アイスホッケーでの挫折を経験した男がヌード写真撮影家として再起を図るべく、恋人を廃墟に連れて行く「シャッターチャンス」は、夢見がちな男と母性本能に抗えず抵抗できない女の悲しい物語です。

他にも、経営難の寺院に嫁いだ女が「奉仕」によってお布施を得る中での心情変化を描いた「本日開店」などで、非日常的な人間模様を垣間見ることができます。

ホテルのオーナーと大人のおもちゃ業者の男女
浮いた金で夫婦の時間を取り戻した男女
先生と生徒という関係にある男女

男であり女であるというだけで、そこにはドラマが生まれてしまうのです。
男女が2人でいるというだけで、そこは日常から隔離されてしまうのです。

全く関係のないように思われる登場人物たちですが、時代を通して変わらないホテルローヤルに見守られ、忘れていた愛情を取り戻していきます。

ホテル清掃員ミコの物語

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ミコは働き者で、いつでも笑顔を絶やしませんでした。
夫は働かず、ミコより10歳も年下。
子供たちは自立し、今は年老いた夫婦だけで生活をしています。
訪れる男女に、非日常的空間を提供する。それが彼女の日常。

そんな彼女の耳にあるニュースが飛び込んできます。…彼女の息子が殺人を犯したというものでした。テレビに映っていた男が本当に息子なのだろうかどうか、信じられません。送ってくれた3万円も、真面目に稼いだものじゃなかったのだろうか…。

「いいかミコ、何があっても働け。一生懸命に体動かしてる人間には誰も何も言わねぇもんだ。」

ミコの母が彼女に常日頃から言い聞かせていた言葉です。

「聞きたくねえことには耳ふさげ。働いていればよく眠れるし、朝になりゃみんな忘れてる」

母ちゃんの言うとおりだ。
ミコを知る人たちはたとえ息子が犯罪者になろうと、彼女を見捨てはしません。

でも、そんな彼女だって弱音を吐きたくなる時がある。

「どこかでゆっくりと休みたい――。」

どんな頑張り屋さんも、疲れた時は日常から離れて休みたくなります。
ひとりになって、そこで夜を明かそうと考えたミコでしたが、彼女は一人ではありませんでした。

夫が迎えに来てくれました。普段彼女が支えていた夫は同時に、彼女を支える存在でした。口数は少なくなっても、お互いの存在が、帰る場所。いつでも歓迎してくれます。

ホテルローヤルが何かをしてくれたわけではありません。
日常から離れたくなったら、本音をこぼすだけで、普段気づかなかったことにも気づくことができるかもしれないですね。

ミコはそんなことを教えてくれました。

帰る場所がある幸せ

昔、ホテルローヤルの一室では過去に心中事件がありました。
何を思ってラブホテルで死のうとしたのかはわかりません。
きっと、もう二度と、哀しい現実に向き合いたくなかったのでしょう。

もしかしたら、彼らには帰る場所がなかったのかもしれません。

安心して帰れる場所がある。だからこそ、思い切って現実から飛び出すことができる。
貴女の頑張る姿を見守ってくれる人は、貴女の帰る場所です。

今日もお仕事お疲れ様でした。

<あわせて読みたい>

 

日本昭和ラブホテル大全 (タツミムック)

著者名:金益見、村上賢司
出版社:辰巳出版
発売日:2015/12/4

こんなお悩みを解決!

*ラブホに行ってみたい
→私も、ラブホ女子会とやらはやってみたいです。案外、乗り気なお友達はいらっしゃるかもしれません。誘ってみましょう。

*逃げたい
→どんなに友達がたくさんいても、1人になる時間は欲しいですよね。ラブホでなくても、ヒトカラなど行ってみてはどうでしょう?

*家に帰りたくない
→あなたのことを支えてくれる人に素直に甘えてみましょう。自立している人から頼られると嬉しいものですよ。何泊かさせてくれるでしょう。

ホテルローヤル

  • 著者:桜木 紫乃
  • 出版社:集英社
  • 発売日:2015/6/25

モデルプロフィール

Yabata_profile
  • 名前:矢端名結
  • 生年月日:1993/11/12
  • 出身地:群馬県
  • 職業:学生
  • 趣味:映画鑑賞
  • 一言:はじめまして。今日も一日頑張りましょう!
  • 最近の悩み:梅雨の時季なのでよく傘を無くしてしまうこと。
  • Twitter:@shortcut_yabata

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